観光マーケティングにおける「LTV」とは?定義と活用事例について 

LTVとは「Life Time Value/ライフタイムバリュー」の頭文字を指し、企業活動における重要指標のひとつとして注目されています。

日本語に訳すと「顧客生涯価値」となり、ある顧客から生涯にわたり得られる利益のことを指します。

本記事では、LTVの観光への活用について紹介します。

LTVの基礎と背景

LTVの意義と、普及している背景について解説します。

LTV(顧客生涯価値)とは

LTVとはLife Time Valueの略称で、日本語では「顧客生涯価値」というマーケティング用語です。

ある顧客が取引を開始してから終了するまでの期間に、自社に対してどれだけ利益をもたらしたかという、収益の総額を算出するための指標です。

企業は新たな顧客を得るために、さまざま施策に対して人的なリソースや大きな資金を投じます。

その結果獲得した顧客とは、一度だけの取引で関係を終わらせてしまうのではなく、その後も良好な関係を築き顧客ロイヤルティを向上させることで、上位サービスへの乗り換えや新たなサービスを紹介し、効率的なLTVの上昇を見込むことができます。

具体的なLTVの値は、一般的に以下の式で計算されます。

LTV = 購買単価×購買頻度×契約継続期間

顧客が継続的に自社の商品やサービスを購入してくれる環境を整備し、それを仕組みとして維持できれば、LTVは上昇していきます。

集客・広告ツールを活用する方法もあり、例えば一度自社サイトや商品を閲覧したことがあるユーザーに対し繰り返し広告を配信する「リターゲティング」などの方法があります。

同じものを何度も目にするうち、次第に良い印象を抱くようになるという人間の心理から、LTVの向上に寄与する可能性が期待される手法です。

LTVが重要視されるようになった背景

国内を対象とするビジネスでは、日本の人口が増加し続け商品やサービスの供給量に対し需要が上回っていた時代には、新規顧客開拓により収益拡大を目指すマーケティングが主流となっていました。

しかし現在は日本国内の人口は減少傾向にあり、新規顧客開拓はより困難な状況となっています。

既存顧客の場合は、良い関係を維持できればリピート購入や紹介による顧客の拡大が期待できます。

アメリカのコンサルティング企業Bain & Company社のフレデリック・F・ライクヘルド氏は「新規顧客を開拓し利益を得るコストに比べ、既存顧客を維持して利益を得るコストは5分の1で済む」と指摘しています。

新規顧客開拓は、顧客との接点を生み出し売上に結びつけるまでに、膨大なプロセスとコストや時間がかかってしまいます。

そのため既存顧客との関係を良好にするマーケティングがより重視されるようになり、その関係性を数値として可視化できるLTVに注目が集まるようになりました。

LTVを最大化するには 顧客との良好な関係性が重要

LTVを最大化するには、主に次のような考え方が挙げられます。

まず「顧客の単価を上げる」という方法があり、単に値上げするだけでなく、既存顧客が離脱しないよう、セット販売やアップグレード、オプションの追加などを定期的に実施することが重要となります。

サービス自体をアップデートし、顧客にマッチする商品を提供することで、より購買意欲を高めることができます。

また単純な値上げでは顧客が離れてしまうため、メールマガジンを配信してオプションの魅力を伝えたり、お試し商品を提供するなどして離脱を防ぐ必要があります。

次に「購入頻度を上げる」方法があり、ここではこまめなフォローが重要となります。

顧客とのタッチポイントを増やすことで、関係を絶やさずサービスに対する興味関心を引き上げることができます。

顧客の好みや商品の購入理由を理解したうえで、顧客のニーズに即したきめこまかなアプローチが必要となります。

メールマガジンの配信や使用感のヒアリング、類似したコンテンツのレコメンドなども効果的です。

最後に「継続利用を促す」方法があり、継続利用期間を延ばし、顧客の離脱を防ぐことが求められます。

長期的な継続利用によって特典を付与したり、お得なキャンペーンを実施するなど、特別感のある体験を顧客に提供すると効果的です。

利益中心のビジネスでは、顧客との関係性が薄れてしまうこともあり、場合によっては高性能な他社のサービスへ顧客が流出してしまう恐れもあります。

顧客と友好な関係性を保つためには、顧客の期待に応えられる結果を出せる体制を整備することが欠かせません。

観光マーケティングにおけるLTVの活用

観光事業におけるLTVの活用事例について紹介します。

じゃらんnet

リクルートライフスタイルが運営する宿泊予約サイト「じゃらんnet」は、デジタル化の中でCRMに注力しています。

きっかけは従来の紙媒体からデジタルに移行したことで、デジタルマーケティングとして顧客に応じたメールマガジンの配信などに取り組んでいます。

当初はレジャー市場向けのサービスがメインでしたが、ビジネス市場にも拡大され、レンタカー予約や遊び体験予約、ゴルフ場予約などのサービスにも拡大しています。

CRMとは日本語で「顧客関係管理」を意味し、その達成を測るためのKPIとしてLTVが導入されています。

じゃらんを好きな人を増やし、嫌いな人を減らすこと」を目的に、リピート率や年間利用回数、ネットプロモータースコアも関連する指標として測定しています。

じゃらんのメールマガジンは、かつて全会員に同じ内容を一斉送信していましたが、読まれず放置されていました。

そこで個別のユーザーと向き合うCRMのパーソナライズ化を図り、誕生日のタイミングで食事やプレゼント購入などの情報を送信したり、ゴルフ初心者の人にノウハウ情報を送るなど内容を個別で分けるようにしました。

じゃらんは、CRMの目標指数としてLTVを挙げていますが、それに終わりはなく、じゃらんをはじめとした旅行業界全体の底上げを図っています。

京都市観光協会

京都市観光協会では、顧客である観光客の満足度の高さを測定するための指標として、「愛着度(ネットプロモータースコア)」を導入しています。

ネットプロモータースコアは、個人の1回の旅行における満足度にとどまらず、その後の再訪可能性や知人への推薦行動も含めたLTVを反映する、網羅性の高い指標と位置付けています。

その数値は、2019年は日本人のNPSが18.3%、外国人のNPSが54.2%という結果でした。

これは京都観光を進めたいかという問いに対し、肯定的な回答者の割合から否定的な回答者の割合を差し引いた値です。

「その土地のファン」を育むために、観光文脈でも重要視されるLTV

観光業界においては、旅行者数を目標とするだけではなく、顧客である観光客の満足度の高さを測定するLTVを活用することで、より効果的な観光マーケティングにつながります。

また観光においてCRMを重視することは、安定的に観光客数を伸ばすことにつながり、またLTVの高い観光客を創造することができます。

そのためには、情報を発信する側がよりパーソナライズされた情報提供を意識することも、手段のひとつとなります。

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<参照>

京都市観光協会:KPI(主要指標)

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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