【武井俊輔衆議院議員に聞く・前編】旅館業法改正で、事業者と宿泊客を「フラットな関係」に

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今回訪日ラボでは、外務副大臣、外務大臣政務官などを歴任し、旅館業法改正やワーケーション人手不足解決などの取り組みにも尽力されている衆議院議員 武井 俊輔氏に取材しました。

同氏は以前、宮崎交通、楽天トラベルにて観光事業に従事した「観光業出身」の政治家です。コロナ禍が収束し国内外の旅行者数が回復に向かう中、観光業の未来は、武井氏の目にどう映っているのでしょうか。

前編では、旅館業法の改正、ワーケーション、観光業の人手不足について、それぞれ課題や解決策などを伺います。

衆議院議員 武井 俊輔氏
▲衆議院議員 武井 俊輔氏:訪日ラボ撮影


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旅館業法の改正で、事業者と宿泊客を「フラットな関係」に

ーー今まで取り組まれてきた旅行観光政策について伺います。来たる12月に施行される改正旅館業法について、取り組みの経緯や推し進めるにあたっての想いなどをお聞かせください。

旅館業法は1948年成立と古い法律で、現代の実態に即していない部分も多々ありました。いわゆる迷惑客を施設側が拒否できないのは不条理だと考え、サービスを提供する側と享受する側が「フラットな関係」となるよう、法改正に努めてまいりました。

衆議院議員 武井 俊輔氏
▲衆議院議員 武井 俊輔氏:訪日ラボ撮影

ーー事業者側からも評価する声が多い印象です。一方、障害者の宿泊拒否など、「制度が悪用されるのでは」との懸念の声もあります。

これについては、差別につながらないよう「障害があることを理由に宿泊を拒否できない」ことを明記し、あくまで社会通念上ありえないと考えられるものを規制することとしました。規制の対象は、例えば土下座など常識から逸脱する形で謝罪を要求するものや、過剰なサービスを提供させようとするものなどを想定しております。

ーー改正法の施行後は、どういった点が課題となるのでしょうか。

まずは顧客側の意識を変えてもらう必要があります。施設側では掲示物などで告知する方法がある他、「これ以上言うのであれば宿泊を拒否せざるを得なくなります」といった警告も抑止力となります。

今後、現場で運用していく中でさらなる課題も見えてくると思われます。法改正の趣旨をご理解いただき、気持ちよく施設を利用してもらえるよう、お互いが協力できるようになればと考えております。

ワーケーション、課題はネット環境と法的整備

ーーコロナ禍を契機に普及し始めた「ワーケーション」の取り組みにも尽力されているかと思います。これについても、取り組みを推進される意図をお聞かせください。

ワーケーション地方誘客にも繋がる施策です。観光地においてはオーバーツーリズムが問題となっていますが、日本全体に目を向ければキャパはあり、観光客をまだまだ誘致したいという地域も多くあります。

過ごしたい場所で仕事ができる環境を整えることで、地方での長期滞在を増やし、地域活性化につなげるのが狙いです。

ーー今後ワーケーションを拡大するにあたっての課題はどこにあるのでしょうか。

最もよく聞くのはネット環境の問題で、スピードが遅い、つながらないといった課題があります。また、移動中もシームレスに仕事ができた方がよいと考えます。ワーケーションをする際の導線を考え、交通機関のネット環境なども充実させていく必要があります。

旅行者や地域へワーケーションを広める取り組みも欠かせません。すでに積極的に取り組んでいる自治体もあるので、メディアでも取り上げて事例を共有してもらえたらと考えております。

国としての課題は法的整備です。ワーケーション先での労災はどう線引きするかなど、新たな働き方だからこそ考慮しなければいけない点も多くある他、デジタルノマドビザなどの整備も必要となります。快適な環境を整えるとともに、取り組みを阻害しないような形で各種整備を進めていくべきだと考えます。

観光業の人手不足、解決の手立ては

ーー観光業界は大変な人手不足に陥っています。解決の手立てはないものでしょうか。

おっしゃる通り深刻な状況で、例えばコロナ禍でバス運転手は3割減っています。人手不足の改善には、やはり待遇改善とそれに伴う運賃改定が必要となります。運転手の方々の賃金は全産業平均より100万円低く、きついという声が出るのは当然です。せめて平均まで上げていかなければと考えています。

他に考えられるのはキャッシュレス化による業務効率化ですが、手数料の問題もあり一筋縄にはいかないのが現状です。日本の人口が減少し採用が難しくなる中で、例えば外国人乗務員の採用など、今できることを早急に進めなければならないと思います。

ーー他にホテル業界の人手不足も深刻ですが、施策としてどういったものが考えられるでしょうか。

ホテル業界でも業務効率化の必要性が議論されています。例えば旅館であれば、布団をベッドにして上げ下げする負担を減らす、食事を手のかからないものに移行する、といったことも考えられます。

反対に、手間がかかるサービスを提供するにはそれなりのスタッフの質・数を要しますので、今後は宿泊料金を上げざるを得なくなってくるかもしれません。

旅館業法の考え方とも通じる部分ですが、「よいサービスは対価がかかる」ことを顧客にもわかってもらう必要があると思います。

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以上、「武井俊輔衆議院議員に聞く」前編をお届けしました。

後編では、東アジアの国家間交流や、オーバーツーリズムなど、インバウンド業界を取り巻く気になる情勢について伺います。

後編はこちら


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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