浅草の老舗旅館が抱える不安を解決 インバウンド回復見据え、観光の専門家が徹底サポート

東京都は「令和3年度 観光関連事業者向け派遣型セミナー・アドバイザー派遣」を現在受け付けています。

本事業は東京都内の宿泊施設、飲食店、小売店、観光関連団体などの事業者に対して、観光の専門家による、派遣セミナーやアドバイスを無料で受けられるというものです。

今回は浅草の「雷門」からほど近くに構える老舗旅館「旅館加茂川」にて実施した、アドバイザー派遣の様子を紹介します。

観光関連事業者向け派遣型セミナー・アドバイザー派遣とは?

東京都産業労働局が現在実施している「令和3年度 観光関連事業者向け派遣型セミナー・アドバイザー派遣」は、「ウィズコロナにおける旅行者受入に関する知識の習得」や、「インバウンド対応に向けた課題解決」につなげることを狙いとしており、対象は都内の観光関連事業者、利用料は無料です。

支援内容例は以下のとおりです。

  • 経営・マネジメント
  • 集客・マーケティング
  • プロモーション
  • 接客・接遇
  • 多言語対応
  • 非接触型サービス・デジタル対応

本事業の募集の詳細については、別の記事にてご確認いただけます。

関連記事:【都内の事業者対象】観光の専門家による助言を無料で。「派遣型セミナー・アドバイザー派遣」希望者を募集中

講師紹介

今回、アドバイザー派遣にて講師をつとめた2名を紹介します。

萩本良秀 株式会社ゼロイン「DeepJapan.org」エグゼクティブ・ディレクター

ネットメディア編集の経験を活かして日本在住外国人ライターを起用した公共および民間企業の多言語サイトの制作、外国人目線でのデジタル・マーケティングやプロモーションに携わる。

全国通訳案内士資格取得後150名以上の外国人旅行者をガイド。観光庁の専門人材として関東広域DMOのデジタル戦略を担当。

3,000人超のインバウンド関係者コミュニティ「DMO anywhere」ディレクター。その他実績多数有。


川西哲平 株式会社mov コンサルティング部 部長

⼤学卒業後、新卒から通信・モバイルコンテンツ関連の業務に関わり2014年より⼤⼿通信事業者で訪⽇外国⼈向けのWi-Fiアプリケーションの⽴ち上げから宣伝、販促を担当。

当時未成熟市場であった訪⽇外国⼈へのプロモーションを各国で積極的に実施し累計200万ダウンロード突破させ当時⽇本で最⼤規模の利⽤者数へと成⻑させる。

また、全国の⾃治体や官公庁へWi-Fiの接続データとGPSデータを利⽤したビックデータのセミナー、広告のアライアンス・企画・販売にも従事。2018年より株式会社movで⼤⼿企業や官公庁へのコンサルティングを⾏なっている。

旅館加茂川の紹介

「旅館加茂川」は、浅草の中心に位置した創業約70年の閑静な横町の旅館です。

これまで長くの間多くの訪日外国人観光客に愛され、浅草観光の拠点として利用されてきました。現在はコロナ禍の影響を受け休業しています。

▲浅草「雷門」から徒歩3分、多くの観光客に愛された「旅館加茂川」様 現在は休業している。
▲浅草「雷門」から徒歩3分、多くの観光客に愛された「旅館加茂川」 コロナ禍の影響を受け現在は休業している。

今年の4月より旅館の経営を継いだ矢島さんは、移動制限が緩和され、そして来るべきインバウンド需要復活の時のために、受入体制の準備を進めています。

そうした中で観光およびインバウンド対応の専門家の意見を求めるべく、本事業に申込まれました。

▲旅館加茂川 矢島さん
▲「旅館加茂川」 矢島さん

アドバイザー派遣の様子

アドバイザー派遣の前半は、事前にヒアリングしていた質問に対する回答からはじまりました。

▲事前にヒアリングしていた質問事項を踏まえ、ミーティングを開始
▲事前に旅館加茂川からヒアリングしていた質問事項を踏まえ、ミーティングを開始

非接触型決済が急速に進む世界。対応すべきことは

決済手段が多様化する中、インバウンド対応を意識した上でどのような決済手段対応の準備を進めておくべきかという質問に対して、萩本氏が回答します。

萩本「昨年のトリップアドバイザーの調査によると、今後旅行先で求めたいものとして『非接触型決済を導入しているか』というのが意識されています。日本よりも海外でその傾向が強いようです。

これは感染対策という意識もあるでしょうが、海外では非接触型決済が標準化しつつあるということも関係しています。」

▲決済サービスにおける海外の動向や対応手段について解説する萩本氏
▲決済サービスにおける海外の動向や対応手段について解説する萩本氏

矢島さん「なるほど...。インバウンド需要が戻ってくるのはもう少し後だと思うのですが、例えば2〜3年後いきなり決済の方法が今とガラッと変わっているということはないのでしょうか?」

川西「例えば今から2〜3年前と比べるとスマホ決済が非常に増えました。インバウンド需要が復活した時に、新たなテクノロジーが入ることでより手軽になっていることも考えられます。」

萩本「クレジットや電子マネーからQRコードまで1台で対応できるマルチ決済サービスを導入すれば、今後新たな決済手段が登場した際もプラットフォーム側が追加してくれるので安心です。」

こうした決済環境のトレンドについて講師からの解説があったほか、具体的にどのような決済サービスをつかうべきかというアドバイスも合わせて行われています。

今だからこそ、SNSでの情報発信の継続を

Facebookへ情報を掲載するため、現在旅館加茂川のページを作成中という矢島さん。今だからこそ情報発信をする重要性について両講師は説明します。

川西「Facebookを運用している目的は、最終的には予約数を増やすことだと思いますので、そこを意識した運用をやっていくことが大切です。

ただ実際にはFacebook上で旅館加茂川の記事を読んで魅力を感じた人が、他のOTA経由で予約することもあるでしょう。それらも含めてトータルの予約獲得数を増やすという考え方のほうが良いですね。」

▲基本的なことから宿泊業ならではの質問まで、その場で出た質問に一つずつ答えていく
▲基本的なことから宿泊業ならではの質問まで、一つずつ疑問を解消

萩本「なぜFacebookなどのSNSで情報発信をやったほうが良いかというと、旅行サイトは旅行に行こうと思わない限り閲覧しませんが、FacebookやInstagramというようなSNSは日常的に接するため、今すぐ旅行に行こうとは考えていない方々にもアプローチができます。

したがってコロナ禍で移動が制限されている間では旅館の魅力に関する情報を発信し、旅行再開時には広告を絡めながら感染対策などの具体的な情報を発信し、旅行を検討している層に安心してもらえるような投稿内容にシフトしていくと良いと思います。」

▲準備した資料や事例を見せながらアドバイス
▲準備した資料や事例を見せながら解説

実際の現場ではこうした会話がなされたほか、Facebook広告の特徴を説明しつつ、効果的な運用方法についてのアドバイスも行われました。

Googleマップの情報整備、『オーナー登録』は忘れずに

Google検索の進歩によって、タビナカで店舗や施設を探しやすくなった現代。旅行客のニーズを満たす上で、Googleマップ上の店舗情報の管理はますますその重要性を増しています。

そうした背景から、Google上の店舗情報を管理できる無料ツール「Googleマイビジネス」を用いた施策をはじめるべきと、川西は語ります。

川西「Googleマイビジネスの整備はやっておいた方が良いですね。

Googleマップ上の店舗情報にはユーザーの口コミが集まるほか、『オーナー登録』をすると自社としてテキストや写真の投稿といった情報発信が可能です。

加えて、Googleマップ上の情報は誰でも書き換えることができてしまうのですが、オーナー登録することで悪意ある人による情報改ざんから守ることにもつながります。

オーナー登録をしていない店舗は、Googleマップの店舗情報の下部分に『ビジネスオーナーですか?』と表示されます。」

▲Googleマップでオーナー登録をしていない店舗は「ビジネスオーナーですか?」と表示される。
▲Googleマップでオーナー登録をしていない店舗は「ビジネスオーナーですか?」と表示される。

Googleマイビジネスのオーナー登録については、どう申請したらいいかわからない事業者も少なくありません。

川西は登録方法を案内したほか、口コミ返信、投稿、アクセス分析といった、集客につながる運用上のコツについても共有しました。

▲川西から説明する様子
▲川西から説明する様子

旅館内をめぐりながら、現場事情に合わせたアドバイスも

後半では実際に受付や客室、そして浴場をめぐりながら、決済手段への助言や、Wi-Fi通信環境の改善に関する話まで、その場に合わせた対応方法をアドバイスしています。

▲決済サービスや顧客管理の方法まで丁寧に現状調査、改善案の提案を行った
▲決済サービスや顧客管理の方法などの現状ヒアリング、改善案の提案を行った
▲「Wi-Fiがなぜか弱いんです...」という質問を受け、館内をめぐりながら原因を調査、改善案を説明
▲「Wi-Fiがなぜか弱いんです...」という質問を受け、館内をめぐりながら原因を調査、改善案を説明

旅館加茂川の感想

本記事で紹介している以外にも旅館加茂川から事前にヒアリングしていた質問に対して、両講師が一つひとつ悩みを解消し、アドバイザー派遣は終了しました。

現在、コロナ禍によって国内の多くの観光事業者は非常に厳しい状況に置かれています。しかしインバウンド需要が再び戻ってくる時を見据えて、十分な準備ができているという事業者も多くないのではないでしょうか。

本事業はそういった悩みを抱える観光関連事業者に、観光の専門家がそれぞれの現場の状況やレベル感に合わせたアドバイスやセミナーを行うことができます。

旅館加茂川から、アドバイザー派遣終了後のアンケートにて以下の回答をいただいています。

現在の当館の状況に沿ったアドバイスをたくさんしていただきました。具体的な今後の取り組みを決めることができ、大変感謝しております。お暑い中、わざわざ浅草までお越しいただき、誠にありがとうございました。

▲アドバイザー派遣終了後、旅館入り口前にて
▲アドバイザー派遣終了後、旅館入り口前にて

「観光関連事業者向け派遣型セミナー・アドバイザー派遣」申込み方法について

今回の事例のように、本事業はそれぞれの事業者の状況によりそった形で観光の専門家によるアドバイスやセミナーが受けられます。

ウィズコロナの観光に向けて準備を進めたい観光関連事業者の方は、ぜひご利用をご検討ください。

本事業の申込みの締め切りは令和4年3月18日(金)です。ただし、定員に達し次第申込み受付を終了します。以下のホームページ、もしくはFAXから申込みが可能です。

Webで申込む(公式ホームページへ)

FAXで申込む(PDFダウンロードへ)

本事業に関連して、東京都では萩本氏を講師に「観光関連事業者向けオンラインセミナー&ワークショップ」を全3回にわたって主催します。

このオンラインセミナー&ワークショップでは、顧客ニーズの変化に応じた新サービスの造成や、自社の強みをより活かした商品の提供など「アフターコロナに向けて、より良い顧客体験を創る」ためのプランを全3回を通して考えるものです。

開催日は令和3年10月26日(火)、11月2日(火)、11月16日(火)の3日間です。以下の記事で詳しく紹介しています。

関連記事:【参加無料】東京都、アフターコロナを見据え、観光事業者対象にセミナー&ワークショップ開催

東京都ではこの事業以外にも、観光関連事業者に向けて多数の支援事業を実施しています。以下のサイトから確認可能です。

・東京都産業労働局:観光関連事業者向け派遣型セミナー・アドバイザー派遣・ワークショップ/インバウンド好事例集

・東京都産業労働局:観光>補助金等の各種支援事業

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!