2023年、GDP(国内総生産)で半世紀ぶりに日本を抜き、世界第三位になったドイツ。ドイツと日本は地理的には遠く離れていますが、真面目で勤勉な国民性という共通点を持っているとよく言われます。
本記事ではドイツがどのような国なのか、そして日本とどのような関わりを持ってきたのかをまとめます。
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1. ドイツの基本情報
面積 |
約35万7,000平方キロメートル(日本の約94%) |
人口 |
約8,482万人(2023年6月、独連邦統計庁) |
首都 |
ベルリン |
公用語 |
ドイツ語 |
宗教 |
カトリック(24.8%)、プロテスタント(22.7%)、ユダヤ教(0.1%) |
一人あたりの名目GDP(US$) |
46,473ドル(2019年) |
ドイツからの出国者数 |
9,953万2,966人 |
ドイツへの外国人訪問者数 |
3,956万3,000人 |
訪日外客数 |
23万3,400 人(2023年) |
ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、フランス、オーストリア、スイス、チェコ、ポーランド、デンマークの9か国と国境を接するドイツ。面積は日本の約94%と少し狭いものの、人口も日本よりやや少なくなっています。首都は北東に位置するベルリンですが、小邦分立による地方分権の歴史が長いため、一極集中しておらず、ハンブルク、ミュンヘン、ケルンなどにも人口が分布。中でもデュッセルドルフ市は、欧州大陸で最大規模を誇る日系企業拠点であり、「リトルトーキョー」とも呼ばれています。
1-2. 日本との距離
日本からドイツへ行く場合の所要時間はどれくらいでしょうか。
日本からドイツへの直行便は羽田空港から約12時間、関西国際空港や中部国際空港からは約11時間30分〜12時間です。現在はロシア上空を避けて迂回するため、通常より2時間以上長いフライトになることが見込まれます。
LCCを利用すれば料金を抑えて渡航可能で、中東やアジア経由の便もあります。
ドイツと日本の時差は7〜9時間(夏時間適用時は6〜8時間)で、ドイツ到着後は時差ボケに注意が必要です。
これだけ距離が離れていても、ドイツ人と日本人の性格や特徴には「真面目」「時間厳守」などの共通点があると言われています。詳しくは下記の記事もご覧ください。
関連記事:ドイツ人の性格・特徴・国民性は?意外と日本人と似てる「真面目」「時間厳守」「倹約家」という共通点:インバウンド消費額はヨーロッパ第3位のドイツ人を分析!
1-3. ドイツ市場のインバウンドデータ
次にインバウンドデータを見ていきましょう。
2023年、訪日ドイツ人数は23万3,400人に達し、コロナ禍前の水準にほぼ回復しました。
また、訪日ドイツ人の消費額は698億円と2019年比で1.5倍に増加し、過去最高を記録しています。
消費額を費目別に見ると、宿泊費が318億円と最も多く、次いで飲食費が162億円、交通費が106億円、買物代が87億円、娯楽等サービス費が25億円でした。
宿泊費が最も多くの割合を占めるのは、日本から距離があり長期滞在の旅行者が多い欧米豪で同様の傾向が見られます。
今後、直行便の復便や増便、経由便航空商品の多様化が進むことで、ドイツ市場からの訪日需要は、順調に推移すると期待されます。
2. ドイツと日本の関係をわかりやすく解説
ドイツと日本の関係は、長い歴史と共通の価値観に基づく深い結びつきがあります。経済、政治、文化の観点から、両国の関係を深掘りしてみましょう。
2-1. 【経済】日本にとってドイツはEU内最大の貿易相手国
日本とドイツは、経済面で互いに重要なパートナー関係にあります。
日本にとってドイツは欧州連合(EU)内で最大の貿易相手国であり、日本はドイツにとって中国に次ぐアジア第2位の貿易相手国です。
日本からドイツへは、自動車や半導体などの電子部品、化学製品、農林水産物(緑茶など)が主要な輸出品目であり、ドイツから日本へは、自動車、医薬品、半導体などの電子部品、農林水産物(チーズなど)が輸入されています。
これらの貿易品目は、両国間での経済的な結びつきが非常に強いことを示しており、技術や品質の面で互いに高い評価を寄せていることが伺えます。経済規模の変動に関わらず、日本とドイツは今後も強固な経済関係を維持し続けるでしょう。
2-2. 【政治・軍事】G7の構成国として政治的にも強いつながり
日本とドイツは、地球規模の課題に共同で取り組むG7の構成国として、強い結びつきを持っています。安全保障面の研究・開発での協力はもちろん、軍縮・不拡散や国連安保理改革など、国際社会でのさまざまな問題に対しても協調しています。
特に2020年9月に策定された「インド太平洋ガイドライン」により、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた日独連携が強化されています。
内政面では、少子高齢化対策や女性の活躍促進、エネルギー問題といった共通の課題にも取り組んでおり、民間有識者間の「日独フォーラム」を通じた対話も活発に行われています。
このように日本とドイツは長い歴史を通じて築かれた友好関係を基に、現代においても政治、軍事、内政の各面で深い連携を維持しています。
2-3. 【文化】日本の明治以降の西洋文化は、ドイツの影響も大きい
江戸時代に始まった諸外国からの学問の導入に続き、1871年のプロイセンを中心とするドイツ統一および明治維新後は、ドイツが先進的な学問や制度の模範になりました。
軍隊や政治のしくみだけでなく、医学、法学、科学、芸術など多岐にわたる先進的な学問が取り入れられ、多くのドイツ人研究者が日本で教鞭を取り、日本人留学生もドイツで学びました。たとえば北里柴三郎はベルリン滞在中に世界で初めて血清療法を開発し、第1回ノーベル賞候補となりました。「アレルギー」「アルバイト」などの言葉が日本語に取り入れられたのもこの時期です。
このように明治以降の日本の西洋文化の土台は、多くがドイツに由来しています。
3. ドイツ人が抱く日本の印象について
ではドイツ人は日本に対して、どのような印象を持っているのでしょうか。これまで国と国の関わりについて見てきましたが、少し視点を変えて見てみましょう。
3-1. はるか遠くにあるアジアの島国
一般的なドイツ人にとって、日本に関する知識はかなり限定的で、「はるか遠くにあるアジアの島国」という印象だそう。
しかし災害の多い国としての認識はあり、特に東日本大震災、福島第一原発事故はドイツでも大きく報じられ、多くの関心を集めました。外務省によると、東日本大震災が起きた2日後である3月13日には、ドイツから43名の救助人員と3匹の救助犬が来日。さらにドイツからの給付金により、地元民の憩いの場として公民館も設立されました。
3-2. ポップカルチャーが盛ん
ドイツから日本に向けられる関心は、1980年代までは主に経済が中心でした。しかし90年代からはアニメやマンガ、ゲームなどのポップカルチャーへの関心が高まり、現在に至っています。
特に「ポケモンGO」の人気はすさまじいといい、2019年にドイツ中西部の工業都市・ドルトムントで開催された「ポケモンGO フェスティバル」では、ドイツ中から85,000人以上のプレイヤーが集まりました。
3-3. 日本食がおいしくてヘルシー
ドイツ人の間で日本食への愛は強く、特にお寿司はその健康志向の高さから大人気です。ドイツのスーパーには寿司のテイクアウトコーナーが設置されており、ラーメンや餃子も人気の日本食として受け入れられています。
デュッセルドルフやベルリンではオニギリ専門店も登場しており、日本の米や海苔を使った高品質な商品へのこだわりを見せています。人気なのはサケ、ツナマヨ、梅といった日本でも定番の具材ですが、ベジタリアンやヴィーガンの方向けに枝豆やシイタケを使った具材も販売されています。
4. まとめ
ヨーロッパ圏のドイツとアジア圏の日本は、距離によって隔てられていますが、共通する価値観や国民性が、両国間の深い理解と強固な協力関係を築く基盤となっています。
勤勉さ、精密さ、そして革新への追求といった特質は、ドイツと日本が国際経済において重要な役割を果たしてきた要因だといえます。今後も経済・文化両面から、両国の交流は続いていくものと考えられます。
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