インドネシアのZ世代、9割が訪日旅行に高い関心:集客するためのポイントとは?

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アジアや欧米をはじめ世界各国から観光客が日本を訪れる中、東南アジア圏からの訪日観光客が増加しています。特に注目されているのが、世界で4番目に多い人口を有するインドネシア市場です。

インドネシアは国民の平均年齢が29歳と若く、いわゆるZ世代と呼ばれる若者の訪日意欲が高いといえます。今後はさらなる市場の伸びも期待されています。

本記事では、インドネシアZ世代を対象にした訪日意識調査のデータを交えながら、インドネシアの訪日需要や集客するためのポイントなどを解説します。

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インドネシアのZ世代、訪日旅行に高い関心

インドネシアのZ世代の訪日関心度について、株式会社Koeeruが20歳~29歳のインドネシアの男女400人を対象に行った調査によると、全体の95.2%が「日本を訪れることに興味がある」と回答しました。1990年代半ばから2010年代序盤に生まれたいわゆる「Z世代」にとって、日本は魅力的な旅行先であることがわかります。

ここからは、インドネシアZ世代の訪日意欲や消費傾向について紹介していきます。

訪日関心度は95.2%に対し、訪日経験は20%にとどまる

同調査では、インドネシアのZ世代は訪日関心が高い一方、実際に訪日したことのある人は全体の20%となっています。所得別に見ると、所得額が低くなればなるほど訪日割合が低く、月収600万インドネシアルピア(日本円で約58,200円 ※2024年11月時点のレートで換算)以上の高所得者層になると、約61%の人が訪日を経験しています。所得が高くなればなるほど、訪日経験のある層が増える傾向にあるようです。

日本で興味のある体験1位は「四季の自然」

訪日旅行中に興味のある活動として、第1位は「四季の自然を体験すること」で全体の約56%でした。インドネシアは熱帯性気候で、雨季と乾季の2つの季節しかなく、年間通して気温がほぼ一定で高温多湿です。そのため、日本で桜の花見や紅葉、雪など、四季折々の自然を楽しめる点に魅力を感じているようです。

購入決定時に影響する要因は「品質」「価格」「オンラインレビュー」

インドネシアのZ世代が商品やサービスの購入決定時に影響する要因として、「品質」「価格」の2項目を選んだ人が全体の60%以上となりました。次いで36.5%と高い割合を占めた回答は「オンラインレビュー」です。高品質な商品やサービスにこだわりながら、価格やオンライン上の口コミなどを参考にして購入する人が多いことがわかります。

インドネシア人の訪日データ

2024年はアジア圏を中心に訪日観光客が急増し、1〜9月の累計訪日外客数と消費額ともに前年を上回る高水準を記録しています。さまざまな国と地域から日本に観光客が訪れる中、インドネシア市場は、これまでどのくらいの規模で推移していたのでしょうか。ここでは、訪日インドネシア人客数や消費動向を振り返ります。

2023年の訪日数は42万人、コロナ禍前を上回る水準

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2023年の訪日インドネシア人客数は42万9,400人で、コロナ禍前の2019年を上回る水準まで回復しています。

インドネシア 訪日外国人数 2023年
▲2023年の訪日数は42万人、コロナ禍前を上回る水準:日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計より訪日ラボ作成

2019年まで、訪日インドネシア人客数は増加し続けていたことがわかります。コロナ禍には落ち込んだものの、コロナ後の2022年からは東南アジア諸国のなかでも快調なペースで回復しています。

消費額は年間835億円、一人あたり消費額は19.8万円

観光庁が発表した訪日外国人消費動向調査によると、2023年における訪日インドネシア人の旅行消費額は835億円でした。
インドネシア 訪日旅行消費額 2023年
▲2023年の消費額は835億円、コロナ禍前を大きく上回る:観光庁 訪日外国人消費動向調査より訪日ラボ作成

なお、訪日インドネシア人一人あたりの旅行支出は19万8,442円で、2019年比で51.4%増えています。支出の費目別では宿泊費が最も多く、次いで買い物代、飲食費にかける割合が高くなりました。

2019年と比較すると、すべての費目で消費額が増加する結果となりました。

インドネシア人 インバウンド 一人当たり消費単価
▲費目別では、2019年と比較してすべての費目で消費額が増加:観光庁 訪日外国人消費動向調査より訪日ラボ作成

訪日インドネシア人を集客するために

さまざまな国と地域の観光客が日本を訪れていますが、国によって文化や慣習が異なるため、集客に向けてそれぞれの市場に合わせたアプローチが必要です。ここでは、訪日インドネシア人を集客するにあたって、おさえておきたいポイントを紹介します。

インドネシアの人口の9割は「ムスリム」

インドネシアは世界最大のイスラム人口を有し、人口の9割がイスラム教徒(ムスリム)です。イスラム教の戒律では、豚肉とアルコールの摂取が禁じられており、豚肉に触れた食材も口にできないなど、極めて厳格に規定されています。

一方イスラム教徒が食べて良いとされる食べ物に「ハラールフード」があります。イスラム圏からの観光客増加に伴い、ハラール認証を取得したり、ムスリム向けの礼拝スペースを設置したりするなど、インドネシア人が過ごしやすくなるような工夫を行うことで、集客につながるかもしれません。

関連記事:イスラム教徒は牛肉を食べられない?食べてはいけないもの・食べてよいハラールフードの違い

漫画やアニメなど日本のポップカルチャーが人気

インドネシアでは日本の漫画やアニメなどのポップカルチャーが人気です。1980年代から日本のアニメがテレビで放送されており、大型書店の漫画コーナーには翻訳された日本の漫画が多数並ぶなど、世代を問わず日本のアニメが身近なものになっています。

漫画アニメとコラボしてプロモーションしたり、イベントやコンテンツに活かしたりすることで、流行に敏感なインドネシアの若い世代の関心を惹き、訪日旅行のきっかけになりそうです。

多言語対応はどこまでやるべきか?

インドネシア人は宗教上の食事制限が多いため、たとえば飲食店のウェブサイトやメニューを外国語にも翻訳して併記することで、観光客も安心してお店や料理を選びやすくなるでしょう。そのほか、スムーズなコミュニケーションを図るために、多言語対応できるスタッフを配置することも有効です。

一方で、インドネシア人には英語が通じるのか、個別の多言語対応をどこまでやるべきなのか、といった点が気になる方もいるのではないでしょうか。

まずインドネシアの公用語はインドネシア語です。英語は準公用語的な立ち位置でビジネスシーンなどで使われており、インドネシア国内で英語が通じるかどうかは地域や本人の教育水準によって大きく異なると言われています。

ただし、JNTOによるインドネシア市場の資料では、

言語について
■経済的に余裕があり、訪日旅行が可能な人々の多くは、英語を話すことができる。
インドネシアの街頭広告やテレビ広告、新聞広告などにも 英語表記があり、見慣れているため、日本でも英語表記が整っていれば基本的に問題はない。
■日本人が英語を話せなかったり、街中で日本語表記しかなかったりする状況に、不便を感じるようである。

とあり、基本的には英語対応でも問題ないようです。

現時点の訪日客数を踏まえると、英語中国語(簡体字繁体字)、韓国語といった言語に比べ、インドネシア語へ対応する優先度は低いといえます。まずは英語などへの対応を優先し、より理解しやすいように写真やピクトグラム、Web上では自動翻訳機能などを活用して補完していくとよいでしょう。

インドネシア市場は今後さらなる盛り上がりが期待

インドネシアは安定して経済発展を遂げ、海外に渡航する出国者数も年々増加しており、今後世界でさらに影響力を高める市場として注目されています。ここでは、インドネシア市場の成長が期待できる主な理由を3点紹介します。

人口は世界で4番目の約2.79億人、20年で約1.3倍に増加

インドネシアの人口は2億7,870万人(2023年時点)で、中国、インド、アメリカに次いで世界で4番目に多くなっています。20年前と比較して約1.3倍の割合で増加しており、今後も人口増加が続きそうです。国内の産業発展に伴い、雇用機会も拡大しており、人口増加によるインパクトは大きくなっています。

平均年齢は29歳、65歳以上人口は約7%

インドネシアの平均年齢は29歳と若く、65歳以上の高齢者人口はわずか7.3%となっています。日本では65歳以上が25%を超えていることを考えると、若い世代の多さがあらためてわかります。

インドネシアでは生産年齢人口が多いことから、今後さらなる経済成長の伸びが予想されます。また、2024年4~6月期に日本を訪れたインドネシア人を年代別に見ると、20代が34%と最も多く、次いで30代が30.7%となっています。インドネシアのボリュームゾーンでもあるZ世代をはじめ、若い世代にアプローチすることで、訪日需要を取り込むことができそうです。

経済成長が目覚ましく、国民の生活水準が向上

インドネシアは近年経済成長が著しく、製造業やサービス業の発展に伴って雇用も拡大し、国民の生活水準も向上しています。個人消費も伸びているため、今後さらに海外に渡航する人の増加が期待されます。前述したように、所得が高い人ほど訪日割合が上がるため、より付加価値の高い商品やサービスへの需要も高まりそうです。

Z世代を中心に、インドネシア市場の訪日需要をおさえよう

生産年齢人口である若い世代が多く、訪日に高い関心を抱くインドネシアのZ世代は、日本のインバウンド市場において大きな可能性を秘めています。外国人観光客に向けたWi-Fi整備や多言語対応のほか、イスラム圏の食文化や習慣に配慮した環境作りをすることで、インドネシア人の訪日の障壁を下げることができそうです。今後、インドネシアのZ世代に向けてどのような施策を打ちプロモーションを行うかが、インドネシア人を集客する鍵となりそうです。

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<参照>
日本政府観光局(JNTO):訪日外客数(2023年12月および年間推計値)
日本政府観光局(JNTO):外国旅行の動向(訪日インバウンド市場別情報 インドネシア市場)
観光庁:訪日外国人消費動向調査 2023年 年次報告書
観光庁:訪日外国人消費動向調査 2019年 年次報告書
United Nations:Population Division
観光庁:インバウンド消費動向調査の結果 2024年 4-6月期 報告書
外務省:インドネシア共和国 基礎データ
外務省:第5章 津波支援を取り巻く各国の社会経済政治情勢
財務省:見過ごされてきた大国インドネシアのこれまでとこれから

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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