株式会社日経BPは5月14日、マーケティング専門メディア「日経クロストレンド」が作成した「トレンドマップ2024上半期」を発表しました。
「マーケティング」「消費トレンド」「テクノロジー」の潮流を見極め、注目キーワードをランキング化したもので、インバウンド業界関連では「越境EC」「インバウンド消費」などがランクインしています。
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日経クロストレンド、「トレンドマップ2024上半期」発表
マーケティング戦略や商品開発などの情報を提供するデジタルメディア「日経クロストレンド」では、半期に1回、「トレンドマップ」の独自調査を実施。変化の激しい「マーケティング」「消費トレンド」「テクノロジー」の3分野の中で、中長期的に注目すべきトレンド(潮流)の見極めを目的として、注目キーワードをランキング化しています。
調査は2024年4月に実施されたもので、外部アドバイザリーボード約50人と、編集部の記者など各分野の専門家の知見が集約されているとしています。
将来性のスコア伸長トップは「越境EC」
2023年11月に行われた前回調査と比較して、将来性スコアが最も伸びたのは、インバウンド月間300万人時代の追い風を受ける、消費トレンド分野の「越境EC」でした。
来日時に見つけた商品を帰国後に追加購入する際の受け皿として、越境ECに期待を寄せる企業が増加しており、将来スコアが上昇したといいます。
同分野では、この他に「節約志向」「TikTok売れ」「共働き」、マーケティング分野では「サブスクリプション型コマース」「CX(顧客体験)」「チャットbot(対話型AI含む)」がトップ3に入っています。
定額で使い放題のサブスクは、動画や音楽配信などのソフトに続き、パナソニックが小型食洗機、花王が化粧水を月額で提供するなど、ハードでも裾野が広がりつつあります。
またテクノロジー分野のトップ3は「VUI(音声ユーザーインターフェース)」「生成AI(ChatGPT、Copilot in Windowsなど)」「フードテック」となりました。
経済インパクトには「インバウンド消費」もランクイン
経済インパクト全体でスコアが最も伸びたのは、マーケティング分野の「パーソナライゼーション」でした。
パーソナライゼーションについては、これまではファッションやクルマなどが中心でしたが、カルビーが消費者一人ひとりの腸内環境にあったグラノーラを定期的に届けるサービスを始めるなど、食品業界にも広がっています。
また消費トレンド分野で「越境EC」、テクノロジー分野で「生成AI(ChatGPT、Copilot in Windowsなど)」が最も高い伸びを示しました。
消費トレンド分野では「インバウンド消費」がランクインしており、インバウンド市場の成長と将来にも期待が表れている様子がうかがえます。
新たに追加されたキーワード、注目は「リユース消費」
なお今回の調査では、マーケティング分野の「イマーシブ(没入体験)」、消費トレンド分野の「リユース消費」、テクノロジー分野の「宇宙テクノロジー」「五感テクノロジー」が、キーワードとして新たに追加されています。
特に注目されるのが「リユース消費」で、消費トレンド分野のジャンル別将来性スコアランキングで15位となりました。
良品計画が顧客から回収した商品を染め直して再販売する「ReMUJI(リムジ)」を提供するほか、ユニクロでも回収した古着をビンテージ風にリメークして期間限定で販売され話題となりました。
インバウンド市場への期待も見られる結果に
今回発表されたトレンドマップは、今後のインバウンド市場への期待も見られる結果となりました。
日本政府観光局(JNTO)が発表した訪日外客統計によると、4月の訪日外客数は3月に続き300万人超えの304万2,900人となっており、コロナ禍前と比較してもインバウンド市場の拡大が続いています。また、観光庁が発表した2024年1-3月期の訪日消費額は、1兆7,505億円(2019年比52.0%増)だと推計されています。
経済産業省の調査によると、2022年の越境EC市場規模も米国向け、中国向けともにそれぞれ増加しているといいます。
■越境ECの市場規模(2022年)
- 米国向け:1兆3,056億円(前年比6.8%増)
- 中国向け:2兆2,569億円(前年比5.6%増)
「越境EC」が将来性と経済インパクトの項目で1位を獲得し、「インバウンド消費」も経済インパクトの消費トレンド項目で3位となったのは、こうした市場の拡大の流れを受けたものだといえます。コロナ禍を経て拡大を続けるインバウンド消費の存在感が確かとなり、今後も注目が集まります。
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