この度九州運輸局では、九州の自治体や観光地域づくり法人等が訪日外国人旅行者の誘客戦略を策定する際に活用できる基礎的統計を整備することを目的とし、九州版訪日外国人旅行者消費動向調査を実施致しました。
今回は、本調査結果の続報版となる集計結果を解説します。
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訪日外客数に占める九州訪問者数
2019年の訪日外国人のうち、10.2%の約300万人が、九州地方に来訪したという結果となっています。
主な来訪国籍として韓国人は約146万人と最も高くなっています。また、東アジア4カ国でみると、全体の8割を占めるという結果となっています。

九州訪問者の訪問エリア ①国内他地方
九州地方に訪れている訪日外国人が、九州を訪問した際、他にどの地方を訪れているかの集計結果です。
青枠【欧米豪圏】については、九州地方の他にも「関東・近畿・中国地方」へ訪れたという傾向が見られます。これは、欧米豪圏の旅行者は、日本観光「初めて」と回答する人が多く、日本全体を楽しみたいという人が多いからという事が考えられます。
赤枠【東アジア圏】については、他のエリアに来訪したという人が少ないという傾向が見られます。これは、日本は身近な海外という位置付けであることから複数回来訪者も多く、特定の目的を持って来訪する方が多いという事が考えられます。
その結果、地方を跨いだ周遊が【欧米豪圏】よりも高くないという事が考えられます。

九州訪問者の訪問エリア ②九州内各県
九州地方に訪れている訪日外国人の、九州各7県を訪問した割合の集計結果です。
福岡県を訪問した割合が最も高く、全体の8割以上を占めています。福岡県以外では、大分県・熊本県が比較的高くなっています。
国籍別にみると、長崎県は「オーストラリア」、熊本県は「台湾」の割合が高くなっています。
一方、福岡県は「欧州」「オーストラリア」、大分県は「米国」の割合が他の県と比べ低くなっています。

九州訪問者の属性と旅行内容①
性別を国籍・地域別にみると、「台湾」「香港」「中国」では【女性】がやや多く、「欧州」「米国」「オーストラリア」では【男性】が多い傾向がみられます。
年代を国籍・地域別にみると、「中国」では【30代】の割合が高く、「オーストラリア」では【60代以上】が高いといった傾向がみられます。

九州訪問者の属性と旅行内容②
「韓国」では、他の国籍・地域と比べて滞在期間が短く、平均泊数は【2.6泊】、滞在日数は3日間以下が56.6%と半数以上となります。
一方、「香港」や「シンガポール」では、1週間以上の滞在が多く、全体の4割を上回ります。

九州訪問者の属性と旅行内容③
【東アジア圏】、【東南アジア圏】では、「2回目」以上のリピーターの割合が高く、7割以上となっています。
一方、【欧米豪圏】欧州、米国、では、「1回目」の割合が、高くなっています。

九州訪問者の属性と旅行内容④
「台湾」「香港」「シンガポール」「オーストラリア」では、【夫婦・パートナー】や【家族・親族】の割合が高いです。
一方、「欧州」「米国」では、【自分ひとり】の割合が高いことがわかりました。

九州訪問者の属性と旅行内容⑤
【観光・レジャー】は、全体で約8割を占め、「台湾」「香港」では9割以上となっています。
【業務】は、「タイ」、「シンガポール」では、約3割となっています。
【その他】は、「欧州」「米国」「オーストラリア」で約3割となっています。これは、2019年9-11月に行われたラグビーW杯観戦が影響している事が考えられます。(ラグビーワールドカップが主目的の訪日客は 「その他」に分類されているため)

九州訪問者の属性と旅行内容⑥
全体では、個別手配が81.6%となっています。国別に見ると、「台湾」では【団体ツアー参加】が31.8%と、他の国と比べ多くなっています。

九州訪問者の旅行支出と旅行消費額
九州訪問者1人あたりの日本国内での旅行支出を「135,907円」、日本国内での旅行消費額を「4,126億円」と推計しました。
※九州訪問者が、九州以外の日本国内で消費した金額が含まれていることに留意
国籍・地域別にみると、「韓国」は、1人あたりの支出額は比較的少ないものの来訪人数が多いため、旅行消費額全体のうち占める割合が23%と高くなっています。
「欧州」「米国」「オーストラリア」は、国内の他地方と合わせて訪問する割合が高く、国内での旅行中支出の中で、九州での支出が占める割合が相対的に少なくなっています。

九州滞在中の旅行中支出①
【旅行中支出総額】が最も高いのは、「中国」で、特に【買物代】が「96,336円」と最も高いことがわかりました。
「米国」「オーストラリア」では、【娯楽等サービス費】の金額が他の国籍と比べ、高くなっています。

九州滞在中の旅行中支出②
【旅行中支出総額】は、「福岡県」「鹿児島県」で高くなっています。
また「福岡県」「長崎県」「大分県」では、【娯楽等サービス費】の金額が他の県と比べ、高くなっています。

九州での買い物の実態①(九州のみ訪問者)
「中国」では、【化粧品・香水】【医薬品】の購入割合が他の国籍と比べて高く、購入者単価も高くなっています。

九州での買い物の実態②(九州のみ訪問者)
決済方法では、【現金】が98.0%と最も高い。また、【クレジットカード】が53.7%と約半数の割合となっています。

九州での買い物の実態③(九州のみ訪問者)
買い物場所は、【コンビニエンスストア】が約8割と最も高い一方、【買い物はしなかった】は1.3%でした。

役に立った情報①
【個人のブログ】が45.3%と最も高い一方、【特になし】は、14.5%でした。

役に立った情報②
【交通手段】が34.9%と最も高い一方、【特になし】は、28.1%でした。

日本滞在中の行動(九州のみ訪問者)
【訪日前に期待していたこと】では、「日本食を食べること」が最も高いが、【今回したこと】では「日本食を食べること」「自然・景勝地観光」「繁華街のまち歩き」「ショッピング」が高くなっています。

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
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