4月はタイ人観光客に注目!訪日客増える連休「ソンクラーン」4/12開始、最新情報をチェック

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日本政府観光局JNTO)が発表した2月の訪日外客数によると、韓国・台湾・香港などアジアでも多くの地域で2月としての過去最高を記録し、インバウンド市場は盛り上がりを見せています。その中でも4月に特に注目したいのが、タイ王国です。

タイは4月にソンクラーンによる休暇があるため、訪日タイ人観光客数が他の月と比べて増加する傾向にあります。

そこでこの記事では、4月にタイに注目したい理由とインバウンド対策に役立つ情報を紹介します。

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訪日タイ人外客数の推移:コロナ禍の低迷からもほぼ回復

2014年以降、訪日タイ人外客数は右肩上がりで増加し、2019年には131万8,977人を記録しました。しかしその後、新型コロナウイルス感染症拡大を防ぐ水際対策の強化による影響を受けて、2021人には2,700人にまで落ち込みました。

入国制限の解除以降は徐々に回復し、2023年の訪日外客数は2019年の約75%まで戻りました。

▲訪日タイ人観光客数(2014年〜2023年):日本政府観光局(JNTO)より訪日ラボ作成
▲訪日タイ人観光客数(2014年〜2023年):日本政府観光局(JNTO)より訪日ラボ作成

2024年2月の訪日タイ人外客数は10万1,400人で、2019年同月の10万7,845人と比べても−6.0%となっており、ほとんど回復している様子がうかがえます。

関連記事:2月の訪日外客数

訪日タイ人観光客のハイシーズンは4月:理由は「ソンクラーン」

4月には、「ソンクラーン」というタイの伝統的な水かけ祭りがあります。タイの新年を祝う祭りで、4月13日〜15日の3日間で開催されます。この時期には多くのタイ人が休暇を取り、家族や友人と一緒に旅行を楽しむため、訪日タイ人観光客が増加します。

さらに、タイの学校では夏休みが4月上旬から5月中旬まであります。そのため、ソンクラーンの大型連休に合わせて家族で日本へ旅行するのが最も良い期間とされています。この時期には多くのタイ人家族が日本を訪れ、観光地やショッピングエリアで活気にあふれます。

また2024年は政府が観光業の回復を後押しする意図もあり、4月12日〜16日までの5日間がソンクラーン休暇となっています。

ソンクラーンで観光の動きも活発に

現在のソンクラーンは“水かけ祭り”として親しまれ、首都バンコクだけでなくタイ全土でイベントが開催されて大いに盛り上がる文化となっています。

タイの伝統的なお祭りの中でも、特に盛り上がりを見せるソンクラーンによって、タイ国内・国外両方で観光に関連する動きが活発になっています。

1:【航空便】バンコク〜東京線の増便

タイ国際航空は、3月31日より東京/成田〜バンコク/スワンナプーム線を1日3往復に増便することを発表しました。(増便前は1日2往復)

東京/羽田〜バンコク/スワンナプーム線も合わせると、1日5往復体制で東京とバンコクを結ぶことになります。

また他にも、タイの新興エアラインであるリアリークール航空は、3〜4月に日本へのチャーター便の運行を予定し、その後定期便化を目指すとしています。

バンコク〜東京線の増便によって、日本人とタイ人両方の移動がより活発になる見込みです。

2:【イベント】ユネスコ無形文化遺産登録でフェス開催

ソンクラーンは、国連教育科学文化機関(ユネスコ)により、2023年12月に無形文化遺産として登録されました。(タイにまつわる無形文化遺産としては4件目)

ソンクラーンのユネスコ無形文化遺産登録を受けて、タイ文化省は「ワールド・ソンクラーン・フェスティバル」として、4月1日から21日の期間中にタイ全土76都県でさまざまな関連イベントの開催を発表しています。

21日間にもおよぶイベントによって、伝統文化のアピールを促進し、より多くの外国人観光客を呼び込もうとする様子がうかがえます。

訪日タイ人観光客が伸びている理由

訪日タイ人外客数は2014年以降、コロナ禍で低迷するまでは右肩上がりで成長していました。コロナ禍からの回復期である2023年以降も、順調に回復しています。

コロナ前から訪日タイ人観光客数が伸びている理由を紐解くと、今後も需要が見込めそうな背景が見えてきました。

1. タイ国内の経済回復

タイの実質GDP(2023年10-12月期)は、前年同期比で成長率が上昇しており、主に民間消費の拡大が成長率上昇につながっているとされています。

タイ国内ではコロナ禍からの訪タイ観光客数の回復に伴い、雇用情勢の改善と所得の増加によって家計の実質的な購買力が増加しています。

コロナ禍で低迷していた国外旅行への機運も高まり、円安である状況も踏まえて、日本を旅行先として選ぶ人が増えている様子がうかがえます。

コロナ前から日本観光への意欲が高かったことに加えて、円安の影響で「コロナ前の2割引きくらいの感覚」で観光を楽しめることも後押しになっています。その波に乗って日本の百貨店でブランド品を購入するのがトレンドとなっており、現状の為替市場を踏まえると今後も需要が期待できるといえそうです。

2. 親日国として日本文化に好意的

日本がタイ人の観光地に選ばれるのは、円安といった経済事情だけでなく、タイ人の親日度が高いことにも由来しています。

アウンコンサルティングによる世界12ヶ国の親日度調査(2023年)によると、タイ人が日本の好感度について「好き」「大好き」と答えた割合が合わせて99%であり、日本に訪れるモチベーションの高さもわかる結果となっています。

タイ人の親日度の高さには、両国の交流の歴史や日本のポップカルチャーの人気が関わっています。

歴史的・文化的なつながりが深い

在東京タイ王国大使館によると、日本とタイの関係は600年にもなるとされています。日本皇室とタイ王室の交流も多く、王室へ深い敬意を払うタイ人にとって、皇室がある日本は親近感を覚えやすいといえます。

また仏教国であるタイにとって、仏教の影響を受けた文化も多い日本は身近な存在だといえるでしょう。

日本のポップカルチャーが浸透している

近年のタイでは、漫画やアニメといった日本のポップカルチャーの人気が高まっています。日本の漫画が売られていたり、アニメのTシャツを着て街を歩く人も珍しくありません。日本食への関心も高く、特にバンコク市内を歩けば日本食関連の店をかなりの頻度で見かけます。

訪日タイ人観光客の特徴:リピーターが7割超え

親日国として知られているタイからの訪日客は、リピーターが多いことも特徴です。

▲日本への来訪回数:観光庁 訪日外国人消費動向調査より訪日ラボ作成
▲日本への来訪回数:観光庁 訪日外国人消費動向調査より訪日ラボ作成

観光庁が発表した2023年の消費動向調査によると、来訪回数が2回目以上だと答えた訪日タイ人客が78.4%にものぼりました。

訪日タイ人客がリピーターになる理由

訪日タイ人客がリピーターになる理由としては、桜・紅葉・雪といった四季それぞれの魅力があることが挙げられます。タイの季節は暑気・雨季・乾季の3つに分けられ、気温が下がる時期もあるとはいえ暑い時期の方が長く、日本のような四季はありません。

特に近年は秋季から冬季での来日も多く、ソンクラーン休暇がある4月にも匹敵するような来日数を誇っています。このことからも、タイ国内では楽しみにくい秋冬ならではの行事を求めてリピートする様子がうかがえます。

また北海道から沖縄までどの地方にも観光地が存在するため、1回の旅行ではまわり切れないことも、リピーターが多い理由だといえます。

訪日タイ人観光客のリピーターが日本に求めるもの

7割以上がリピーターである訪日タイ人客は、定番とはまた異なる楽しみを観光に組み込む傾向があります。

たとえば日本の漫画・アニメ・映画などの聖地を訪れたり、マラソン大会といったスポーツ交流に参加したりと、人気観光地を巡るというよりはニッチな体験や、サブカルチャーを軸にした体験」をするような楽しみ方が挙げられます。

訪日タイ人観光客に向けたインバウンド対策事例

訪日タイ人観光客はリピーターが多く、3回・4回と訪日することも珍しくありません。日本を楽しみたいリピーターは、すでに定番の観光地を堪能していることが多いため、よりニッチな魅力を求めます。

日本をより深く楽しみたいという需要があるからこそ、日本の地方都市にとってタイ人観光客を呼び込むチャンスが広がっているといえます。

そこで、タイ人観光客に向けて積極的なPRを始めた自治体の事例を一部紹介します。

鹿児島県

鹿児島県は「鹿児島の酒と食を体感するツアー」で鹿児島の歴史・文化・自然の価値、美食を体験してもらうために、タイのガールズアイドルグループ「PRETZELLE」を招きました。

「PRETZELLE」はタイ国内でも人気のガールズグループであり、タイの若年層へのアピールを狙っています。

徳島県

徳島県は魅力を発信するために、「阿波とくしま観光大使」として白鯛憲司氏を任命しました。白鯛憲司氏はSNSの総フォロワー約100万人の人気インフルエンサーであり、特にタイに向けた情報発信力に期待が寄せられています。

リピーターに発見・注目される魅力発信がカギに?

訪日タイ人観光客については、初めて訪日する旅行者よりも圧倒的に数が多いリピーターの心をつかむことが重要だといえそうです。

2024年のソンクラーン休暇は目前に迫っており、今からプロモーションをしても間に合わないかもしれませんが、秋季・冬季や来年以降のソンクラーンに向けて魅力を発信するチャンスです。

SNSでの発信を強化したり、影響力のある有名人やインフルエンサーと組んで魅力を伝えていくといった動きが加速しています。

今後も増加が見込まれる訪日タイ人観光客に「知ってもらう」ための施策を、いち早く打てるかどうかがカギになるといえるでしょう。

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<参照>

日本政府観光局(JNTO):訪日外客数(2024年2月推計値)

日本政府観光局(JNTO):訪日外客数(2021年年間推計値)

タイ国政府観光庁日本事務所:水かけ祭りとしても知られるタイ正月のお祭り「ソンクラーン」

UNESCO:Songkran in Thailand, traditional Thai New Year festival

TRAICY:タイ国際航空、東京/成田〜バンコク/スワンナプーム線を増便 3月31日から1日3往復

sky-budget:2024年に日本へ乗り入れる予定のリアリークール航空、航空券の価格はタイ国際航空と同等となる見込み

バンコク週報:今年4月の3週間はタイ全国で「ワールド・ソンクラン・フェスティバル」

アウンコンサルティング:2023年【世界12カ国の親日度調査】日本への好感度、訪日意欲について

ニッセイ基礎研究所:タイ経済:23年10-12月期の成長率は前年同期比1.7%増~政府支出の減少により1%台の低成長が継続

在東京タイ王国大使館:タイと日本との関係

観光庁:「2023年10~12月期」集計表(速報)

JRC Official site:「鹿児島の酒と食」を体感するツアー」がMBC南日本放送で放映されました

徳島県:白鯛憲司氏への「阿波とくしま観光大使」委嘱セレモニー及び意見交換会

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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