世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界各国では入国制限などの規制が続けられ、航空会社は依然として大きな影響を受けています。
クリスマスから顕著となっていたコロナ禍での空の混乱は新年も続き、1月2日には米国便を中心に世界で4,000便以上が運休となりました。
国際航空運送協会(IATA)は1月25日、2021年の航空旅客需要がコロナ禍前の2019年と比較し58.4%減少したと発表しました。
オミクロン株などの感染拡大を受けて各国が渡航制限を強化したことが影響しており、国際線の旅客需要は2019年対比75.5%減と落ち込みました。
国内線は全体で28.2%にとどまったものの、移動自粛が広まった日本は57.9%となりました。
いっぽう景気回復に伴う物流ひっ迫を背景に、貨物需要は2019年対比6.9%増、2020年対比では18.7%と好調で、1990年以降で2番目に高い増加率となりました。
なおIATAが1月11日に発表したデータによれば、有償旅客の輸送距離を示すRPK(有償旅客キロ)ベースの2021年11月の旅客実績は、国際線と国内線の合計で2019年同月と比較し47.0減となりました。
前月からはわずかながら改善が見られ、国際線は世界各地で伸びているものの、中国国内での新たな移動規制の影響を受けて、国際線は悪化しています。
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【東アジア】国内の年末年始国内線、コロナ禍前の8割まで回復
日本国内では、年末年始のANAとJALの国内線利用が、コロナ禍前の8割まで回復しました。
日本国内
全日空(ANA)と日本航空(JAL)の2021年度年末年始の利用実績は、国内線はコロナ禍前の2019年比で8割に回復しました。
航空各社は2月の国内線の減便を決定し、減便率はJALが26%、ANAが19%、ジェットスター・ジャパンが7.5%、スターフライヤーが15.7%となります。
スプリング・ジャパンも、1月と2月の国内線で計104便を減便します。
またJALは、約1年11か月ぶりとなる関西~ロサンゼルス線の定期便を、関西圏からの赴任や帰任する人を主な対象として3月1日~26日に運航します。
韓国
大韓航空の2021年12月期の暫定業績は、通期で黒字化し、営業利益は過去最高となりました。
グアムやシンガポール、ハワイの入国制限緩和に伴い、旅行事業の売上高は3,795億ウォンとなり、年末の需要増加や旅客機の運航減少により貨物事業は過去最高を記録しました。
アシアナ航空は、3月27日からエアバスA380機を定期便運航に戻す計画で、同日からソウル・仁川国際空港発着のロサンゼルス、フランクフルト線の2路線でデイリー運航されます。
香港
香港政府は、ANAの東京/成田発の旅客便の乗り入れを1月9日から22日まで禁止しました。
1月7日の東京/成田発香港行き、NH811便の乗客のうち6名が新型コロナウイルスの感染が確認され、サンフランシスコ発のシンガポール航空便でも8名の感染者が確認されたことを受けたものです。
またオミクロン株拡大防止のため、日本を含む高リスク国(グループA)に過去21日以内に滞在した人の乗り継ぎを、1月16日から2月15日まで禁止します。
中国
チャイナエアラインは、東京/羽田〜台北/松山線にエアバスA321neoを導入し、5月4日から水・土曜の週2便を運航します。
プレミアムビジネスクラス12席、エコノミークラス168席の計180席を備え、プレミアムビジネスクラスには15.6インチ、エコノミークラスには、13.3インチの4Kモニターを備えています。
さらにスマートリンクに対応し、乗客のスマートフォンやBluetoothイヤホンで機内エンターテインメントが利用でき、化粧室には非接触センサーが導入されています。
【東南アジア】シンガポール航空、バリ島路線を1日1便で再開
東南アジアでは、ベトナムのバンブー・エアウェイズが成田~ハノイ線を開設したほか、シンガポール航空がバリ島を結ぶ路線を再開するなど、開設や再開の動きが相次いでいます。
タイ
タイ国際航空は、3月1日から大阪/関西〜バンコク線を1日1便に増便します。
12月7日から週6便に増便したものの、1月1日から2月28日までは週5便に減便しており、3月からは1日1便に増便するものです。
また1月1日からは東京/羽田〜バンコク線の週3便の運航を計画していましたが、再開を取りやめました。
これにより日本路線は、東京/成田・名古屋/中部・大阪/関西〜バンコク線の3路線のみの運航となり、名古屋/中部・大阪/関西〜バンコク線も1月1日から減便しています。
ベトナム
ベトナムのFLCグループのフルサービス航空会社であるバンブー・エアウェイズは、1月25日に東京/成田〜ハノイ線を開設しました。
1月は25日と26日のみ、2月11日以降は火曜と金曜の週2便での運航を予定しており、渡航制限により当面は成田発の片道のみ運航されます。
またベトナム航空は2月9日から、大阪/関西〜ハノイ線を水・金曜の週2便、名古屋/中部〜ハノイ線を水曜の週1便で、運航を再開します。
ベトナム航空は、地方路線の再開により、ベトナム人の帰国需要のみならず日本人ビジネス客の需要にも応えたいとしています。
シンガポール
シンガポール航空は、2月16日からシンガポールとインドネシアのバリ島を結ぶ路線を1日1便で再開すると発表しました。
同社によるインドネシア路線は、シンガポール~ジャカルタ線に次ぎ2路線目となります。
ジャカルタ発シンガポール行きはワクチン接種者専用フライトも運航中で、シンガポールでは隔離なし入国も可能となっています。
マレーシア
マレーシアの格安航空会社エアアジアは、2月14日からクアラルンプールとオーストラリアのシドニーを結ぶ直行便を再開します。
3月22日までの冬ダイヤ中は週1便に限定され、エアバスA330を使用します。
同社が国際線の定期便を運航するのは、事業再建計画承認後としてはこれが初めてです。
【北・南米】デルタ航空、2四半期連続で黒字計上
アメリカでは、デルタ航空が2四半期連続で黒字を発表したほか、新規航空会社のノーザンパシフィック航空が初号機をお披露目しました。
アメリカ
デルタ航空が1月13日に発表した第4四半期決算は、年末年始の堅調な旅行需要を背景に利益が市場予想を上回り、2四半期連続で黒字となりました。
オミクロン株感染拡大の影響で1~3月期は赤字を見込むものの、早期に持ち直すとの見通しを示し、2024年までにコロナ禍前の業績を上回るという目標を堅持しています。
またユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスが発表した2021年12月期の決算は、売上高が246億3,400万米ドル、純損失は19億6,400万米ドル、調整後純損失は45億米ドルで、通期の座席利用率は72.2%となりました。
今春以降の予約は好調であるものの、オミクロン株の影響で供給量の拡大は今年後半に延期するとしています。
2022年の通年の供給量は2019年より低い見通しですが、2023年以降は目標を維持するとしています。
アンカレッジのテッド・スティーブンス国際空港を拠点とする新規航空会社のノーザンパシフィック航空は1月18日、カリフォルニア州サンバーナーディーノのサーティファイド・アビエーション・サービス(CAS)の格納庫で初号機をお披露目しました。
ボーイング757-200型機の初号機は、黒とグレーでアラスカの大自然の美しさを表現し、シンボルマークの「N」がデザインされました。
同社はアメリカ各地と日本、韓国への乗り入れを目指しており、アメリカン航空が運航していたボーイング757-200型機6機を購入しました。
【オセアニア】豪航空会社、1~3月の国際線を削減 オミクロン株影響
オーストラリアではオミクロン株の影響により、カンタス航空とジェットスター航空が1~3月の国際線の運航規模を削減します。
オーストラリア
カンタス航空とジェットスター航空は、1月~3月の運航規模を需要に合わせて調整します。
コロナ禍以前に比べ国内線は102%、国際線は30%を見込んでいましたが、国内線を70%、国際線は20%に変更します。
国際線の削減は、オミクロン株の影響を受けた日本やタイ、インドネシアなどでの入国規制強化によるもので、引き続き好調なロンドンやロサンゼルス、インド路線などは運航を継続します。
【ヨーロッパ】フィンエアー、日本路線で夏から運行再開や増便へ
ヨーロッパでは、フィンエアーが夏スケジュールから日本路線での運航再開や増便を予定しています。
オランダ
KLMオランダ航空は、3月27日から5月29日までの運航スケジュールを決定し、日本線2路線週7便を運航します。
東京/成田〜アムステルダム線を週5便、大阪/関西〜アムステルダム線を週2便の、あわせて週7便を運航するものです。
フィンランド
フィンエアーは日本路線の運航計画を更新し、名古屋/中部〜ヘルシンキ線を夏スケジュールから週7便で運航を再開するほか、大阪/関西〜ヘルシンキ線の夏スケジュールから週14便に増便します。
東京/羽田〜ヘルシンキ線は夏スケジュールから週7便で就航し、福岡〜ヘルシンキ線は夏期の季節定期便として週3便を運航し、札幌/千歳〜ヘルシンキ線は初の夏期運航を週2便で開始します。
またフィンエアーは新型コロナウイルスのオミクロン株とインフルエンザの影響による病欠者の増加に伴い、2月の運航規模を約2割削減します。
フィンエアーやパートナー企業で予想される病欠者数に応じて、1日に複数便を運航するストックホルムやオスロ、コペンハーゲン、パリ、ローマなどへの路線を中心に欠航を決定しました。
フランス
エールフランス航空は、3月27日から5月29日までの運航スケジュールを決定し、日本線3路線週11便を運航します。
東京/羽田〜パリ線を週5便、東京/成田・大阪/関西〜パリ線を週3便の計週11便運航するもので、貨物需要を鑑み貨物専用便も運航します。
ドイツ
ルフトハンザ・ドイツ航空は、3月に運航再開を予定していた大阪/関西〜ミュンヘン線再開を6月1日に延期しました。
同日には名古屋/中部〜フランクフルト線の運航も再開され、東京/羽田〜フランクフルト・ミュンヘン線を合わせた4路線が出そろうこととなります。
【中東】エミレーツ航空、羽田線を3月から再開へ
中東では、エミレーツ航空が延期していた羽田~ドバイ線を3月から週4便で再開する予定です。
アラブ首長国連邦
エミレーツ航空は、12月から運航再開を予定していたものの3度目の延期となっていた、東京/羽田〜ドバイ線の運航を3月1日から週4便で再開します。
これにより、東京/成田〜ドバイ線の1日1便と、大阪/関西〜ドバイ線の週5便を合わせて、日本路線は3路線週16便が運航されます。
またエミレーツ航空は、アラブ首長国連邦(UAE)政府による入国や乗り継ぎ禁止措置が解除されることに伴い、1月29日からアフリカ5か国(エチオピア、タンザニア、ケニア、ジンバブエ、南アフリカ)への運航を順次再開します。
カタール
カタール航空は、1月17日にドーハ〜タシケント線を開設し、エアバスA320型機で週2便を運航します。
ウズベキスタンの首都タケシントは、中央アジア最大の都市で、ドーハ経由で140都市からアクセスできるようになります。
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