観光マーケティングにおける「4C分析」の重要性とは?事例とともに紹介

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先行きの見通しが立ちにくいコロナ後のインバウンド誘致戦略を立てる上で、マーケティングの重要性はより増しています。

4C分析とはマーケティングに用いられるフレームワークの一種で、消費者側の視点に立って行うマーケティング活動を指します。

本記事では、4C分析を観光マーケティングでどのように活かせるか、実際の事例を交えて解説します。

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観光マーケティングにおける4C分析とは?

まず観光マーケティングにおける4C分析の重要性について紹介します。

4C分析とは

4C分析とは、企業や地域の視点ではなく、顧客や消費者の視点に立ってマーケティングを行うことです。

4Cとは、重要な指標となる以下の4つの要素の英語の頭文字を取ったものです。

  1. 顧客価値(Customer Value)
    消費者が商品やサービスを購入する時、物理的なもの以外の付加価値(感情などの観点)があるのかを考えます。
    良い製品やサービスはすでに世の中に多く存在するため、独自の付加価値による差別化を図ることが目的です。

  2. 経費(Cost)
    個々での経費とは、企業側の経費ではなく、消費者側から見た経費です。
    商品やサービスにかけてもいいと考えるコストのことで、いくらくらいまでなら商品にお金を出せるかなど、設定した価格の妥当性を考えます。
    消費者にとって、最適な購入状況や価格を設定するのに役立つ指標となります。

  3. 顧客利便性(Convenience)
    企業ではなく、消費者にとって商品を入手しやすい経路を考案します。
    例えばリアル店舗よりネットで購入する人が多い商品であれば、ネット販売の方が顧客利便性は増すことになります。

  4. コミュニケーション(Communication)
    4Cにおけるコミュニケーションとは、広告などの一方的なアプローチではなく、アフターサービスなどの提供を指し、消費者の信頼につながります。

訪日外国人による観光を4C分析にあてはめて考えてみましょう。

まず顧客価値(Customer Value)について。例えば訪日外国人にとって食事は日本食の味を楽しむだけでなく、日本独自のマナーを学べる機会にもなり、着物などの日本料理店の従業員の制服も外国にはない文化として体験できます。

経費(Cost)に関しては訪日外国人が訪日旅行中に消費する金額について考えます。観光地に行くまでに必要な交通費、コンテンツを体験することにかかる費用などを分析します。

また顧客利便性(Convenience)については訪日外国人が利用する交通機関、どのようなルートで観光地を訪れるか、どこを訪れ何日間滞在したかなどを分析します。

そしてコミュニケーション(Communication)においては、多言語対応のほか、施設のスタッフとコミュニケーションがとれるようなサービスを充実させることなどが焦点となるでしょう。

観光マーケティングの体系

マーケティングプロセスは、大きく「市場分析→セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニング→マーケティングミックス→実行と評価」という6つの段階に分類されます。

それぞれの段階を解説します。

  1. 市場分析
    まず「市場・顧客」の視点に立ち、経済・社会・文化などの外部環境要因を調査します。
    「地域が推したいモノ」と「消費者に響くモノ」の差をなくすために差別化が重視されるからこそ、常に消費者視点に立った観光マーケティングや特産品の開発を行い、売れるモノを作れるよう取り組むことが重要になります。
    さらに「SWOT」分析によって、地域の強みや弱み、観光商品の機会や脅威などの内部的要因を調査し、強みだけに焦点を当てたオーバーツーリズムやリスク管理の出来ていない事業体制を払拭することも重要です。
    また弱みや脅威などといったネガティブな要素から、新たな観光施策を推進し、持続可能な観光地域づくりを実現することも重要です。

  2. セグメンテーション
    近年では、普及するSNSなどを活用して地域が直接消費者にアクションを起こしたり、観光客も観光商品や観光地を検索・シェアできるようになりました。
    セグメンテーションにおいては、消費者とのコミュニケーションに重点を当てることが重要となります。
    コミュニケーションを充実させるための消費者の行動や好み、特徴などがセグメント要素となります。

  3. ターゲティング
    セグメンテーションにより区分された分野をターゲティングするにあたり、「SWOT分析」の結果を考慮してターゲットを決定する必要があります。
     観光の場合、多くの企業が参入する分野が必ずしも地域に適した分野とはなりません。

  4. ポジショニング
    ポジショニング段階では、観光市場や社会情勢といった「市場動向」と、他企業との「差別化」を考慮する必要があります。

  5. マーケティングミックス
    マーケティングミックスでは、「高付加価値」を意識して、各項目を策定し選定する必要があります。
    ここでの手段として4C分析を使うことができ、アフターサービスの充実による満足度の向上や、アンケート調査などにより消費者にさらにフォーカスします。

  6. 実行と評価
    実行と評価の段階においては、特に数字やデータに注意して「PDCAサイクル」を回すことが重要となります。

戦略の鍵は顧客にある 訪日外国人目線で観光を見る

実際に、観光客の視点に立った観光マーケティング事例を紹介します。

高千穂町の「来てほしい人に来てもらう仕組み作り」

宮崎県高千穂町では、各種データの収集・活用により外国人のニーズを分析し、インバウンド施策に活かしています。

高千穂町の取り組みは、まず高千穂で実際に何が起こっているのか、どこから来た人が何を目的に高千穂を訪れ、どんな旅をしているかを把握することから始まります。

第一にアンケート調査を行い、協会が運営する事業所(観光案内所など)やみやげ店、宿泊施設に依頼しアンケート用紙を置き、定期的に集計します。

次に町内で一番外国人が訪れている観光名所・高千穂峡での聞き取り調査を行います。

聞き取りは、町が募集した「地域おこし協力隊」の英語ができるスタッフに依頼して不定期に行われます。

高千穂峡は切り立った峡谷に真名井の滝が豪快に流れ落ちる風光明媚な場所です。

ほとんどの日本人観光客は橋の上や展望台から見下ろす風景を楽しむため、外国人も同様だろうと考えられていました。

しかし外国人への聞き取り調査で、風景よりも渓流でのボート遊び目的の方が圧倒的という結果が明らかになりました。

また外国人のニーズや行動を把握する手法として、ある旅行者の旅マエ旅ナカ旅アトの行動と心理を図式化した「カスタマー・ジャーニー・マップ」を活用しています。

「ある場所である時間にひと休みする」という行動・ニーズが分かれば、その場所・時間に休憩できる店や商品を用意することで販売チャンスにつながります。

高千穂町ではウェブサイトやパンフレットの多言語化のほか、観光案内所英語対応、ウェブサイトの全面リニューアルなどに取り組んでいます。

訪日外国人は地域を訪れることに関心が高く、「体験」を通じ日本の自然や文化に触れたいという意識が高いことが分かります。

観光庁も「観光ビジョン実現プログラム2019」の中で、「地域の新しい観光コンテンツの開発」を掲げ、国立公園や文化財などの活用を通じて魅力あるコンテンツを提供し、地域への訪日外国人旅行者の誘客・消費拡大の推進につなげることを目指しています。

このように地域の魅力を思い込みをせず、訪日外国人目線で再確認することが正しい施策を実行するうえで重要となります。

コロナ収束後に備えて 市場目線に立ったマーケティングを行うことが重要

コロナ収束後、訪日外国人の増加のほか、個人旅行や少数での家族・友人旅行が主流となることが予想されます。

自分の地域の特性はどのセグメントをターゲットにするのが最適か分析するとともに、先入観にとらわれることなく、実際のアンケートなどを通じた市場目線に立ったマーケティングが必要となります。

分析やマーケティングを経て、顧客や消費者に求められる観光商品・サービスを醸成していくことが重要です。

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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

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【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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