ソーシャルバイヤーとは|代理購入・市場規模・中国市場へのアプローチとして必要な4つの理由を解説

公開日:2019年07月22日

越境EC」という言葉が使われ始めて少し経ちますが、中国市場に参入して成功している企業はまだまだ多くはありません。中国越境ECのキーとなるのは、「ソーシャルバイヤー」という存在です。

中国越境EC市場におけるソーシャルバイヤーとは、中国国内にいる消費者が必要としている海外の商品を代理で購入し、販売するいわゆる「転売屋」です。ソーシャルバイヤーによるこうした行為は購入代行とも呼ばれています。

ソーシャルバイヤーは、中国国内の消費者が欲しがる商品を日本で安く仕入れて自国で高く売り、その差額で商売をしています。

この記事では、そんなソーシャルバイヤーがどのような役割を果たし、具体的にはどんな仕事をしているのかを紹介します。中国市場への参入について理解が深まる内容になっています。


ソーシャルバイヤーとは?

中国越境EC市場で活躍するソーシャルバイヤーとはどんな仕事をしているのか紹介します。

中国市場の先読みの指標、ソーシャルバイヤーとは

2015年の新語・流行語大賞に選ばれた「爆買い」という言葉は、訪日中国人観光客が品物を大量に購入していく様子を表したものです。そのような「爆買いは訪日中国人観光客によるもの」というイメージが強い一方で、爆買いをしていたのは実は観光客だけではなく「ソーシャルバイヤー」と呼ばれる転売目的の人も多くいたといわれています。今年の初め、中国ではこうした個人の輸入代行を行うソーシャルバイヤーの納税義務を強化しました。これを受けて複数の著名な日本メーカー、ブランドや、百貨店の売上が減少しています。今後も...


ソーシャルバイヤーは代理購入者

ソーシャルバイヤーは、一般消費者の代理で海外の製品を購入しています。購入手数料を上乗せして販売することで利益を上げています。

中国では盛んに行われており、日本語では「ソーシャルバイヤー」「代理購入」と呼ばれる人や行動を 、中国語では 「代購(ダイゴウ)」「海淘(ハイタオ)」 といいます。

代理購入には2つのパターンがあります。

  • 事前に代理購入者が希望者を集め、希望購入商品をヒアリングした上で訪日&購入するパターン
  • 売れ筋商品(例:神薬)を爆買いし、中国国内のオークションサイトなどで転売するなどの「転売屋」のようなパターン

ソーシャルバイヤーは、基本的には海外でしか買えない商品を購入したいニーズに応える形で買い付けを行います。同時に、実は中国国内で購入できる海外製品の買い付けにおいても、ソーシャルバイヤーの需要があります。

これはどういうことかというと、同じ製品でもソーシャルバイヤーから購入した方が安くなることがあるということが影響しています。

現在中国では、海外製品の正規輸入品を中国国内で購入しようとすると、 関税や増値税(≒日本での消費税)、消費税(≠日本の消費税、いわば「贅沢税」のようなもの)そして商社のマージンが載せられ、非常に高額になります。

ところがソーシャルバイヤーが代理購入した商品の場合、個人輸入に該当するため、これらの諸税がかからなくなる、ないしは安くなるので、消費者は安価に海外製品を購入することができます。そのため、ソーシャルバイヤーが中国国内で販売されている製品を、海外で大量に購入することもあります。

なぜインバウンドで注目を集めるのか

ソーシャルバイヤーは、中国向けインバウンドビジネスにおいて注目されています。その大きな理由は、ソーシャルバイヤーの抱えるマーケットの大きさです。現状と主な理由についてまとめます。

ソーシャルバイヤーの市場規模は19兆円以上

ソーシャルバイヤーは、海外旅行が盛んになっていく中で増え、特に中国市場で盛んになってきました。

世界的な情報調査会社であるニールセンの調査によると、そのようなソーシャルバイヤーの市場規模は2015年時点で19兆円にのぼります。特に中国では、中国国内の消費者が欲しがる商品をバイヤーが代理で購入し販売するというビジネスモデルがすでに社会に浸透しています。代理購入での購入者数は2013年に1,800万人だったのが2015年には 約2倍の3,560万人になったというデータもあります。

知人や信頼のおける人物の発信=口コミ

ソーシャルバイヤー浸透の背景にあるのは、中国人には「知人や信頼のおける人物の発信=口コミ」 から情報収集する傾向があるためです。大手企業や政府の情報は信用できないという中国人は考えているようです。

また、ECでの買い物の際も、取引相手が「信用」のおける人物であるかどうかが購買行動の重要な指標となっています。

このような状況から中国ではソーシャルバイヤーが人気になったようです。

中国ECアプリの小紅書(RED)とは

中国ではあらゆるサービスがオンライン化しており、ショッピングもスマホで完結するECが人気です。ECの2大巨頭はアリババの「タオバオ」「Tmall」そして京東の「JD.com」ですが、その他にも多様化する消費者のニーズにこたえるECプラットフォームが存在します。こうした細分化されたECサービスのうちの一つが、小紅書(RED/シャオホンシュ)です。情報収集チャネルとしても活用されているこのECは、スマートフォンのアプリでサービスを展開しています。そしてその人気は日本でも徐々に知られつつあり、日...

中国最大級CtoCコマースアプリ「微店/ウェイディエン」とは │ 出店方法・機能・インバウンド市場に影響する越境ECトレンドを解説

2019年1月スタートした中国電子商取引法により、日本で爆買いした商品を中国に持ち帰って売るソーシャルバイヤーの中には活動を停止する人たちも現れています。同時に中国政府は、越境ECでの海外製品に関する1回あたりの購入金額の上限を緩和しました。今後はソーシャルバイヤー経由ではなく、越境ECプラットフォームの正規出品商品が海外製品の主要な流通ルートになっていくと考えられます。この記事では、越境ECサービスを提供している中国のCtoCコマースアプリの微店(ウェイディエン)について解説していきます...


ソーシャルバイヤーが日本製品販売に貢献する4つの理由

ソーシャルバイヤーは情報発信の場としてSNSを利用しています。最近では徐々に認知が高まっているところですが、実は中国では政府の規制によりFacebookやTwitterといった世界的に利用されているSNSにアクセスすることができません。

代わりに使われているのが微博Weibo)や微信WeChat)といった中国独自のSNSです。これらは消費者にとって重要な情報収集チャンネルです。こうした中国独自のインターネット環境があり、日本製品を売る場合にもソーシャルバイヤーを活用することが有効な手段となってきます。

ソーシャルバイヤーが日本製品の売上に貢献する4つの理由を説明します。

1. 自社製品を中国人に認知してもらえる

人気のソーシャルバイヤーには10万人以上のフォロワーが付いていることもあり、中国市場に参入するためにはソーシャルバイヤーに口コミで情報を発信してもらうことがとても有効な宣伝方法となります。ソーシャルバイヤーに商品の特徴やメリットなどを理解してもらい、中国で売れると判断してもらえれば一気に情報が拡散されます。

2. 気軽に買える窓口=消費促進

WeChatはLINEのようなメッセージ送信ができるアプリですが、ショッピング機能や決済機能もあるため、バイヤーと消費者がメッセージのやりとりをするだけで売買を成立させることができます。消費者にとっても、商品の購入が手軽にでき、歓迎されます。

3. 輸出手続きはソーシャルバイヤー自身が行う=手間がかからない

メーカーがECモールに出店する場合には、基本的にはメーカーが手続を行ったり、代行に任せる場合にもその在庫状況などを管理する必要があり、販売個数が増えるにしたがって作業も増えてしまいます。

ソーシャルバイヤーの場合は、多くの場合、ソーシャルバイヤー自身で輸出作業を行うため、販売個数が増えたとしてもメーカーの負担が増えることはありません。

4. 中国での越境EC展開のためのテストマーケティング

ソーシャルバイヤーによる自社製品の販売を通じて、中国市場の製品に対する反応を知ることができます。

自社製品をソーシャルバイヤーの情報拡散力をもってして、自社製品が、いつ、いくらくらい、どれぐらいのペースで売れるのかという貴重なデータを集積することができます。

こうした販売実績の各種データは、テストマーケティングを行って収集するデータに等しく、中国越境EC展開の第一歩にもなります。

【2019年最新/保存版】中国EC人気サイトランキング5選

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ソーシャルバイヤーの存在が中国市場と日本製品の橋渡しに

ソーシャルバイヤーを利用して中国市場に参入する最大のメリットは、すでにソーシャルバイヤーをフォローする何万人もの消費者(フォロワー)に、直接自社製品の情報を届けられるということです。

日本の製品は安心感や信頼があり、中国人にとても人気ですが、消耗品など繰り返し購入するものはその都度日本に来て購入するわけにもいかず、ソーシャルバイヤーから買うという中国人も少なくありません。

消耗品だけでなく、ベビー用品、お菓子、化粧品など、様々な日本ブランドの製品に中国市場のニーズがあります。こうした需要にダイレクトにアプローチできるソーシャルバイヤーとのコネクションは、メリットこそあれデメリットはほぼなく、越境EC展開を考える場合に活用することも検討に値するでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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