観光庁が訪日客を対象に行った調査によると、旅行出発前の旅行先情報を「SNS」で収集したと答えた人は21.9%。実に、5人に1人以上もの旅行者がSNSを使って旅行先の情報源として活用しているのです。
そんな中、昨今の中国人向けインバウンド向けマーケティングでは、LINEやInstagramではなく中国のSNSを活用するのがメジャーです。ではなぜ、中国のSNSを活用するのが良いのでしょうか。
本記事では、インバウンド向けマーケティングに活用できる中国のSNSアプリ5選と、中国SNSアプリを使うべき理由について解説します。
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中国SNSアプリ5選
ここでは、中国SNSで人気のアプリを5つ紹介します。WeChat(微信)
WeChat(微信:ウェイシン)は、テンセント(腾讯)社が2011年にリリースした無料のソーシャルメッセンジャーアプリです。日本の「LINE」と似た機能を持っています。中国国内では、最もメジャーなアプリで、2020年のデータによればユーザー登録数は12億人にものぼります。また、20以上の言語に対応しており、母語が中国語でない人でも使えます。
メッセンジャーアプリとしての機能だけではなく、ショッピング決済や知人への送金ができ、ゲーム機能も搭載されています。日本国内でもWeChat決済を取り入れている店舗があります。
さらに、企業向けに公式アカウントを用意しており、日本の公式LINEとほぼ同様のビジネス活用が可能です。
Douyin(抖音)
Douyin(抖音:ドウイン)は、バイトダンス社(字节跳动)が2016年にリリースしたショート動画配信SNSアプリです。日本ではTikTokとしてリリースされています。全世界で利用されているSNSで、公式発表ではありませんが、2021年時点で15億人が利用しているといわれています。また、中国国内だけでも2020年時点で4億人が利用しているそうです。
日本でも人気のSNSですが、中国版は機能が一部異なります。
- 映像編集機能が豊富
- アルゴリズムによるパーソナライズが徹底されている
- ライブコマース機能によるアプリ内決済が可能
上記の機能が搭載されていることにより、若者だけではなく30代以上の利用者が多いのも特徴です。
Red(小红书)
Red(小红书:シャオホンシュー)は、行吟信息科技有限公司が2013年にリリースしました。女性をターゲットにしており、美容やファッション情報を共有できるSNSです。
InstagramやPinterestと似たような機能があります。また、ショッピング機能が搭載されており、トレンドに敏感な35歳以下のユーザーが多いです。
Zhihu(知乎)
Zhihu(知乎:ジーフー)とは、2011年にリリースされたQ&Aのソーシャルサイトです。Yahoo!知恵袋のような機能を持っています。
2020年末の時点で年間のアクセス数は30億回以上、質問数は4,400万件超、回答数は2億回を超えています。
Q&Aサイトとしての機能のみならず、知識コンテンツも発信できる点が特徴です。
月額サブスクリプションサービスも搭載されており、課金ユーザー数は250万人以上と言われています。
Weibo(微博)
Weibo(微博:ウェイボー)とは、SINA corporation(新浪)が2009年にリリースしたSNSです。中国版X(旧Twitter)とも呼ばれています。全世界ユーザーは8億人で、海外からも注目されているSNSプラットフォームです。
短い文章をつぶやけるミニブログ機能やEC機能を搭載しています。
中国で世界のSNSは使用できない
中国のSNSは世界と異なる独自の文化があります。なぜ、中国のSNSは世界のSNSとは違うものが人気なのでしょうか。
その理由は、中国国内では中国以外のSNSが使えないことにあります。
ファイアウォール
中国で世界のSNSが使えないのは、中国政府が規制をしているからです。グレート・ファイアウォールというセキュリティシステムを搭載しており、中国国内からは国外のサービスに接続できない仕組みになっています。中国が他国のSNSに国民を接続させない理由は、国内のSNSプラットフォームを活性化させ、成長させていきたいからです。また、他国のSNSと接続させないことで、海外に国内資本を流出させない狙いもあります。
日本の有料VPNを使用して接続できる場合もありますが、中国向けのインバウンド施策を行う際は、中国のSNSを活用しましょう。
中国で使えないSNS一覧
ここでは、中国で使えないSNSの代表例を5つ紹介します。- YouTube
- X(Twitter)
- LINE
上位4つはアメリカ、LINEは韓国でリリースされていますが、いずれのSNSも中国に入国した時点で利用できなくなります。
中国SNSアプリを活用したビジネス
中国のSNSは、中国向けインバウンドビジネスで活用できます。中国でSNSマーケティングを行うために、メリット・デメリットを理解しましょう。メリット
中国のSNSを活用したマーケティングのメリットは、各プラットフォームによって異なります。拡散力の高いWeiboやDouyin、Redは、バズマーケティング手法でより多くの認知と集客を拡大できます。
WeChatは、日本の公式LINEのように、ナーチャリングコンテンツを発信し、会社の信頼度を高められるでしょう。
Zhihuは、サブスク機能が搭載されているので、長期的な収益獲得が期待できます。
また、どのプラットフォームもアプリに、ライブコマースや決済機能が搭載されており、SNS上でビジネスを行えるので、初期投資を抑えられ参入障壁も低いので日本企業が参入しやすいと言えるでしょう。
デメリット・注意点
中国のSNSを活用するマーケティングのデメリットは、日本のSNSと機能が異なる点です。X(Twitter)やInstagramと似た機能を持つSNSはありますが、全く同じではありません。それぞれのSNSの特徴を把握し、使い方やユーザー属性を理解しないと成功できないでしょう。
DouyinもTikTokよりも幅広い使い方ができるからといって、同じ意識でマーケティングを行っても期待した結果が得られない可能性があります。
中国SNSアプリの活用事例
ここでは、中国のSNSアプリを活用した日本企業の成功事例を4つ紹介します。JNTO
JNTO(日本政府観光局)は、Weiboで人気のある3名のインフルエンサーにPRを依頼しました。実際に3名に九州に来訪してもらい、フォロワーに対して体験した内容をWeiboで発信してもらったのです。JNTOの中国キャンペーンは成功し、インバウンド観光客の増加に繋がりました。ANA
ANAはWeiboで公式アカウントを運用しています。日本のニュースやトレンド、ANAの中国人向けサービスの紹介など、中国人の興味・関心を引くような発信が特徴です。2022年現在のフォロワーは84万人超えで、中国SNSマーケティングを成功させています。エディオン
西日本中心に展開する家電量販店のエディオン。Weiboで中国人向けの広告を配信することで、2022年現在3.7万人のフォロワーを獲得しています。また、Weiboの他にWeChatも活用しており、中国のSNSを積極的に運用して、中国人観光客の誘致に成功しています。西武鉄道
秩父や川越など、観光地への貴重な移動手段を提供する西武鉄道。
2022年夏、訪日中国人観光客向けに「SEIBU KAWAGOE PASS」のRedを活用したプロモーションを展開しました。この施策は大成功を収め、乗車券購入数も目標を大きく上回りました。
まとめ
中国のSNSは日本企業が、インバウンド向けにマーケティングを行うのにおすすめです。中国独自のSNSを活用し、プラットフォームの特性やユーザー属性を理解することで、中国人向けインバウンド施策の成功を目指しましょう。
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