イギリスでもクルーズ寄港規制か オーバーツーリズム対策で

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イギリスのオークニー諸島議会(OIC)は、同諸島に寄港するクルーズ船の数を規制する新たな方針を明らかにしました。

オークニー諸島はイギリスで最も人気のあるクルーズ船寄港地の一つとして知られている一方、島内ではクルーズ船による訪問客が増えすぎたことで住民の生活に影響が出ています。

すでにイタリアやオランダなどでも同様の措置が取られており、世界各地で新たにオーバーツーリズム対策を講じる国が増えています。

今回は、コロナ禍を経て観光客が戻る中、世界的な問題となっているクルーズ船によるオーバーツーリズムの影響について、国内外の事例をまとめました。

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英オークニー諸島、クルーズ船寄港数を制限へ

イギリスのオークニー諸島議会(OIC)は、地元のクルーズ船業界に対する新たな規制提案を発表しました。

オークニー諸島は「イギリスで最も人気のあるクルーズ船の寄港地の一つ」として知られており、コロナ前から多くのクルーズ船客を受け入れてきました。

しかし、通常の観光客に加えクルーズ船によって一度に多くの観光客が押し寄せるようになったことで島民の生活が圧迫されており、以前からクルーズ船の寄港数制限が検討されていました。

今回の規制提案ではクルーズ船の乗客数に応じて制限が設けられ、例えば乗客数5,000人以上の船は常に1隻しか停泊できないようになります。

この提案は8月22日に港湾局の小委員会で討議される予定です。

世界各地で同様の措置が取られている

同様の措置は世界各地で講じられています。

2021年7月にはイタリア政府が、人気観光地ヴェネツィアの中心部へのクルーズ船の出入りを禁止しました。

これは、ユネスコより世界遺産でのクルーズ船航行を禁止しなければヴェネツィアを「危機遺産」に登録するとの警告があったことを受けて決定されたものです。

2023年7月には、オランダのアムステルダムでクルーズ船の市中心部への出入りが禁止されました。

この措置は環境汚染対策を目的としているほか、近年アムステルダムで問題となっている、観光客による「バチェラーパーティー(※結婚を控えた男性が「独身最後の夜」を友人たちと過ごすパーティー)」を抑制する狙いがあります。

他にもギリシャのサントリーニ島や、アイルランドの首都ダブリン、リゾート地タヒチを有するフランス領ポリネシアなどがクルーズ船の寄港制限を行っているほか、スペインのバルセロナでは制限措置が検討されています。

日本のクルーズ船オーバーツーリズム問題:博多港の例

日本ではこのクルーズ船のオーバーツーリズムに関して、どのような現状があるのでしょうか。

2019年にクルーズ船寄港回数が国内2位となった博多港の例を紹介します。

クルーズ船によるオーバーツーリズムについて調査した論文によると、福岡市ではクルーズ船客の利用する観光バスによって観光地や免税店周辺の駐車場が満杯となり、溢れたバスが路上駐車するなどして交通の混雑が発生していました。

福岡市ではこれに対し、専用のシステムを作って観光地や免税店周辺の駐車場の利用状況を表示し、事前予約ができるようにしました。

その結果、観光バスがスムーズに運行できるようになり、道路の混雑は解消されたといいます。

日本着クルーズの最新動向:政府目標「2025年にコロナ前水準まで回復」

国土交通省港湾局によると、日本では2023年3月にクルーズ船の運航が再開されました。

クルーズ船の国内寄港回数は、2019年には2,866回でしたが、2020年には352回まで落ち込みました。

その後2022年には720回まで回復し、2023年年間では1,826回を見込んでいます。1,826回のうち外国船社が1,260回と、3分の2程度を占める予想です。

政府は、クルーズ船客を2025年にコロナ前ピーク水準の250万人まで回復させるとの目標を打ち出しています。

外国クルーズ船が寄港する港湾数については、2025年にコロナ前ピーク水準の67港を上回る100港とすることを目指して取り組むとしています。

今後、クルーズ船で日本を訪れる外国人観光客が増えていけば、前述した福岡市のようなオーバーツーリズム問題が日本各地で発生することも予想されます。

船の航行による大気汚染や海の水質汚染なども懸念されるため、国としてどう対応していくかが今後の課題となるでしょう。

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<参照>

The Orcadian:Council reveals proposals to control cruise ship arrivals

Reuters:EXCLUSIVE Italy bans cruise liners from Venice, after years of hesitation

BBC:Amsterdam bans cruise ships to limit visitors and curb pollution

Forbes:War On Cruise Ships? Amsterdam Latest Port To Limit Or Ban Cruise Liners

国土交通省港湾局:クルーズの最近の動向について

国土交通省:2019年の訪日クルーズ旅客数及び我が国港湾へのクルーズ船の寄港回数について(確報)

東洋大学大学院紀要(成実信吾、2021):クルーズ船によるオーバーツーリズム問題、その緩和策の考察

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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