台湾と日本の関係をわかりやすく解説!親日家が多く、友好関係にある歴史的背景とは

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「親日国」と聞いて、最初に台湾を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

台湾と日本の間には長い歴史を通じて築かれた深いつながりがあり、多くの台湾人が日本文化に親しみを感じています。

また、台湾は2023年の訪日旅行消費額が1位であり、経済的な側面においても重要な位置を占めています。

そこで今回は台湾のさまざまな側面と日本との関連性に焦点を当て、詳しく解説していきます。

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1. 台湾の基本情報

まず台湾の基本情報から見ていきましょう。日本から台湾を訪れる場合の所要時間、台湾市場のインバウンドデータについても深く掘り下げていきます。

1-1. 基本情報

面積

3万6,191平方キロメートル

人口

約2,342万人(2024年1月)

主要都市

台北、台中、高雄

言語

中国語、台湾語、客家語等

宗教

仏教、道教、キリスト教

一人あたりの名目GDP

2万8,306ドル

台湾からの出国者数

1,710万1,335人

台湾への外国人訪問者数

1,186万4,000人

訪日外客数(2023年)

420万2,400人

台湾は東アジアに位置する島国です。面積は約3万6,191平方キロメートルで、これは九州よりも少し小さい規模です。人口約2,342万人を抱え、台北、台中、高雄といった都市が経済と文化の中心地になっています。

公用語は中国語である一方、台湾語(閩南/ミンナン語)や客家語(ハッカ)も日常会話に広く使われています。詳細は後述しますが80代以上の台湾人のなかには日本語が話せる人も多くいます。

気候は北部で亜熱帯、南部で熱帯が見られ、一年を通じて温かく、とくに夏の期間が長いことが特徴です。

1-2. 日本との距離

日本から台湾への所要時間は、羽田空港からの直行便を利用した場合、台北へのフライト時間は約3時間30分です。関西国際空港(関空)や中部国際空港(セントレア)からも直行便が運航されており、それぞれ約3時間で到着します。

台北発の場合、羽田空港までのフライト時間は直行便で3時間ほど、関西国際空港(関空)まではそれぞれ2時間50分ほどです。

1-3. インバウンドデータ

台湾からの訪日客は、どの程度日本経済へのインパクトを持っているのでしょうか。

台湾からの訪日市場は、2019年まで右肩上がりでしたが新型コロナウイルスの流行によって低迷。しかし2023年には訪日台湾人数が420万2,400人に達し、コロナ禍前の86%の水準まで回復しました。

2023年における訪日台湾人の消費額は7,786億円に上り、訪日外国人消費額で全国籍中1位という記録を樹立しました。この数値は直近10年間で最高額です。

この急速な回復と成長は、新型コロナ水際措置の緩和や、地方空港でも台湾路線の就航や増便が行われた結果と考えられます。訪日台湾人の消費行動を見ると、とくに買い物、宿泊、飲食において多くの支出を占めており、インバウンド市場への貢献も大きいと言えるでしょう。

訪日ラボでは過去にもさまざまな台湾関連の情報を公開しておりますので、ぜひご覧ください。

2. 台湾と日本の関係をわかりやすく解説

次に、台湾と日本の関係性について見ていきましょう。両国が友好な関係を築いてきた歴史も振り返ります。

2-1. 親日家が多い

日本と台湾は、1895年の日清戦争後に締結した下関条約によりはじまった日本統治期を経て、文化や経済面で密接な関係を築いてきました。日本統治時代に形成されたインフラや教育制度は台湾の発展の基礎となり、高齢者には今も日本語を話す人が多くいます。

第二次世界大戦を経て、1972年の日中正常化に伴い、日台間の正式な外交関係は終了しました。しかしその後も日本文化への関心や親日感情は台湾社会に深く浸透し続け、相互に文化や食、芸術を楽しむ関係が築かれています。90年代には、日本文化を熱烈に愛好する「哈日族」(ハーリーズー)と呼ばれる人々が誕生したほどで、「世界で最も親日家が多い国」の一つとして挙げられることもあります。

一方、日本国内でも台湾グルメや文化イベントが注目されています。近年大流行したタピオカ、豆花、大鶏排(ダージーパイ:叩いて伸ばした大きな唐揚げ)も台湾由来です。

関連記事:なぜ台湾には親日家が多いのか

2-2. 台湾と日本が友好関係にある理由

ではもう少し、日本と台湾の歴史について深掘りしていきましょう。

第二次世界大戦後、台湾は日本から中国に返還されました。しかしあることに対して台湾住民の間で失望感が広がりました。それは、台湾の先進的なインフラや教育レベルと、中国大陸から来た者たちの知識や行動に明らかなギャップがあることでした。さらに新政府による賄賂の横行や経済の悪化が、台湾住民の不満を募らせました。この経験は、「走了狗来了豚(犬=日本が去り、豚=中国が来た)」という言葉に象徴されています。

1972年の日中共同声明以降、日本と台湾は正式な外交関係を持っていませんが、両国は相互に重要なパートナーとみなし、安全保障や経済などの分野で協力を深めているのは前述した通りです。

2-3. 日本国内では「台湾有事」に備える議論も

近年、中国は「台湾統一を必ず実現する」などとして台湾への圧力を強めており、日本国内でも「台湾有事」に備える議論が度々話題に上がっています。

日本政府は台湾海峡の平和と安定を強調し、情報収集や協力の強化を図るため、台北の窓口機関に防衛省職員を派遣するなどしています。

関連記事:中国「党大会」まとめ 台湾有事の可能性は

2-4. 台湾総統選で勝利した頼氏、対日関係重視の姿勢

2024年1月13日に行われた台湾総統選は、日本をはじめ世界中から注目を集めました。この結果が、米中がアジアでの覇権を争う中、台湾と中国、アメリカの関係に大きく影響をおよぼすためです。もちろん南シナ海での中国の強引な動きを警戒している、日本を含む近隣国にとっても非常に重要な意味を持っています。

結果は、国民党(「台湾は中華人民共和国の一部である」と考えている政党)と民衆党(「もっと新しい政治をしよう」と呼びかける政党)候補者を下し、民進党(台湾の独立を主張し続けてきた政党)の頼清徳氏が当選しました。

頼氏は当選翌日に、台湾に対する日本の窓口機関、日本台湾交流協会のトップである大橋光夫会長と会談しました。NHK NEWS WEBは「(この会談は)対日関係重視の姿勢のあらわれと言える」と報じています。

3. 台湾の経済について

続いて、台湾の経済について見ていきましょう。主要産業は、電子製品、化学品、鉄鋼金属、機械で、近年では半導体産業が勢いづいています。

3-1. 半導体大国・台湾

近年、台湾は、半導体受託製造分野で世界シェアの60%以上を占める半導体大国としても知られています。半導体ファウンドリで世界トップシェアを誇り、米Apple製品の半導体製造を受託している「TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company:台湾積体電路製造)」が、日本の熊本県に新工場を建設したニュースを耳にした人も多いのではないでしょうか(詳しくは「「TSMC」とは?経済効果やインバウンドへの影響は」の記事もご覧ください)。

2020年と2021年には台湾経済が驚異的な成長率を記録しましたが、その背景にはこの半導体産業の成長が大きく寄与しています。主要輸出先である中国の景気減速は台湾経済にも影響をおよぼしていますが、台湾政府は経済発展著しいASEAN10か国、南アジア6か国、オーストラリア、ニュージーランドの計18か国との関係強化を図る「新南向政策」を推進し、経済関係強化を目指しています。この政策がどのような形で結実するかは、日本経済にも大きく影響するでしょう。

3-2. 観光産業

台湾は交通部(日本の国土交通省に相当)内に台湾観光庁を設け、「山と水に親しみ、島を楽しく一周する」をキャッチフレーズに観光誘致にも注力。その結果、複数の国際的な観光地ランキングでも高い評価を受けています。

訪台客の呼び込み強化に当たり、2023年には日本を含む主力市場を対象に、個人旅行客に5,000台湾元(約2万2,000円)を抽選でプレゼントする施策を実施しました。コロナ禍で中止していた各種フェスティバルなどの観光イベントも再開し、今後はさらなる訪台客の増加が見込まれています。

4. 台湾人が日本に抱くイメージ

台湾人の中で、日本はどのようなイメージを持たれているのでしょうか。公益財団法人日本台湾交流協会が2021年に実施した「2021年度 対日世論調査」では、最も好きな国(地域)ランキングで日本は栄えある1位に輝いています。

4-1. 自然が美しい

台湾は独特な高山の島ですが、同様に日本も国土の約75%を山地が占めるなど、両国は豊かな自然に恵まれています。

日本のアイコンにもなっている富士山、国中に点在する美しい庭園、壮大で険しい山々などを、台湾人はさまざまなメディアを通じて目にしたことがあるのでしょう。4月の桜シーズン、9〜10月の紅葉シーズンには、訪日台湾人が増える傾向があります。

4-2. きまりを守る

台湾人はもちろん、日本を訪れた外国人が一様に驚くのが、日本人のマナーの良さ。それはひとえに「きまりを守る」国民性からくるものです。

バスや電車などの交通機関が時刻表通りにくる、街中にゴミは捨てない、タバコは決められたスペースで吸うなど、日本では当たり前のことも、外国では驚きの事実としてトピックになるため、それが日本人全体のイメージにもつながると思われます。

4-3. 豊かな伝統と文化を持つ

日本人は意識せずとも、伝統が衣食住には根付いています。成人式や結婚式などハレの日には着物を着て、自宅には和室があり、四季折々の行事を祝う国は、世界広しといえどもめずらしいでしょう。

台湾人のなかには、日本統治時代のことを祖父母から聞いたり、歴史の授業で学んだりしたとにより、このようなイメージを持つ人も多いようです。

5. まとめ

「親日国」のイメージである台湾について、日本との深い関わりを解説しました。

観光産業がコロナ禍からの復活を遂げていることや、台湾の半導体産業との関わりなど、両国の経済的なつながりも深まっています。

これから台湾と日本の関係がどのように発展していくのか、注目が集まります。

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<参照>
NHK NEWS WEB:台湾総統選 民進党・頼清徳氏が当選 立法院は過半数維持できず

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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