中国の地図アプリ「高徳地図」と「百度地図」の違いを解説!日本では使える?

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観光客にとって、目的地までのルートや交通案内を調べられる地図アプリは欠かせないツールです。なかでも中国では2大地図アプリの「高徳地図」と「百度地図」が広く利用されており、中国人向けインバウンド対策をする場合、この2つのアプリの活用がおすすめです。

本記事では、「高徳地図」と「百度地図」のそれぞれの特徴や違い、日本で使用できるかどうかについても解説します。

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中国の2大地図「高徳地図」と「百度地図」とは

世界で圧倒的なシェアを誇り、多くの訪日観光客が使用しているGoogleマップは、中国では政府の規制により使用できません。この規制は「グレートファイアウォール」と呼ばれるもので、GoogleだけでなくFacebook、YouTube、X(Twitter)などさまざまなサービスへのアクセスが制限されています。

代わりに多くの中国人が使用しているのが「高徳地図」と「百度地図」という地図検索サービスで、中国国内だけでなく国外でも利用可能です。

ここでは、高徳地図百度地図のそれぞれの特徴を紹介します。

高徳地図(amap):中国シェアトップの地図検索サービス

高徳地図(ガオドゥマップ / amap)は、中国の代表的なIT企業「アリババグループ」が運営している地図アプリです。2024年6月には月間アクティブユーザー数が8億人を突破したと発表されており、中国国内でシェアナンバーワンとなっています。

▲高徳地図(amap)目的地検索:訪日ラボ編集部スクリーンショット
▲高徳地図(amap)目的地検索:訪日ラボ編集部スクリーンショット

提携するパートナー企業の多さが特徴で、基本的な地図検索やナビゲーション機能のほか、旅行のホテル予約やチケット購入、ネット配車サービスまで幅広く利用できます。飲食や娯楽、旅行など生活に関わるさまざまなサービスが揃っているため、中国で日常生活を送るうえで欠かせないアプリとなっています。

またナビ機能や交通情報が充実していることから、ドライバーからも支持を集めています。

高徳地図アプリは、App StoreやGoogle Playにて「amap」と検索すると表示されます。

関連記事:中国人が使う地図アプリ「高徳地図(amap)」とは?登録方法や使い方まで徹底解説!

百度地図:日常生活に密着した多機能搭載アプリ

百度地図(バイドゥマップ)は、中国の大手検索エンジンである「百度(バイドゥ)」が提供する地図検索サービスです。Web・アプリの両方で利用可能で、ユーザーは通常の地図検索に加えて、道路の混雑状況や特定の地域の気象情報、交通情報、周辺の施設情報など、さまざまな情報を得られます。

▲百度地図(Baidu map)目的地検索:訪日ラボ編集部スクリーンショット
▲百度地図(Baidu map)目的地検索:訪日ラボ編集部スクリーンショット

基本的にはGoogleマップと似たサービスで、Googleマップの「ストリートビュー」に相当する「査看全景」や、目的地までの交通手段を表示する機能を搭載しています。そのほか、オフラインでも地図を閲覧できるため、事前にダウンロードしておくことで通信環境がない状況でも安心して利用できます。

百度地図のアプリは、App StoreやGoogle Playにて「Baidu map」と検索すると表示されます。

関連記事3.6億人が利用する「百度地図」とは:機能や訪日中国人集客への活用法も紹介

「高徳地図」と「百度地図」の違い

中国を代表する地図アプリ高徳地図百度地図は、機能面などで違いがあり、目的や用途に応じて使い分けるのがおすすめです。

高徳地図:提携企業が多く若者に人気

高徳地図は、提携企業が多いのが特徴です。中国で普及しているQRコード決済アプリAlipay」と連携しており、アプリ決済が利用できるほか、連携しているタクシー会社も多いため、配車を依頼しやすいのが強みです。機能が多く実用的なことから、若者の人気を集めています。

またナビ機能や交通情報が充実しているため、高徳地図をカーナビとして利用するドライバーも多く、通勤者からも支持を集めています。

百度地図:直感的なアプリ操作が人気

一方で百度地図は、AIアシスタントによる通訳機能やレート計算など、旅行に役立つさまざまな機能を搭載していることが強みです。

またシンプルで直感的な操作が可能なことから、より幅広い年代や地図アプリに不慣れな人にも人気となっています。

他にも検索エンジン「百度」や旅行情報プラットフォーム百度旅遊」などが展開されています。

中国人の地図活用方法4選

地図アプリは中国での生活を送るうえで重要なインフラとなりつつあり、中国人は旅行をする際に「高徳地図」と「百度地図」を活用して情報収集を行っています。

旅行の利便性を高めるためにも欠かせない存在である地図アプリを、中国人は実際にどのように活用しているのでしょうか?ここでは、中国人の地図アプリの活用方法を4つ紹介します。

1. ルート案内として活用

旅行中に目的地へ移動する際、地図アプリの情報や案内が役立ちます。現在地から目的地までのルート案内を確認できるほか、バスや電車の時刻表、乗り換え案内が細かく表示されます。最適なルート順に距離や所要時間、運賃などが表示され、一つ選ぶと詳細なルートを確認できます。

そのほかにも自転車でのルートを表示したり、タクシーやライドシェアを配車したりといったことも可能で、複数の選択肢の中から最適な手段を選ぶのに有効です。

2. 店舗や観光地を探す

店舗や観光スポットを探す際に地図アプリを活用する人も多いようです。検索したエリア周辺のショッピングエリアや飲食店の位置情報が表示されるため、観光スポットを簡単に見つけることが可能で、時間を有効活用して観光地巡りを楽しめます。

ほかにも、近隣店舗で利用できる特典やクーポン情報が表示される機能もあり、買い物をする際に活用している人もいるようです。

3. 口コミをチェック

地図アプリには他のユーザーが投稿した口コミが掲載されており、口コミ情報を参考にして行き先を検討する人も多いようです。

中国人は旅行や買い物をする際の判断基準として、他の人の評価や口コミを重視する傾向があります。地図アプリの他のユーザーのレビューをチェックし、具体的な感想や体験談などから実際の雰囲気やサービスを事前に把握し、行き先選びをしているようです。

4. ホテルなどを予約

地図アプリを使って、ホテルやチケットを予約することも可能です。宿泊施設によっては、地図アプリに掲載されている写真や口コミなどから比較を行い、予約リンクからそのまま予約できる場合もあります。宿泊当日は地図アプリで目的地までのルートや交通手段も案内してくれるため、移動もスムーズに行えます。

地図アプリは単なるマップではなく、旅行前の計画から旅行中の移動や行き先選びまで、さまざまな場面で役立つツールとなっています。

日本でも「高徳地図」と「百度地図」は使える?

中国人にとって、旅行中や海外滞在で欠かせないツールの高徳地図百度地図は、日本の事業者でも使用可能です。

ここでは、日本の事業者が高徳地図百度地図を使う前に知っておきたいことを紹介します。

1. 日本でもマップ利用は可能、ただしアカウント作成には手間がかかる

訪日中国人だけでなく、日本の事業者も高徳地図百度地図を使用できます。

ただし、店舗情報の登録にはアカウント作成が必要ですが、日本の電話番号ではアカウントを作成できません。

そのため日本の事業者が高徳地図もしくは百度地図でアカウントを作成するためには、以下のどちらかが必要になります。

  1. 中国の電話番号のスマートフォンもしくは中国電話番号付きのSIMカードを取得して登録
  2. 日本の代理店を経由して登録

2. インバウンド対策としてはどちらも使える

高徳地図百度地図は、いずれもインバウンド対策に活用できます。

ただし先述の通り、日本の電話番号では地図アプリ上で店舗情報を登録できないため、まずは代理店を経由する必要があります。代理店を通すことで店舗情報の登録や広告出稿が可能となります。

高徳地図百度地図は中国人にとって馴染み深いため、他の中国独自のSNS口コミサイトと組み合わせて活用することで、訪日中国人の集客機会の拡大に役立つでしょう。

インバウンド対策として地図アプリを活用する際は、それぞれのアプリの特徴と集客したい層を踏まえた上で選ぶのがおすすめです。たとえば高徳地図の場合は中国最大級のシェアを誇り、若者を中心に人気を集めています。百度地図は直感的なUIが人気で、他にも検索エンジンや旅行情報プラットフォームなども展開している点が特徴的です。

3. 日本の情報が充実していない可能性がある

高徳地図百度地図はインバウンド対策に活用できるものの、実際にそれぞれのマップを確認してみると、地域によっては店舗情報が掲載されていなかったり、店名は記載されていても詳細情報がなかったりなど情報が不足している場合があります。

とはいえ、どちらも徐々に店舗情報などは増加しているようです。

現段階では地図アプリはナビとして活用し、SNS口コミサイトで詳しい情報を収集するなど使い分けられていると考えられます。

今後、日本側の情報がさらに充実した場合、訪日中国人客にとって主要なツールとなる可能性もありえます。

4. 中国人が使うSNS・口コミサイトもあわせてチェック

中国人は訪日情報を調べる際に、SNS口コミサイトを積極的に活用しています。そのため、日本の事業者が中国人の集客を考える際にも、高徳地図百度地図だけでなくSNS口コミサイトもあわせて活用するのがおすすめです。

中国人が使うSNSとしては「Weibo」や「WeChat」、「RED小紅書)」などが挙げられます。特に若い世代を中心に活用されており、実際に日本旅行に関する情報も数多く投稿されれているため、情報収集には必須ともいえるでしょう。

また中国人は旅行や買い物の際に口コミを重視しています。特に「中国食べログ」とも呼ばれる「大衆点評」は訪日中国人の2人に1人が利用しているため、訪日中国人の集客対策として注目したいツールです。

関連記事:

「高徳地図」と「百度地図」で集客する方法

ここでは、高徳地図百度地図を使って中国人を集客する方法について紹介します。

中国の地図アプリは、代理店を経由することで、訪日中国人客の集客対策における選択肢の一つになります。

代理店を経由して店舗情報を登録

高徳地図百度地図どちらも、日本の電話番号を使う場合は、日本の代理店を経由することで店舗情報の登録・更新が行えるようになります。

また中国の電話番号のスマートフォンか、中国電話番号付きのSIMカードを用意できる場合は、事業者自身でも店舗情報の登録が可能です。

地図広告やクーポンを掲載

店舗情報の登録と同様、日本の代理店を経由することによって地図広告やクーポン掲載といった有料プロモーションを実施できます。

中国人がよく使う地図アプリに広告を掲載することで、ターゲット層に向けた効果的なアプローチにつながります。

高徳地図はユーザーに若い世代を多く抱えているといった特徴があり、百度地図では検索エンジンへの広告出稿を同時に検討できます。

広告出稿の際には、それぞれの地図アプリの特徴を踏まえた上で掲載先を選ぶことで、より効果的なインバウンド集客につながりやすくなります。

「高徳地図」や「百度地図」を活用して訪日中国人の集客につなげよう

コロナ後、中国インバウンド市場が着実に回復する中で、訪日中国人の需要を取り込む重要性が高まっています。

多くの中国人が使用している「高徳地図」や「百度地図」といった地図アプリは、SNS口コミサイトと組み合わせて対策することで、今後のインバウンド集客に役立つといえます。

今後インバウンド対策を行う際、それぞれの用途や目的に応じて中国の地図アプリの活用も検討してみてください。

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<参照>

百度百科:高徳地図

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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