【武井俊輔衆議院議員に聞く・後編】東アジアの国家間交流、今後の見通しは / オーバーツーリズムは「地方誘客のチャンス」

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今回訪日ラボでは、外務副大臣、外務大臣政務官などを歴任し、旅館業法改正やワーケーション、人手不足解決などの取り組みにも尽力されている衆議院議員 武井 俊輔氏に取材しました。

同氏は以前、宮崎交通、楽天トラベルにて観光事業に従事した「観光業出身」の政治家です。コロナ禍が収束し国内外の旅行者数が回復に向かう中、観光業の未来は、武井氏の目にどう映っているのでしょうか。

後編では、東アジアの国家間交流の見通し、オーバーツーリズムの解決策、そして観光・インバウンド業界に従事する方々へのメッセージを伺いました。

衆議院議員 武井 俊輔氏
▲衆議院議員 武井 俊輔氏:訪日ラボ撮影

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東アジアの国家間交流、今後の見通しは

ーー日韓関係が改善に向かっています。韓国からの訪日旅行者も順調に増え、すでに2019年比を超えている状況です。今後の交流の見通しについてお聞かせください。

韓国はご存知のように訪日需要が大変高くなっています。円安も好機となっており、飛行機も満席に近い状態です。

地政学的には、政権が変われば事情も変わるかもしれませんが、少なくとも今は安定した関係を維持できていると言えます。

ただ、アウトバウンド(海外旅行)が少ないのは問題だと認識しています。日本人のパスポート取得率は元々低いと言われていましたが、今はコロナ禍の影響もあって2割を切っています。パスポートの取得支援など、様々な視点から施策を打つ必要があります。

衆議院議員 武井 俊輔氏
▲衆議院議員 武井 俊輔氏:訪日ラボ撮影

ーー他にも、台湾ー宮崎間の直行便再開にも取り組まれているかと思います。

今まさに再開へ尽力しているところです。ですが、コロナで機材を処分していたことや、人手不足が足枷となっています。仮に飛行機が飛べたとしても、グラハン(グランドハンドリング)の担い手が不足して空港側の受け入れができないといった問題もあり、危機感を持っております。

安全性を担保するためにも、働く人の質、人数を維持しなければなりません。「保安維持税」のような形で外国人観光客から料金を取ることも、今の需要の大きさを考えれば一つの手だと思います。

ーー処理水放出による中国の反発についてはどうお考えでしょうか。

この度の福島県への風評被害は誠に遺憾であります。ただし、中国は国の意思で旅行を制限できますが、今回はそこをコントロールしなかったというのも事実です。中国側もこれまで国を閉じていてやっと交流を再開しているところで、かつ再度閉じるとなると民衆の反発も懸念されることから、慎重に動いたのだと推測しております。

今後は外国人旅行者の皆さんにも福島に行っていただき、消費者の目線から「安全だよ」と宣伝してもらうことが有効です。

また、中国側から当初懸念されていたほどの大きな批判はなかったわけですが、今も続く輸出規制を解除させる必要があり、引き続き対処していくべきだと考えます。

オーバーツーリズムは「地方誘客のチャンス」

ーー日本の観光業界が回復の一途を辿る中、観光客が増えすぎたことによる「オーバーツーリズム」も問題となっていますが、どのように受け止めていますでしょうか。

オーバーツーリズムは、見方を変えれば地方へ誘客するチャンスでもあります。ポジティブな問題意識を持ち、地方観光の活性化に尽力するという考え方のほうが生産的だと考えています。

ーー確かに、周辺地域にとっては誘客のチャンスでもありますね。その上で、今後の取り組みはどのようなものになるのでしょうか。

観光客の「数だけが増える」状況では、地域住民からの理解を得られません。観光業においても持続可能性を意識しなければならないと考えます。

その際には「どういう人に来てもらいたいのか」を意識する必要があります。例えばブータンへ観光に行く際は、一日200ドル(約3万円 ※2023年11月時点)の入国税を払わなければいけません。「それでも来たい人に来てもらう」「価値をわかってくれる人がお客様」というスタンスなわけです。

日本では「サービス=無料」という考え方が染み付いていますが、自分たちにどれくらい価値があるのかは、自分たちで決めなければなりません。それと同時に、「これはこういうもので、こういう場所でつくられていて…」といった、なぜ価値があるのかを示すストーリーを発信していく必要があります。

さもなくばいつまでも生産性が低いままで、適正な賃金を払うために必要な利益を得ることができず、働く人がいなくなってしまう。そのような危機感を持っております。

観光業だからこそできる「草の根安全保障」

ーー最後に、観光・インバウンド業界に従事する方々へのメッセージをお願いいたします。

私は国際観光を「草の根安全保障」と捉えています。単なる旅行でも、自分のお金を使ってわざわざ行くのですから、やはり嫌いなところには行きません。ビジネスなどで渡航する場合は別かもしれませんが、観光ならば日中であれ、日韓であれ、お互いに相手の国に行きたいから行くわけですね。

実際に日本へ来てもらい、目で見て、食べて、体験してもらうことで、日本のファンを増やすことは、国家間の良い関係を作る土台にもなります。

これは観光業だからこそできる国への貢献、安全保障の形です。ぜひ、観光業の皆様には自信を持って仕事をしていってもらえたらと思います。

ーーーーー
以上、「武井俊輔衆議院議員に聞く」後編をお届けしました。

前編では、旅館業法の改正、ワーケーション、観光業の人手不足について、それぞれ課題や解決策などを伺っています。

前編はこちら


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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