スペインは、長い歴史と多様な文化を持つヨーロッパ南西部の国です。日本とは16世紀から交流が続いており、政治・経済のみならず、文化的な結びつきも年々深まっています。
この記事では、スペインの基本情報から日本との関係、インバウンド動向、スペイン人の日本へのイメージなどをわかりやすく解説します。
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スペインの基本情報
まずスペインの基本情報から見ていきましょう。スペインから日本を訪れる場合の所要時間、スペイン市場のインバウンドデータについても掘り下げます。
基本情報
面積 | 約50.6万平方キロメートル |
人口 | 約4,781万人(2023年、IMF) |
首都 | マドリード(首都)、バルセロナ、バレンシア、セビリアなど |
言語 | |
宗教 | 憲法により信仰の自由が保障されている |
1人当たりGDP |
3万3,071米ドル(2023年、IMF) |
18万2,300人(2024年) |
スペインはヨーロッパ南西部に位置する国で、イベリア半島の大部分を占めています。人口は約4,781万人(2023年時点)と、ヨーロッパでは中規模の人口を有する国です。
首都マドリードは政治・経済・文化の中心地で、世界中から多くの観光客が訪れています。
言語はスペイン語(カスティージャ語)が公用語ですが、地域ごとにバスク語、カタルーニャ語、ガリシア語なども公用語として認められています。宗教についてはカトリックが多数派ですが、信仰の自由が憲法で保障されており、プロテスタントやイスラム教なども存在します。
経済面では、1人当たりGDPは3万3,071米ドル(2023年)と安定した水準にあります。
日本との距離
スペイン=日本は、直行便での移動時間は、おおよそ14〜15時間です。現在、日本からスペインへの直行便は成田空港からマドリード行きが運航されており、それ以外の空港(羽田・関空・セントレアなど)から向かう場合は、いずれも乗り継ぎが必要となります。
スペインの現地時間は日本より8時間遅れており、サマータイム期間中(3月末〜10月末頃)は7時間遅れになります。
*スペインを含むEUでは、3月の最終日曜日から10月の最終日曜日までがサマータイム期間
インバウンドデータ
2024年の訪日スペイン人数は18万2,300人で、コロナ前の2019年(13万200人)を大きく上回って過去最高となりました。前年比でも57.3%の増加となっており、スペインからの訪日客数が徐々に拡大していることがわかります。

旅行消費額も堅調に推移しており、2024年は670億円でした。2023年比では72.3%増、2019年比では133.0%増と、過去最高を大きく更新しました。

1人当たりの旅行消費額は36万8,428円で、全市場平均(22万6,851円)を大きく上回る水準です。
関連記事:2024年の訪日スペイン人数は18.2万人、消費額もともに過去最高【最新インバウンドデータを解説】
スペインと日本の関係をわかりやすく解説
日本とスペインは、16世紀から交流が続く友好国同士です。2018年には外交関係樹立150周年を迎え、政治・経済の両面で協力を深めてきました。
ここでは、両国の関係性を政治と経済の観点から紹介します。
2018年に外交関係樹立150周年
日本とスペインは、1868年に日西修好通商航海条約を締結し、外交関係を樹立しました。2018年には150周年の節目を迎え、両国で記念事業が実施されるなど、長年の友好関係が改めて確認されました。
外交関係以前にも、16世紀のフランシスコ・ザビエルの来日や、天正遣欧少年使節・支倉常長らの訪西といった歴史的な交流があり、両国のつながりは長い歴史を持ちます。
近年では皇室と王室の相互訪問も活発で、首脳同士の会談も定期的に行われています。2018年には安倍元首相がスペインを訪問し、戦略的パートナーシップに関する共同声明が発表されました。
経済的にも深いつながりを持つスペインと日本
日本とスペインは、自動車や食品などを中心に安定した経済関係を築いています。
日本からの主な輸出品としては、自動車(38.2%)、鉄鋼(7.7%)、二輪自動車など(4.5%)が挙げられます。一方、スペインからの輸入では、豚肉(21.8%)、自動車(11.4%)、自動車部品(7.1%)が多くを占めています。
また、2023年の日本からスペインへの直接投資は517億円、スペインから日本へは61億円で、スペイン国内には404の日本企業拠点があります。
スペインで日本の文化が浸透
経済や外交の面でも安定した関係を築いてきた日本とスペインは、文化を通じた交流も続いており、スペインでは日本食や伝統文化、日本語学習への関心が高まりつつあります。
ここではスペインで親しまれている日本文化と、その背景を紹介します。
日本食は「健康的でおしゃれ」
スペインでは日本食が「健康的でおしゃれ」として人気を集めており、スペインには2023年時点で700店舗の日本食レストランが営業しています。寿司はスーパーでも販売され、宅配チェーンも拡大中。最近はラーメンやお好み焼き、焼き鳥などの専門店も増えており、日本食の多様性が評価されています。
スペイン国内で日本食が人気の一方、訪日旅行中には「朝に気軽にコーヒーと朝食が楽しめるカフェが街中に少ない」「日本食は熱い・辛いものが多い」「街中に食品市場が少なくてつまらない」といった不満の声もあるようです。今後、スペイン人をはじめとする欧米客を集客したい場合は、こうしたニーズへの対応が求められそうです。
日本語学習への関心が高い
スペインでは、日本語を学ぶ人が増えつつあるようです。国際交流基金の2021年度調査では、158の教育機関で約9,400人が日本語を学んでいると報告されています。
また、マドリード自治大学やバルセロナ自治大学などでは、日本研究を含む東アジア学の学士課程が設置されており、サラゴサ大学やバレンシア大学では修士課程も開講しています。カタルーニャ州の中高等教育機関の5校では、2023年度より日本語コースが選択科目として正式に導入されました。
欧州の中でも特に浸透している「盆栽」
スペインはヨーロッパの中でも特に盆栽文化が浸透している国です。1980〜90年代に4期連続で首相を務めたゴンザレス氏が熱心な盆栽愛好家だったという背景もあり、官邸内の盆栽園がメディアでたびたび紹介されていました。
現在でも茶道や着付け、生け花、書道などとともに盆栽は人気の習い事のひとつで、旅行博やイベントでも日本の伝統文化として紹介されています。
またほかにも、折り紙への関心も高く、サラゴサ市には欧州で唯一の折り紙博物館があります。
スペイン人が日本に抱くイメージ
スペインでは、日本は「伝統と現代が融合するユニークな国」として認識されており、都市や文化に対する関心が高まっています。近年は、白川郷や熊野古道など、自然と共生する地域への注目も増えてきました。
ここでは、スペイン人が日本に抱いているイメージについて紹介します。
大都市が人気の旅行先だが、近年は「自然」にも注目
スペインでは、日本といえば「伝統と現代が融合した国」というイメージが強く、東京・京都・大阪といった大都市が人気の旅行先として定着しています。
一方で、近年では白川郷や高山など、自然に囲まれた文化的な観光地への関心も高まっています。特に、熊野古道は1998年にサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路と姉妹道提携を結んで以降、スペイン国内での認知度が急上昇。旅行会社のカタログでも頻繁に紹介されるようになりました。
また、2015年には四国遍路も同巡礼路と協力協定を結び、2016年からスペイン発の旅行商品に登場しています。従来の「伝統と現代」に加え、「自然と文化」も日本旅行の魅力として広がりつつあります。
日本のイメージトップ3は「芸者・寿司・茶道」
訪日旅行の意向がある人々が持つ日本のイメージとして多く挙げられたのは、芸者、寿司、茶道、桜、相撲でした。昔から日本を象徴する文化や自然が、イメージとして根づいているようです。
そのほかにも、嵯峨野の竹林や渋谷のスクランブル交差点といった具体的なスポットも認知度が高く、日本に対する幅広い興味がうかがえます。
長い歴史に支えられた、日本とスペインのつながり
日本とスペインは、16世紀の初期交流から続く長い関係を経て、外交・経済・文化など多くの分野でつながりを深めてきました。政治面では戦略的パートナーとしての協力が進み、経済面でも貿易・投資の安定した流れが形成されています。
また文化交流も活発化しており、日本食や日本語、伝統文化に対する関心がスペインで高まりつつあります。こうした相互理解の積み重ねが、両国の関係をより豊かなものにしています。
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<参照>
- 外務省:欧州|スペイン王国 Kingdom of Spain
- 日本政府観光局(JNTO):訪日外客数
- 日本政府観光局(JNTO):外国旅行の動向|スペイン
- 観光庁:インバウンド消費動向調査
- 外務省:令和 6年分(輸出確報;輸入速報(9桁))
- 農林水産省:海外における日本食レストランの国・地域別概数
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