急速に進む観光業界の「反転攻勢」日本と海外のコロナ対応の差(後編)

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日本では感染拡大収束が見通せない中、世界各国では経済活動、観光目的での往来再開が回復しつつあります。

国際社会の経済活動再開の流れに取り残されないためにも、世界の現状を知ることは有意義であると考えられます。

そこで前編では、日本のコロナ対応と現状に加え、アジア諸国の現状を紹介しました。

後編の本記事では、欧米豪3つの地域で現在行われている経済活動再開に向けての取り組みに向けて紹介します。

ワクチン接種が比較的進んでいるこれらの地域では、大規模なイベントが開催されているほか、ソーシャルディスタンスをなくす動きなどコロナ禍前の生活回復に向けて取り組みが行われています。

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ヨーロッパ

感染者はが1日に10万人を超えることもあったヨーロッパ諸国でしたが、ワクチンの普及により2021年5月現在封じ込めに成功しつつあります。

各国ではソーシャルディスタンスを終了したり、外国と観光目的での往来を再開させるなど経済復活に向けた動きが進んでいます。

イギリス

イギリスは、2021年1月5日に最多の感染者数7万6,155人を記録しました。

しかし複数回のロックダウンやワクチン開発の進展などに伴って、落ち着きを見せるようになりました。

2021年5月には、マスクなし、ソーシャルディスタンスなしのイベントを試験的に開催するまでに復活しています。

また5月から、イングランド住民を対象に不要不急の渡航(海外旅行)も解禁しています。

さらに国内ではマスクを着用する人が減っているとされ、ソーシャルディスタンスは6月21日に終了する予定となっています。

スペイン

スペインは、2021年1月には1日の感染者数が35,000人を上回ったこともあり、全土で複数のロックダウンを実行し、抑止に取り組んできました。

2020年12月にワクチン接種を開始させており、2021年4月にはマスクあり、ソーシャルディスタンスなしのイベント開催を実験しています。

現在では海外旅行再開の動きも見せており、5月21日には、ワクチン接種を完了していれば、全ての国から渡航者を受け入れることも表明しています。

フランス

フランスでは、2021年4月に1日の感染者数が117,000人を超えるなど、深刻な感染状況にありました。

全国的なロックダウンは行わず、一部地域を対象とした制限を繰り返してきました。

ワクチン接種は急速に展開されてはいないものの、5月以降国内への規制緩和を段階的に行い、6月以降には、外国人観光客の受け入れを再開することを示しています。

5月19日には全国の飲食店や商業施設が再開し、賑わいを見せているということです。



Twitter:@ihmimosa氏の投稿

また「文化大国」とされるフランスでは、文化施設の救済措置として20億ユーロ(約2,650億円)の投資も行っていました。

アメリカ

アメリカでは2021年1月には1日30万人もの感染が確認されていましたが、ワクチン接種スピードが速く、接種者にはマスク無しなどの画期的な対策が打ち出されています。

ニューヨーク市では2021年夏に向けて32億円を投じ観光キャンペーンを行うなど、観光業復活に向けての取り組みが進んでいます。

またアメリカのリゾート地、ハワイでも本土からの観光客はコロナ前の水準に戻りつつあります。

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アメリカ本土

米国では2021年1月に1日の感染者数が300,000人を超え、大きな打撃を受けていました。

感染状況が深刻な州ではロックダウンが繰り返され、厳戒態勢が敷かれていました。

米国では世界で最も多い4種類のワクチンを開発し、接種を進めてきました。

単に「接種完了者数」で見ると世界1位となるなどワクチン接種が急速に進んでいることもあり、現在は落ち着きを見せています。

2021年5月時点で、マスクなしの野外フェスも敢行しています。

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Twitter:@Yusuke_writer氏の投稿

ハワイ

ハワイでは、日本からの観光客の受け入れを再開しています。

2021年5月時点では、いまだ1日の感染社数が5,000人前後となる状態が続いているものの、ワクチン接種状況については、5月21日時点で47%の人が接種を完了しています。

アメリカ国内からの3〜4月のハワイ訪問客数は、2019年は1日2万人〜2.5万人ほどだったのに対し、2021年は1.5万人~2万人ほどとなり、2019年対比で90%以上まで達する日もあります。つまりハワイの観光業はアメリカ国内からの観光客に限っていえば、コロナ前の水準近くまで回復しつつあるといえます。

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オセアニア

オーストラリア、ニュージーランドでは2か国の間でトラベルバブルを作り、観光目的での往来も再開しています。

また両国では大規模なイベントが実施されており、経済活動も活発に行われています。

オーストラリア

オーストラリアは、2020年1月に初めての感染者が確認されましたが、11月時点で新規の市中感染がゼロになりました。

それまではロックダウンとともに、未発症者の検査や接触者の追跡を取り入れ、新型ウイルスへの対策を行っていて、厳しい外出制限令が敷かれていました。

メルボルンでは2021年4月に7万8,113人の観客が入ったオーストラリアン・フットボールの試合が開催され、パンデミックが始まって以来、世界最大規模のイベントとなりました。

2021年4月には、ニュージーランドとの間で隔離なしの渡航を認めるトラベルバブルが実現しました。

現在はニューサウスウェールズ州で、入店前にQRコードで来店者情報を入力し、退店時にボタンを押すとその人が何分その店に滞在したか記録し、感染者が出た際の経路追跡に利用できるようになるという仕組みを導入しています。

豪州の店舗のコロナ対策の仕組み:Twitterより編集部キャプチャー
▲豪州の店舗のコロナ対策の仕組み:Twitter

Twitter:@mikihirano氏の投稿(https://twitter.com/mikihirano/status/1380089393872953344?s=20)

ニュージーランド

ニュージーランドは、2020年2月に初めて感染者を確認しました。

その後、国全体で厳しいロックダウンに入り、2020年6月には新規感染者がゼロになりました。

ニュージーランドでは現在規制が緩和され、ソーシャルディスタンスやマスクの着用も義務付けられていない状況です。

2021年4月25日には5万人以上の観客を迎えてのライブコンサートが開催され、2021年1月にも約2万人の観客を入れたコンサートが開催されています。

急速に進む観光業界の「反転攻勢」

ワクチン接種の進捗やコロナ対策の発展にともない、世界ではソーシャルディスタンスの解除や観客を入れたイベントの再開など人の動きがにわかに加速しています。

特に欧米は日本より深刻な感染状況にあったところが、日本よりも早いスピードで経済活動再開へ大きく舵を切ろうとしています。

また日本でも急速にワクチン接種が進んでおり、5月末時点でワクチン接種人数は1,100万人を超えています。もちろんワクチン接種証明をどう取り扱うか、健康証明をどのようなフォーマットに整備するかといった課題は山積していますが、ひとまずウィズコロナ時代は次の段階へ上ろうとしていることは確かです。

インバウンド再開にあたって留意すべきは、日本国内と海外との観光への温度感の差の違いについて認識することです。情報発信や海外とのコミュニケーションを「自粛」していては、インバウンド再開の大きな需要を掴むことはできません。

各国の現地の空気を意識し、適切な施策につなげていきましょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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