夢洲(ゆめしま)とは、大阪西部に浮かぶ土地面積390haの埋立地・人工の島です。来る大阪万博2025の会場であり、統合型リゾート(IR)誘致や新駅の建設が模索されている場所でもあります。
夢洲は今後の大阪の経済をけん引する存在として期待されていますが、未だ解決していない課題もあります。今回はこの夢洲について解説します。
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夢洲とは
夢洲とは、大阪府大阪市此花区に浮かぶ人工の島で、同区には世界的テーマパークであるユニバーサルスタジオジャパン等もあります。
大阪市の都心部から夢洲までは直線距離で西へ約10kmの距離に位置しています。JR大阪駅等と並び、日本の基幹産業の集約拠点である関西イノベーション国際戦略総合特区に指定されています。
夢洲の土地面積は390ha で、東京ディズニーランド4個分、東京ディズニーランドが50ha相当です。
この390haの約44%にあたる170haがIR・万博の開催候補地として使用される予定です。各路線バスもしくは車で「夢咲トンネル」か「夢舞大橋」を通っていくのが唯一の上陸方法で、徒歩ではアクセスできません。
夢洲の現状
夢洲は元来1970年代にごみ処理場として作られた埋立地です。
1980年代の「テクノポート大阪」計画はバブル崩壊の影響で中止となり、2008年の五輪誘致では夢洲を選手村として使用予定でした。しかしそちらも誘致に失敗したため実現ならず、しばらく開発が進んでいませんでした。そのため2025年の大阪万博開催地に選ばれたことは大阪の経済にとっては悲願が叶ったともいえます。
大阪が描く夢洲のこれから
大阪市は大阪ベイエリアの中心に位置する夢洲をアジアとの物流拠点として重要視しており、JR大阪駅周辺と並び、「成長戦略の両輪」として今後も重点投資していく方向性を示しています。
夢洲の用途としては大阪万博2025に加えて下記の2つが挙げられます。
統合形リゾート(IR)誘致
コロナ禍前まで訪日外国人数は順調に増加してきた一方、レジャー・娯楽への消費額が伸び悩んでいました。
滞在型観光・MICE誘致できる施設を作ろうと府・市はIR推進法を2013年に制定しました。
エンターテインメント面での消費額を増やすことにより、停滞する日本の経済を補えるという見込みがありました。
しかし2021年2月、IRの規模を当初の計画より縮小することが発表されました。
大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)の延伸、「夢洲駅タワービル」
夢洲駅を擁するタワービルは高さ最大275メートル、地上55階建ての複合施設となる予定です。
実現すれば300mのあべのハルカスに次ぐ高さになります。
万博前の24年に開業を目指して建設が進められていましたが、統合型リゾート施設の夢洲への誘致が当初計画より大幅に遅れる見通しとなったため、計画の見直しを余儀なくされています。
万博会場としての夢洲
2018年11月23日にパリで開かれた博覧会国際事務局(BIE)総会において、2025年の万博開催地が大阪・夢洲に決定しました。
2025年の大阪万博は、1970年の「大阪万博」、2005年の「愛・地球博」に次いで、日本で開催される3回目の「国際博覧会」です。
大阪万博は2025年4月13日~10月13日までの6カ月間開催が予定されています。
海と空を感じられる会場
公益社団法人2025年日本国債万博協会の基本計画によれば、四方を海に囲まれている夢洲の立地条件を活かし、世界とつながる「海」と「空」が印象強く感じられるデザインになるとのことです。
アクセス面が課題
2021年時点で夢洲には最寄りの鉄道駅はありません。※大阪メトロ中央線が2024年中に夢洲へ延伸予定です。
JRゆめ咲線・桜島駅から夢洲アクティブバス、あるいはJR環状線・西九条駅から大阪市営バス、大阪メトロ中央線コスモスクエア駅からコスモドリームラインのいずれかになります。
大阪市内からのアクセスが充実していないことは夢洲の弱点といわざるを得ず、2025年の大阪万博開催に間に合わなければ、人の流入に大きな影響を与えそうです。
夢洲へのIR誘致の現状
統合型リゾート(IR)の誘致は、大阪府・市肝いりの施策のひとつです。
一体どのような経緯でスタートしたのでしょうか。IR誘致の経緯と現状について解説します。
夢洲へのIR誘致のきっかけ
IR誘致のキッカケとして、コロナ禍前まで訪日外国人数は順調に増加してきた一方、レジャー・娯楽への消費額が伸び悩んでいた背景があります。
2013年12月に「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(IR推進法案)が制定され、翌年には立地の候補地として夢洲が選ばれました。
選ばれた理由としては、大阪の都市部に比較的近いこと、海で遮断されているため近隣住民の迷惑になりにくい、広大な未使用の土地があったことなどがあげられます。
夢洲へのIR誘致の現状
コロナ禍で日本市場参入を断念する事業者が後を絶ちません。
現在、大阪IR事業に名乗りをあげているのは米MGMリゾーツ・インターナショナル(以下、MGM)とオリックスの共同グループのみとなっています。
IR誘致を始めた頃から熱心にPR活動を展開しているMGMは、コロナ禍の影響を受けて2020年4月〜6月期の売り上げが91%減となっており、厳しい状況は続いています。
部分開業を2020年代後半とし、府・市が目指す「世界最高水準」の施設の完成時期は明示していません。コロナ禍の影響を受け修正を重ねており、現在も調整が続いています。
今後の夢洲の動向
夢洲にはいまだ広大な用地が残っています。大阪府・市はこれを有効活用したい考えですが、IR誘致の見通しがたっていない今、難しい局面が続いています。
2025年の大阪万博の会場となることは決定しているものの、鉄道の延伸は当初の予定より遅れており、大阪メトロ以外の延伸は万博には間に合わないとされています。
大阪万博による経済効果は2兆円、IRへの投資総額は9,300億円と経済に大きな影響を与えるだけに、今後の動向にも注目が集まります。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
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