各国で路線再開や増便相次ぐ、コロナ禍の航空業界の累計損失額は22兆円【世界の航空便増減まとめ 11月】

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世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界各国では入国制限などの規制が続けられ、航空会社は依然として大きな影響を受けています。

10月に国際航空運送協会IATA)が公表したデータによれば、有償旅客を運んだ距離を示すRPK(有償旅客キロ)ベースの旅客需要は、2021年は2019年の40%、2022年は61%にあたる水準になると予測されています。

航空貨物の需要は引き続き堅調となっており、2021年の需要は2019年比7.9%増、2022年は2019年比13.2%増となる見通しです。

各国の国内線需要については、2021年は2019年の73%、2022年には93%の水準まで回復すると予想する一方、国際線需要は各国の入国制限によって、2021年は2019年の22%、2022年は44%の水準にとどまると見ています。

また新型コロナウイルスの影響による航空業界の累計損失額について、2020年から2022年にかけて2,010億ドル(約22兆円)にのぼると発表しました。

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【東アジア】日本、緊急事態宣言解除で予約増

日本国内では、緊急事態宣言の解除に伴い予約数が伸び、臨時便や増便が相次ぐなど需要回復の動きが目立っています。

日本国内

ANA

全日本空輸(ANA)が発表した2021年8月の利用率は、国内線が43.9%、国際線が31.9%となりました。

同社は緊急事態宣言の解除により予約数が大きく伸びていることを明らかにし、11月5日から29日までの間、国内線で103便の臨時便を設定しました。

国際線は、12月4日から東京/羽田〜シアトル線を週1便で運航を再開するほか、東京/成田〜ムンバイ線を12月11日から週2便に増便します。

また日本発国際線の搭乗者向けに、PCR検査と陰性証明書をセットで提供できる医療機関の紹介を開始します。

なお同社が発表した2022年3月期第2四半期の業績は、四半期純損失が476億円となり、新型コロナウイルスの影響が発生した2019年第4四半期以降、損失は最も小さくなりました。

JAL

日本航空(JAL)が発表した2021年8月の利用率は、国内線が44.7%、国際線が30.7%となりました。

12月から2022年1月まで東アジア・ハワイ・グアム方面とメルボルン線の運航計画を決定しており、11月から12月にかけて臨時便も設定します。

また同社は10月1日からDaonが提供するデジタル証明書アプリ「VeriFLY」を本格導入し、11月1日から羽田空港第1ターミナル北ウイングの保安検査場Eの運用を再開します。

その他

ジェットスター・ジャパンは11月19日から、成田~札幌(新千歳)線などで臨時便を運航し、23日まで4路線9往復18便を設定します。

また同社が発表した2021年6月期決算は、2期連続で最終赤字となりました。

AIRDO(エア・ドゥ)は10月16日から29日にかけて、東京/羽田〜札幌/千歳線の16便を追加減便し、期間中の減便率は2%となります。

また東京/羽田〜札幌/千歳線で11月の8日間に、増便運航を行います。

ZIPAIR Tokyoは、10月15日から30日まで成田~ソウル(仁川)線を期間増便するほか、12月から成田~シンガポール線を週3往復に増便すると発表しました。

フジドリームエアラインズ(FDA)は10月23日から29日にかけて、新潟発着路線で臨時便を運航します。

ピーチ・アビエーションは、2022年1月4日まで国際線は全路線を運休しますが、大阪/関西〜台北/桃園線の2022年1月5日以降の航空券を販売しています。

ソラシドエアは、11月に東京/羽田〜熊本・鹿児島線で臨時便を運航します。

航空分野情報を提供するイギリスの「シリウム(Cirium)」は、2021年9月の航空会社別の定時到着率を公表し、運航規模の大きな航空会社を示す「グローバル」部門で、アエロフロート・ロシア航空(AFL/SU)が首位を獲得し、アジア太平洋地域ではANAが97.08%で1位にランクインしました。

韓国

大韓航空は11月3日から、ソウル/仁川〜ホノルル線の運航を週3便で再開します。

ハワイへの旅行需要が着実に増加していることを受け、ソウル/仁川発、ホノルル発ともに水・金・日曜に運航するもので、19か月ぶりの運航再開となります。

ハワイを訪れる韓国人観光客数は、1月は200人でしたが、最近は月1,000人程度にまで増えているとのことです。

香港

オーストラリアの入国規制の緩和に伴い、キャセイパシフィック航空は、シドニーとメルボルン発着路線で供給座席数を増やします。

新型コロナウイルスワクチン接種を完了したオーストラリア国民や永住権保持者に対し、11月1日から検疫が撤廃されることに伴うものです。

【東南アジア】ワクチン接種完了者受け入れで再開や増便相次ぐ

東南アジアでは、シンガポールやマレーシアで、新型コロナウイルスワクチン接種を完了した入国者の受け入れに伴い、運航の再開や増便が相次いでいます。

タイ

タイ国際航空は、12月1日から東京/成田〜バンコク線を1日1便に、12月7日から大阪/関西〜バンコク線を週6便に増便します。

なおタイへの入国には、大使館で入国許可証(COE)の取得が必要となっています。

シンガポール

シンガポール航空は10月11日、シンガポール~シアトル線をバンクーバー経由で開設すると発表しました。

12月2日から2022年2月15日まで、週4往復を季節便として運航するもので、うちシアトル発の週2便は、新型コロナウイルスワクチン接種を完了した人を対象としたVTL(Vaccinated Travel Lane、ワクチントラベルレーン)として運航します。

なお同グループは、検疫免除となるVTLのネットワークについて、14路線に拡大すると発表しています。

またビクトリア州政府が発表した、ワクチン接種済みのオーストラリア国民や永住権保持者などを対象とした国境の再開計画に合わせ、シンガポール〜メルボルン線を11月1日から運航します。

さらにシンガポール〜バンクーバー〜シアトル線の季節定期便を、12月2日から2022年2月15日まで運航します。

マレーシア

エアアジアは11月5日から、クアラルンプール〜プーケット線の運航を再開します。

地域内無隔離措置「プーケット・サンドボックス」を、ワクチン接種を済ませたあらゆる国からの入国者に適用するとの発表にもとづくものです。

またエアアジアは、18歳以上の乗客に対して、ワクチン接種及び、マレーシア政府のアプリ「MySejahtera」で「低リスク」か「症状のない軽度な接触」に分類されていることを搭乗の要件とします。

【南アジア】ネパール航空、東京/成田〜カトマンズ線の運航継続

南アジアでは、ネパール航空が東京/成田〜カトマンズ線の運航を継続します。

ネパール

ネパール航空は11月30日まで、東京/成田〜カトマンズ線の運航を継続します。

カトマンズ発が10月7日・21日・28日、11月2日・9日・16日・23日・30日にそれぞれ運航されるもので、12月も毎週火曜の運航が予定されています。

いずれも、東京/成田発は翌日となります。

【北・南米】路線拡大や再開相次ぐ、航空大手の業績は黒字

北・南米では、アメリカやカナダで路線の拡大や再開が相次いでいるほか、航空大手のユナイテッド航空とアメリカン航空の2021年第3四半期の業績は黒字となりました。

アメリカ

ジェットブルー航空は9月30日、ニューヨーク/ジョン・F・ケネディ〜ロンドン/ガトウィック線を開設しました。

ハワイアン航空は、11月から12月中旬まで日本路線の運航について、これまで通りホノルル~成田線を週3往復、ホノルル~関西線を週1往復運航し、羽田などその他の路線は運休します。

また同社は12月13日から、ホノルル〜シドニー線の運航を週3便で再開します。

ユナイテッド航空は、2022年春から同社史上最大となる大西洋横断路線の拡大を行うことと、東京/羽田発着を含む7路線の運航開始を発表しました。

東京/成田〜ヒューストン・ホノルル線の運航を再開し、12月17日から東京/羽田〜シカゴ線を1日1便に増便するほか、ロンドンへ1日5便を追加し、1日22便を乗り入れます。

また同社は2021年第3四半期の業績を発表し、純損益は5億米ドルの黒字となりました。

アメリカン航空グループは、2021年第3四半期の最終損益について、2四半期連続で黒字になったことを明らかにしました。

カナダ

エア・カナダは10月31日に、モントリオール〜デリー線を開設します。

カナダ・インド市場を重要市場と位置付けて、カナダとインドを結ぶ路線を拡大しており、10月15日からはトロント〜デリー線を週10便に拡大しています。

【オセアニア】カンタス航空、国際線運航を再開

オセアニアでは、オーストラリアの航空大手カンタス航空が、国際線の運航を再開します。

オーストラリア

ジェットスター航空とカンタス航空は、国際線の運航再開を前倒しするほか、約10年ぶりにオーストラリアとインドを結ぶ路線を開設します。

カンタス航空は、オーストラリア連邦政府が11月に国境を再開することに伴い、国際線の運航を11月14日に再開します。

東京/羽田〜シドニー線の運航については、12月19日から再開すると発表しています。

ニュージーランド

ニュージーランド航空は2022年2月1日から、国際線利用者にワクチン接種を義務付けます。

18歳以上のすべての乗客にワクチン接種を求めるもので、医療上の理由でワクチン接種ができない場合は、それを証明する書類の提示が必要となります。

フィジー

フィジーが12月1日から旅行者の受け入れを再開することに伴い、フィジー・エアウェイズは各国への乗り入れを再開します。

いずれもナンディ発着で、サンフランシスコへ週5便、クライストチャーチ・香港へ週3便、東京/成田・シンガポール・ウエリントンへ週2便、ホノルルへ週2便、シドニーへ1日2便、メルボルン・ブリスベン・ロサンゼルス・オークランドへ1日1便を運航します。

フィジーでは11月までに、全労働人口へのワクチンの接種を完了する見通しです。

【ヨーロッパ】路線再開や増便相次ぐ

ヨーロッパでは、ドイツやオランダ、フランスなど各国で路線の再開や増便が相次いでいます。

ドイツ

ルフトハンザ・ドイツ航空は2022年2月28日から、名古屋/中部〜フランクフルト線の運航を週3便で再開します。

また2022年3月3日から大阪/関西〜ミュンヘン線、2022年3月1日から東京/羽田〜ミュンヘン線の運航を週3便で再開します。

オランダ

KLMオランダ航空は11月15日から、東京/成田〜アムステルダム線を週4便に減便します。

同社は渡航制限の緩和に伴って、コロナ禍前に就航していたほぼ全都市への運航を再開する予定で、冬スケジュールには162都市へ運航し、大陸間72都市、ヨーロッパ内90都市へ路線を展開します。

ただし供給量は調整し、大陸間路線は75%程度となる見通しです。

フィンランド

フィンエアーは冬スケジュールで、東京/成田〜ヘルシンキ線を週4便、大阪/関西〜ヘルシンキ線を週3便で運航し、段階的に週7便に増便します。

また名古屋/中部〜ヘルシンキ線を2022年2月から週2便で再開します。

さらに2022年4月26日から福岡〜ヘルシンキ線、2022年4月27日から札幌/千歳〜ヘルシンキ線をそれぞれ週2便運航します。

スイス

スイス・インターナショナル・エアラインズは11月1日から、東京/成田〜チューリッヒ線を週3便に増便します。

ボーイング777-300ER型機で、東京/成田発が水・土曜、チューリッヒ発が月・木曜の週2便を運航していましたが、これに東京/成田発日曜とチューリッヒ発金曜を加えるものです。

フランス

エールフランス航空は2022年1月3日から、東京/成田〜パリ線を週4便に増便します。

現在東京/成田発は火・金・日曜、パリ発は月・木・土曜の週3便を運航していますが、これに東京/成田発土曜とパリ発金曜を加えるものです。

東京/羽田〜パリ線の週3便をあわせて、東京とパリの間を1日1便で結ぶこととなります。

オーストリア

オーストリア航空は、ウィーン発が10月15日、東京/成田発が10月17日を最終運航日として、東京/成田〜ウィーン線の運航を終了し、冬スケジュール期間中は運休します。

3月に運航を再開してから、ボーイング777-200ER型機で最大週3便を運航し、東京オリンピック・パラリンピックに合わせた臨時便も設定され、9月10日以降は週1便を運航していました。

【中東】エミレーツ航空とカタール航空、再開や増便続々

中東のエミレーツ航空とカタール航空では、ともに路線の再開や増便が相次いでいます。

アラブ首長国連邦

エミレーツ航空は、オーストラリアの検疫措置緩和に伴ってフライトを増やし、11月2日からドバイ〜シドニー線のEK414/415便を1日1便運航します。

また大阪/関西〜ドバイ線を11月3日から増便し、東京/羽田〜ドバイ線の運航を12月15日から再開します。

さらにドバイ〜ロンドン/ガトウィック線の運航も12月10日から再開します。

カタール

カタール航空は、ドーハ〜ルクソール線を11月23日から週4便、ドーハ〜シャルムエルシェイク線を12月3日から週2便で運航を開始し、エジプトへのフライトを段階的に増やす計画です。

またドーハ〜アルマトイ線を11月19日から週2便で運航を再開します。

なおカタール航空は9月14日に、ブルガリアのソフィアへの就航10周年を迎えました。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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