中国最大の不動産会社「恒大集団」が経営破綻の危機に追い込まれています。
国内280以上の都市で1,200万人以上の物件購入者を抱える同社は現在総額1兆9,700億元(約33兆4,000億円)の負債を抱えており、金融関係者は「中国版リーマンショック」が起きるのでは、と危機感を強めています。
日本時間29日にも、恒大集団は子会社である盛京銀行(遼寧省)の株式を約100億元(約1,700億円)で国有企業に売却するなど、資金繰りが厳しくなっています。
中国当局は恒大集団の経営危機によって、中国全体の金融システムに影響が出るのを防ぐために株式購入を指示したという見方もあり、事態は急を要しています。
今回は恒大集団の経営危機によって、世界経済、そして日系企業にどんな影響があるのか分析してみたいと思います。
訪日ラボのメールマガジン登録はこちら>(無料)恒大危機の「本質」は第二の文革にあり?
恒大集団は、2020年度の売上高は7,232億元(約12兆3,000億円)でフォーチュン・グローバル500(世界500強企業)にもランクインするなど中国を代表する企業グループです。
創業者で現在も日本企業でいうところの会長職を務める許家印主席は、鄧小平「改革開放路線」が始まった92年に貿易会社に就職し、96年に低価格の小型マンション開発を軸にした同社を創業しました。
許家印氏が高校生の時、中国は文化大革命の末期で、彼は相当貧しい思いをしたそうです。改革開放路線以降、つまり中国が経済躍進を始めた時期と軌を一にするよう、彼は一代で巨大ビジネスを築き上げました。
現在、恒大集団は「広州FC(旧・広州恒大)」というサッカークラブや電気自動車(EV)開発の「恒大新能源汽車集団」など8つの事業を運営し、借り入れを増やしながら数億人にサービスを提供する企業になりました。
なぜその巨大企業が経営危機に陥っているのか。それを読み解くカギは中国当局が進める「富裕層への引き締め」政策にあります。
習近平国家主席は、第二の文革とも形容される「共同富裕」をスローガンに貧富の格差縮小、富の分配を強化する措置を特に不動産業界に対して打ち出しています。
恒大集団に影響があったのは、20年夏に中国人民銀行(中央銀行)が設けた「3つのレッドライン」です。貧富の格差の象徴である不動産バブルを抑えるために大手不動産会社に対して負債比率を厳守するよう求めた政策で、「自己資本に対する負債比率を100%以内」「資産負債比率70%以下」「短期負債を上回る現金保有」を指示しました。
これに抵触する不動産企業は銀行からの融資を制限されました。
恒大集団はかねてからの拡大路線で、重い債務を抱え、実質自転車操業状態にありました。この1年間は物件の販売単価を大きく引き下げるなど経営改善に努めていましたが、同社と取引する下請けの工事会社や資材会社から代金の未払いなどの声が上がっています。
このように、恒大集団の経営危機は、習近平国家主席による「官製倒産」、「見せしめ」によるところが大きい、という見方が大半です。
では実際に同社が債務不履行、デフォルトに陥った場合、世界経済そして日本企業にどのような影響があるのでしょうか。
恒大危機は、第二のリーマンショックの引き金になるのか
恒大集団の負債総額の1兆9,665億元(約33兆4,000億円)は、中国の名目国内総生産(GDP)の約2%に相当していて、同社が債務不履行に陥った場合、中国経済への影響は必至です。
同社は中国国内に約20万人の直接雇用と、約380万人の間接雇用を生み出していますし、中国の不動産セクターは国内GDPの約15%を占めると大きいので、恒大が無秩序な清算を強いられれば、中国経済への影響は計り知れません。
さらに中国の不動産の専門家は恒大集団以外の大手不動産企業も「3つのレッドライン」政策で資金繰りが厳しさを増し、不動産バブル崩壊の一歩手間だという見方もあります。
では海外への影響はどうでしょうか。08年のリーマンショック以降、各国の主要金融機関に対して厳格な資本規制や監督強化が採択されていて、海外の金融機関に対するリスクは限定的という分析が大半です。
恒大集団の有利子負債(6月末時点で約9.7兆円)の多くは米ドル建て債券を除けば、中国国内銀行によるものと考えられているからです。(海外投資家向けに発行された米ドル建て債券は計195億ドル(約2兆円))
リーマンショックは信用の低い人への住宅ローン(サブプライムローン)を複雑な形で証券化したデリバティブ商品が世界中に売られていて、それにいくつものレバレッジがかけられていたため、バブルが弾けるとその影響が世界中に波及しました。その一方で恒大の債務危機は現在のところ、中国国内にリスクが限られているといえます。
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