需要の拡大が続くインバウンド市場ですが、政府が2030年までの目標として掲げる「インバウンド6,000万人、消費額15兆円」を達成するにはさらなる取り組みが求められています。
そこで観光庁は、地域の観光資源を活用した高価格帯の特別体験ツアーの展開を支援する「地方創生プレミアムインバウンドツアー集中展開事業」の公募を開始しました。
事業者向けに開催された説明会の内容をもとに、詳しく解説します。
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プレミアムな体験商品の展開を支援 消費拡大と地域活性化めざす
インバウンド市場は拡大傾向にあるものの、「インバウンド6,000万人、消費額15兆円」達成には、さらなる消費額の向上が不可欠です。この目標を達成するためには、一人あたりの消費額を、現状からさらに2万円以上増やす必要があるという試算も出ています。
そこで本事業では、地域の観光資源を活用した高価格帯(プレミアム)商品を造成・販売する事業者を支援し、観光消費の拡大と地域経済の活性化を目指します。

造成要件と販売要件
対象商品は、3つの類型いずれかに該当する必要あり
本事業の対象となる体験商品は、以下のいずれかに該当する必要があります。また、複数を組み合わせたコンテンツ造成も可能です。
- プレミアム型:国際スポーツ大会など特別な機会を活用した、高単価な体験を提供するもの。選手との交流を含むVIP観覧席や特別なホスピタリティプログラム、地域の伝統行事への参加ツアーなどが含まれます。
- コト消費×モノ消費型:地域の伝統文化や産品と連携し、体験と購買を組み合わせたツアーを提供するもの。伝統工芸職人との交流や地元漁師との漁業体験、特別会席などが含まれます。
- 規制改革型:未公開エリアの開放や、早朝・夜間の活用など、規制緩和を行ったうえで高単価な体験を提供するもの。名勝地での茶懐石や施設閉館後の特別ツアーなどが含まれます。
商品の性質やターゲットにあわせた販路確保を
本事業の対象となる体験商品は、以下の販売要件に該当する必要があります。
- 体験商品の性質にあわせた合理的な販路を確保した上で、インバウンドに販売すること
- ターゲットに則した販路を確保するにあたって、ターゲット市場のニーズや適正価格などにノウハウを持つ事業者(DMCやランドオペレーターなど)を実施体制に組み込んでアドバイスを受けるなど、工夫を行うこと
- 旅行商品の場合、旅行業法に基づいた販売体制を構築すること
- 本事業終了後も継続的に販売できる計画を策定すること
補助率と対象経費
1,000万円は定額支給 超過分は1/2補助
本事業では、1,000万円まで定額支給し、1,000万円を超える部分は2分の1の補助(最大8,000万円)が適用されます。
例えば事業費が3,000万円の場合は、補助額は2,000万円(定額支給1,000万円+超過分2,000万円の2分の1)で、自己負担額は1,000万円となります。
また、最低事業規模は1,500万円で、この場合の自己負担額は250万円です。
*審査や、事業終了後の精算過程の検査の結果、減額で支払われる可能性もあります。
商品造成に係る経費が50%以上であることが条件
補助対象経費は、以下の3つが含まれます。
1. 体験商品の造成に係る経費
商品の企画開発、外国語ガイドの育成確保、モニターツアー実施とそれを踏まえた商品の改善、商品の紹介・説明・案内の多言語対応などが含まれます。
*本経費が事業費の50%以上となることが条件
2. 備品の購入・設備の導入に係る経費
体験商品などの造成に必要不可欠で、事業終了後の自立的な事業継続に必要なものに限ります。
3. プロモーションに係る経費
商品を販売するために必要な写真・動画の作成、Webサイトなどインバウンド向け情報発信のためのツールの作成・翻訳、商品の認知拡大を目的とした一般向けの広告宣伝、販売経路確保を目的とした海外商談会への出展などが含まれます。
なお、事業に直接関係のない経費、交付決定前に発生した経費、イベントやレセプションなど行事本体の運営・開催に関わる経費*、事業者における経常的な経費などは補助の対象外となります。
*当該行事に付随する体験商品などに関わる経費はこの限りではない
審査の観点とスケジュール
6つの観点から審査 商品のユニークさや販路・価格の妥当性など
申請された事業は、事務局および有識者を含む委員会において、以下の6つの観点から審査されます。
1. 体験商品の特別性・独自性
そこでしか体験できないユニークな体験であるか、各地域の特性を生かした独自性のある取り組みであるか。
2. 海外販路の妥当性
体験商品の性質に応じた合理的な販路を確保した上で、インバウンドへの販売を実施する計画となっているか。また、販路を確保するに当たって、専門的なアドバイスを受けられる実施体制を構築しているか。
3. 価格設定の妥当性
より高単価の価格設定を行う上で、市場のニーズを捉えており、価格に見合った特別な体験内容となっているか。また、事業期間終了した後も持続的に販売可能な価格設定となっているか。
4. 消費拡大効果
投じた補助金に見合うような成果が見込まれる計画となっているか。体験商品単体での消費にとどまらず、周辺商品に寄与するような取り組みとなっているか。
5. 地域経済循環への貢献
実施地域の住民によって提供され、交流活動や人材育成に貢献し、地域人材の所得向上などに大きく資する取り組みであるか。また、地域の自然、伝統文化の積極的な活用、食の地産地消がなされているか。
6. 次年度以降の持続可能性
事業期間終了後においても、造成した体験商品を中長期的に販売することを前提とし、その実現に必要な運営体制を構築できているか。
締切は3/14
本事業のスケジュールは以下の通りです。
- 公募受付締切:3月14日(金)12時
- 公募結果発表:4月中旬ごろ
- 実績報告締切:令和8年(2026年)2月末
詳しい公募要領や様式は、観光庁Webサイトよりご確認ください。
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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
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