日本の「観光GDP」欧米水準より低いと指摘、「稼ぐ力」課題に 2023年度観光白書

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政府は、2023年(令和5年)版の「観光白書」を閣議決定し、公表しました。今回の観光白書は「観光の動向」「令和4年度に講じた施策」「令和5年度に講じようとする施策」の3部で構成されています。

新型コロナウイルス感染症からの回復が進む一方で、生産性の低さや人手不足などといった、日本の観光産業の構造的課題が顕在化していることを指摘しています。

これらの課題を解決するには、「稼げる地域・稼げる産業」への変革の必要性が重要であるとも主張。どのようにしてこの課題を解決していくのでしょうか。

本記事では、観光白書の内容を簡単に解説します。

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令和5年度の「観光白書」

観光白書とは、その年の観光動向や講じた施策、次年度に講じる施策などをとりまとめたもの。観光白書の内容を理解することで最新の観光業界の動向を理解できます。

そんな観光白書の令和5年度版が6月13日に発表されました。おもな内容としては以下の3つです。

  • 第1部:観光の動向
  • 第2部:令和4年度に講じた施策
  • 第3部:令和5年度に講じようとする施策

それぞれポイントをピックアップして解説します。

第1部:「観光の動向」

第1部には、世界および日本の観光の動向について記されています。

UNWTO国連世界観光機関)が発表した「外国人旅行者受入数ランキング」において、2021年の日本の受け入れ人数は25万人にとどまりました。

2020年は412万人で21位(アジアで5位)に位置していましたが、2021年はランク外になりました。

▲世界の観光の動向:観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット
▲出典:『令和5年版観光白書について(概要版)』(観光庁)(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001613735.pdf)の3頁を抜粋

JNTO(日本政府観光局)によると、2022年の日本の訪日外国人旅行者数は383万人でした。

2022年6月に外国人観光客の受け入れを再開してからは、10月に入国数の上限を撤廃したり、個人旅行やビザなし渡航を解禁したりなど、水際措置が大幅に緩和されたことで大きく増加しました。

年間では2019年比で88.0%減という大幅ダウンを記録していますが、2022年12月の単月だけを見るとコロナ前の同月比で54.2%まで回復しています。2023年4月は2019年同月比で66.6%まで回復するなど、回復の兆しを見せている状況です。

内訳ではアジアがもっとも多く、全体の72.%を占めており、なかでも韓国が101.3万人(26.4%)と最多となっています。

▲世界の観光の動向:観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット
▲出典:『令和5年版観光白書について(概要版)』(観光庁)(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001613735.pdf)の4頁を抜粋

訪日外国人の旅行消費額(試算値)を見ると、こちらもやはりコロナ前と比較して大幅ダウン。2022年は8,987億円と、2019年比で81.3%減という結果になっています。

水際措置の大幅緩和後は回復傾向にあり、2019年同期比で10月~12月期は約50%、2023年1月~3月期は約90%まで回復しています。

全国主要ホテルに目を向けてみると、平均客室稼働率は2022年からすでに回復傾向にありました。2022年3月にまん延防止等重点措置が全面解除されたことにくわえ、2022年10月にスタートした「全国旅行支援」によって国内旅行需要が大幅に増加したことが理由です。

▲出典:『令和5年版観光白書について(概要版)』(観光庁)(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001613735.pdf)の5頁を抜粋

第1部の3章では、持続可能な観光地域づくりをするために必要な「稼ぐ力」について取り上げられました。

国際観光客数は世界全体で回復傾向にある一方で、日本の地方経済や雇用の担い手となるべき観光産業においては、生産性の低さや人材不足といった積年の構造的課題がいっそう顕在化しているとしています。

2021年の産業別離職率では、「宿泊業・飲食サービス業」が25.6%ともっとも高くなっています。

観光白書では、これらの構造的課題を解決するために、観光産業において「稼ぐ力」(収益)を強化することが早急の課題だとしています。

▲顕在化する観光産業の構造的課題:観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット
▲出典:『令和5年版観光白書について(概要版)』(観光庁)(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001613735.pdf)の11頁を抜粋

観光白書では、日本の観光GDPが欧米主要国と比べると低いことを指摘しています。観光GDPとは、国内で生産した観光サービスによる付加価値額のことをいいます。

日本の観光GDPは11.2兆円(2019年)と、コロナ前まで着実に増加してきました。一方、経済全体に占める割合は2%にとどまっており、先進7か国(G7)平均の4%とは大きな差があります。

また就業者一人当たりの付加価値額でも、日本は全産業(806万円)に対して「観光産業他」が491万円、「宿泊業」が534万円と相対的に低い状況です。

宿泊業に着目すると、米国が976万円と顕著に高く、スペインが709万円、イタリアが690万円と続いています。

日本が「稼げる産業」への変革を進めるためには、売上高の増加(客単価×顧客数の増加)が取組課題になると指摘しています。

▲観光分野における「稼ぐ力」の現状と課題:観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット
▲出典:『令和5年版観光白書について(概要版)』(観光庁)(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001613735.pdf)の13頁を抜粋

第2部・第3部:「令和4年度に講じた施策」「令和5年度に講じようとする施策」

ここからは昨年度実施した施策、そして今年度の施策について抜粋して紹介します。

令和4年度に講じた施策、令和5年に講じようとする施策:観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット
▲出典:『令和5年版観光白書について(概要版)』(観光庁)(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001613735.pdf)の22頁を抜粋

第2部と第3部では、おもに以下の3つの戦略について取り上げています。

  • 持続可能な観光地域づくり戦略
  • インバウンド回復戦略
  • 国内交流拡大戦略

まず「持続可能な観光地域づくり戦略」では、観光産業の収益力と生産性を向上させ、地域社会・経済に好循環を生む仕組みづくりを推進します。たとえば、地域が一体となってキャッシュレス化を進めるなど、観光DXを推進させることが重要だとしています。

インバウンド回復戦略」では消費額拡大・地方誘客促進を重視しており、コンテンツや受け入れ環境の整備などが進められています。

続く「国内交流拡大戦略」では、日本国内のことについて幅広く言及。人口減が進むなかでも国内旅行の実施率を向上させたり、滞在を長期化させたりすることが重要だと述べています。

そのためにも国内旅行需要の喚起やワーケーションの普及促進、第2のふるさとづくりなどの施策が引き続き行われるとしています。

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<参照>

観光庁:「令和4年度観光の状況」及び「令和5年度観光施策」(観光白書)について

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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