日本から近いリゾート地として、親日国でもあるフィリピンを挙げる方もいるのではないでしょうか。
セブ島など日本人にも人気のリゾート地が多数あるフィリピンは、平均気温26℃と年間を通して暖かい気候の国です。
この記事では、フィリピンの基本情報をはじめ、インバウンドの状況、フィリピンと日本の関係やフィリピン人が抱く日本の印象について詳しく説明します。
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1. フィリピンの基本情報
フィリピンは東南アジアに位置する立憲共和制国家です。11の大きな島を中心に7,000以上の島々から構成され、別名「東海の真珠」とも呼ばれています。
ここからはフィリピンの基本情報を説明します。
1-1. 基本情報
面積 |
約29万8,170平方キロメートル(日本の約8割) |
人口 |
1億903万5,343人(2020年フィリピン国勢調査) |
首都 |
マニラ |
公用語 |
フィリピノ語、英語 |
宗教 |
キリスト教(国民の83%がカトリック、その他のキリスト教が10%)、イスラム教5%(ミンダナオではイスラム教徒が人口の20%以上) |
一人あたりの名目GDP(US$) |
3,330ドル(2020年) |
外国人訪問者数 |
826万1,000人(2019年 ) |
訪日外客数(2023年) |
62万2,300 人(2023年) |
フィリピンは7,641の島々からなる島国です。そのうち人々が暮らす有人島は2,000島あり、総人口は1億人を超えます。日本と同じように主食はお米ですが、ほかの東南アジアの国々やスペイン、アメリカ、中国などの料理が融合されているなど、さまざまな食文化が楽しめます。
公用語はフィリピノ語と英語です。フィリピンは豊富な労働力を有しているだけでなく、英語が公用語という特性を持っていることから、日本企業もフィリピン人の労働力に注目しているようです。
2013年からはビザの大幅緩和に伴い、期限内であれば何度でも訪日できるビザを発給したことで、フィリピン人の訪日意欲が向上しています。
1-2. 日本との距離
フィリピンと日本の距離は、主要都市間で2,800〜3,000キロメートルです。
複数の航空会社が定期便を運行していて、羽田空港からの直行便を利用した場合、マニラ国際空港へのフライト時間は約4時間45分で、マニラ国際空港発の場合、羽田空港までのフライト時間は直行便で4時間20分ほどです。
1-3. フィリピン市場のインバウンドデータ
2023年に訪日したフィリピン人の数は62万2,300人でした。コロナ禍前の2019年と比較して約1万人を上回るまで回復しています。

フィリピン人の訪日客数は堅調な回復傾向にあり、日本への直行便数の増加も受けて今後の伸びが期待できると言えるでしょう。
2023年における訪日フィリピン人の旅行消費額は1,123億円でした。コロナ禍前の2019年の消費額を464億円上回り、過去最高の結果となっています。

長引く円安の影響もあり、今後も消費額の増加が期待できそうです。
関連記事:2023年の訪日フィリピン人客数は過去最多の62万人。消費額は2019年の1.7倍に
2. フィリピンと日本の関係をわかりやすく解説
親日国として知られているフィリピンですが、日本との関係性や歴史までは知らないという方も多いのではないでしょうか。
フィリピンと日本の関係を解説していきます。
2-1. フィリピンと日本の歴史について
フィリピンと日本の関係は、織田信長や豊臣秀吉が活躍した16世紀よりも前から始まりました。当時、貢ぎ物のやり取りや日本人のマニラ居住などの交流があったものの、江戸時代に入り日本が鎖国したことで一時断絶されます。スペインによるフィリピン占領が始まり、フィリピンはスペインの支配下に入ることになりました。
1898年の米西戦争(アメリカとスペインによる戦争)でアメリカがフィリピンへの協力を求め、スペインからの独立を約束。フィリピンの協力もあってアメリカがスペインに勝利し、約束通りフィリピンの独立が実現してフィリピン第一共和国が誕生しました。しかしアメリカはフィリピンを実質的に支配したため、フィリピンは独立を求めて10年以上戦うことに。そんなフィリピンの独立運動を日本が支援し、多くの日本人がフィリピンに移住しました。
第二次世界大戦が始まると、今度は日本がフィリピンを占領します。日本はフィリピンの独立を約束し、フィリピン第二共和国を誕生させました。その一方で、日本の支配に対するフィリピンの抵抗が広がります。
1945年に日本が第二次世界大戦で敗北した後、フィリピンは正式に独立を果たし、日本からの賠償金や政府開発援助(ODA)を受けました。その後、経済的関係が深まり、日本との間に親交が生まれるようになったのです。
2-2. フィリピンが親日国といわれる理由
日本がフィリピンを占領していた歴史もありますが、フィリピンの独立以降、日本はインフラや衣食住の整備、人材育成などさまざまな援助を行いました。この援助は今でも続いています。
加えて、現在日本はフィリピンにとって最大の輸出相手国であるなど、経済的な関係性も深まっています。
アウンコンサルティングが2019年に世界13か国を対象に実施した「親日度調査」によれば、「日本が大好き」「好き」が100%を占めるなど、フィリピンの日本に対する好感度は高いことがうかがえます。
その一方で、フィリピンの歴史の授業では植民地時代についても触れており、「歴史的な背景を考慮すると日本の印象は下がる」といった意見を持つフィリピン人もいるようです。
2-3. 国交正常化から2021年で65周年
これまでも触れてきたように、日本は1942年から1945年までの間、フィリピンを占領下に置いていました。その後の1946年にフィリピンは独立を果たしています。
1956年7月23日に日本とフィリピンの間でサンフランシスコ平和条約および日比賠償協定を締結したことにより、両国の国交が正常化しました。
フィリピン南部のミンダナオ島では、政府と反政府イスラム武装組織との武力闘争が行われてきました。日本はミンダナオ和平がアジアの平和と繁栄に欠かせないと判断し、2006年よりミンダナオ地域に対する開発支援をスタートしています。
その後、2011年に日本とフィリピンは戦略的パートナーシップを締結しました。これまで続けてきた政府開発援助(ODA)をはじめとした経済分野の支援に加えて、政治・安全保障分野における信頼関係の構築を進める内容になっています。
そのほか、看護師、介護福祉士などの人材の受け入れを進めることで、日本の少子高齢化がおよぼす影響を考慮するなど、幅広い分野での経済連携を目指しています。2021年には、国交正常化から65周年を迎えました。今後も日本とフィリピンとの間の友好関係が発展することが期待されています。
2-4. フィリピンにとって日本は貿易主要国
フィリピンにとって日本は主要輸入国であるとともに、アメリカに次ぐ輸出国です。実際に輸入では3位、輸出では2位に位置しています。
日本に対する輸出品目は、魚介類やバナナなど一次産品が長年上位を占めていましたが、最近では半導体などの加工製品が伸びています。
一方で日本からの輸入品目は、合板や製材、サバなど、日本に再輸出される海外生産の原材料としての輸出が多いようです。
3. フィリピン人が抱く日本の印象について
一般的に「フィリピン人は日本人に対して、良い印象がありそう」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
実際にはどのような印象を抱いているのか、詳しく説明していきます。
3-1. 礼儀正しい
多くの国と同じように、フィリピンでも「日本人は礼儀正しい」と思われることが多いようです。
あいさつや礼儀を重んじること、エチケットやマナーに対する意識が高いことなど、日本人が大切にしてきた文化が、フィリピンの方にも評価されているようです。
3-2. 東京は洗練された都市
東京は「現代的な魅力が詰まっている」「清潔」という印象を抱かれることが多いようです。
とくに渋谷のスクランブル交差点周辺の繁華街は、フィリピンの若者にとって人気のスポットです。
3-3. ポップカルチャーが盛ん
漫画やアニメなど日本のサブカルチャーがフィリピンでも人気のようです。フィリピンの大手放送局では、日本のアニメが放送されています。
首都のマニラで開催されているアニメ・コスプレのイベントには日本人アーティストが参加するなど、例年盛り上がりを見せていると言われています。
4. まとめ
親日国として知られるフィリピンと日本の関係は歴史的に深く、現在でも交流が盛んです。さらにフィリピンは日本との親交を大切にし、両国の経済関係も重要視されています。
このような友好関係は今後も維持され、両国の発展に貢献することが期待されていると言えるでしょう。
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<参考>
外務省:フィリピン共和国基礎データ、報道発表(フィリピンという国:日・フィリピン国交正常化60周年)
日本政府観光局(JNTO):訪日外客数(2023年12月および年間推計値)、外国旅行の動向
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