中国には、上半期最大の電子商取引(EC)商戦「618」があります。例年大きな消費を生むことから注目が高く、2021年も大手EC企業「京東」が過去最高額の売上げを創出するなど賑わいを見せました。
中国では、Weiboや小紅書(RED)といった口コミを投稿するSNSが普及しており、「618」に関する口コミも多く寄せられます。その口コミから、購入されたブランドのランキングや消費者層についてのデータが示されました。
化粧品やスマートフォンブランドが人気を誇ったことや、中国のECで主力消費者となるのはZ世代であることなどがわかりました。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
EC商戦「618」の消費者動向をSNSから分析
中国を中心とする消費者ビッグデータをベースにクロスボーダーマーケティング及び越境EC事業を行う株式会社トレンドExpress(以下:トレンドExpress)は、「2021年618商戦レポート」を発表しました。
中国の上半期最大のEC商戦「618」で、WeiboとREDに投稿されたクチコミをもとに、中国の消費者がSNS上で話題にしたブランドを調査し、商戦に関する情報をまとめています。
調査概要は以下の通りです。
- 対象期間:2021年5月25日~6月20日、2020年5月25日~6月20日
- 調査対象:新浪微博(Weibo)、小紅書(RED)
- 調査キーワード:WeiboとREDに投稿されたクチコミから、特定のキーワードが含まれたものを抽出・集計。
「618」関連クチコミ総数は前年比5%増の約315万件
まず、「618」関連の口コミ総数が2020年比で5%増加し、約315万件に上ったことがわかりました。
昨年は新型コロナ流行の沈静化にともなう「リベンジ消費」が起き、クチコミも大きく伸びました。これをふまえると、今年は昨年の口コミ総数を上回ったことで、前年並みもしくはやや超える盛り上がりがあったと考えられます。

年齢分布で注目したいのは、Z世代と呼ばれる「19歳~24歳」の購買層です。
Z世代の間では、「国潮」「国貨」といった自国の伝統文化や老舗ブランドを再評価するトレンドが巻き起こっており、これを取り入れたプロモーションやキャンペーンがクチコミの増加に寄与したと考えられます。
また、35歳以上の数値も伸びています。2021年の618では大手ECサイト「Tmall(天猫)」で健康食品の売上が好調だったことなどが報じられており、新型コロナ流行後の健康意識の高まりがクチコミ件数にも影響したものと推測しています。

「618」のブランドランキング、化粧品と中国のスマートフォンブランドが占める
次に、2021年の618商戦で人気だったブランドがランキングにまとめられています。
同ランキングは、口コミで「618」、「買った」、「ブランド」の3つのキーワードをかけあわせて抽出されました。
上位2ブランドは欧米の化粧品ブランドが占め、中国のスマートフォンおよび化粧品のブランドが3位から6位に続いています。化粧品については、「LOREAL」「ESTEE LAUDER」の2強を、日本・中国・韓国のブランドが追う形となっています。
昨年比で大きく順位を上げたのは韓国の化粧品ブランドです。「The history of Whoo(后)」が36位から22位、「SULWHASOO(雪花秀)」が50位から18位にアップしました。
日本ブランドについては、クチコミランキング上位の常連である「UNIQLO(ユニクロ)」「SHISEIDO(資生堂)」に、コーセーの「COSMEDECORTE(コスメデコルテ)」がランクアップし存在感を放つ結果となりました。
また、2020年はランキング外だった「無印良品」も29位にランクインしています。

また、ランキング上位50位までに登場したブランドのクチコミ件数を国別に整理したものが円グラフに示されています。
2021年、2020年ともに欧米ブランドのシェアが高いものの、2021年においては欧米51%、アジア勢49%とほぼ半々の比率になりました。
前述の「国潮」「国貨」に起因した国産ブームによる中国ブランドの台頭と、日本と韓国ブランドの中国市場開拓の意欲がクチコミに反映されたものと考えられます。

「快手」「抖音」のライブコマースへの関心が上昇傾向
そして、2021年の618では、前年に比べてショート動画プラットフォームの利用が増えていることも明らかになりました。
プラットフォームランキングでは、1位、2位こそ2020年と変わらないものの、「快手(Kuaishou)」は5位から3位に、「抖音(Douyin)」は8位から7位に上昇しました。
「快手」は人口ボリュームのある「2線都市」以下の地方都市を基盤にもち、低価格商材を多数販売するという手法で定評があることから、「抖音」を上回るクチコミ件数に繋がったものと分析されています。
一方、「抖音」は体験共有型アプリとして人気の「小紅書(RED)」を追い抜くなど、その存在感を強めている様子が見て取れます。
「抖音」は今回の618商戦から独自のECシステム「抖音小店」の活用を本格化しています。DAU6億人超の集客力を生かしたライブコマースとECの動向には、今後も注視していく必要がありそうです。

なお、「618」×「直播(ライブ、ライブコマース)」のクチコミを行ったユーザーはZ世代が圧倒的に多く、「618」のクチコミの主力であった25歳~34歳の層を大きく上回りました。
すなわち、ライブコマースの主要消費者はZ世代と考えられます。前述の「抖音」「快手」のランキング上昇も、こうした影響を受けていることが推察できます。

インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる
<参照>
・ホットリンク:プレスリリース
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!