「骨太の方針2025」決定 インバウンド関連の施策はどうなる?

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政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(通称「骨太の方針」)を閣議決定しました。これは、政権の重要課題や翌年度予算編成の方向性を示す方針として、毎年6月ごろに策定されるものです。

本記事では、その中からインバウンドに関連する内容をピックアップしてご紹介します。

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「骨太の方針2025」が閣議決定

「経済財政運営と改革の基本方針」とは、政府の経済財政政策に関する基本的な方針や、経済・財政・行政・社会などの分野における改革の重要性とその方向性を示すものです。

以下にインバウンドに関わる方針を紹介します。

地方創生2.0の推進および地域における社会課題への対応

地方創生に関する項目では、持続可能な観光の推進や、文化・スポーツ振興について触れられました。

持続可能な観光の推進

2030年の政府目標である訪日外国人旅行者数6,000万人・消費額15兆円達成に向け、地方誘客を促進します。具体的には、温泉旅館、食、歴史など、日本固有の観光資源の磨き上げを進めつつ、以下の取り組みを進めます。

  • アドベンチャーツーリズムなど多様な観光コンテンツの造成と収益性改善
  • ローカルガイドを含む観光人材育成
  • 高付加価値なインバウンド観光地づくり
  • 国立公園・国定公園・国民公園や公的施設の魅力向上
  • 空港・CIQ・二次交通などの受入環境整備
  • 地方路線を含む国内航空ネットワークのインバウンド利用拡大
  • クルーズの持続的な成長と拠点形成、戦略的なプロモーション
  • MICE誘致・開催
  • 厳格なカジノ規制を含むIR整備
  • デジタルノマドの誘客
  • アウトバウンドの推進による双方向の交流拡大

*CIQ…税関(Customs)・出入国管理(Immigration)・検疫(Quarantine)の頭文字をとった言葉

持続可能な観光地域づくりに向けては、観光地の受入環境整備や、観光地域づくり法人(DMO)のマネジメント体制強化に加えて、国内交流市場拡大に向けた取り組みを進めます。

また、これらの観光施策を強化するため、2025年度末までに新たな「観光立国推進基本計画」を策定し、必要な財源確保について具体的な検討を行うとしています。

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文化芸術・スポーツの振興

文化芸術立国を実現するため、NEXT日本博(仮称)や持続可能性のある文化財の保存、文化観光の推進、伝統芸能や文化の振興など、文化資源を活用した地域経済の活性化や、次世代への継承を進めます。

またスポーツ分野においては、武道・スポーツツーリズムなどの推進を通じて、スポーツが持つ力を地域・経済の活性化につなげます。具体的には、2025年世界陸上・デフリンピック、2026年アジアアジアパラ競技大会、ワールドマスターズゲームズ2027関西など、大規模国際大会の開催支援などに取り組みます。

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またそのほかにも、地方創生の項目では、以下について取り組んでいくとしています。

  • 地域資源を活用した高付加価値型の地方経済の実現に向け、インバウンドによる食関連消費額を3倍に引き上げることを目指す
  • 食料安全保障の確保や農業・畜産業の生産基盤の強化のため、農泊をはじめとした里業や森業、海業の取り組みに対して、インバウンド需要の取り込みを促進する

DXの推進

観光DXについては、観光地や観光産業における予約・決済データや、生成AIの活用を進めるとしています。

空港では、厳格で円滑な出入国管理を行うため、顔認証などの新技術を活用した業務DXや、電子渡航認証制度(JESTA)の早期導入に向けた取り組みを進めます。

加えて、電子渡航認証制度(JESTA)のシステム利用時に外国人から徴収する手数料を、外国人政策のための財源として活用することを検討します。

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海外活力の取り込み

「海外活力の取り組み」の項目では、コンテンツツーリズムや、国際的な大型イベントについて触れられました。

コンテンツ産業の海外展開

「コンテンツと地方創生の好循環プラン」に基づき、コンテンツによる地方創生拠点を選定し、アニメツーリズムやロケ誘致など、地域が一体となった取り組みを行います。

また、長期の作品制作や海外からのロケ誘致を支援するとともに、撮影許可の手続きを迅速化します。

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大阪・関西万博

4月から開催されている大阪・関西万博については、社会課題解決につながる技術の実証や、日本各地の魅力発信・来場者の地方誘客、ビジネスマッチングの機会提供に取り組み、そうした成果をレガシーにすることを目指します。

加えて、2027年開催予定の国際園芸博覧会に向けて、会場建設や参加招請、機運醸成などの準備を進めていきます。

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外国人との秩序ある共生社会の実現

「国民の安心・安全の確保」については、海外活力を取り込みつつ、国民の安心・安全を確保するため、外国人との秩序ある共生社会の実現に向けた取り組みを進めるとしています。

出入国在留管理の一層の適正化

入国から出国まで、情報の一元的管理を実現するため、2028年度のJESTA導入を目指します。また、主要国の水準を考慮して、査証や入国在留関係手数料の設定・見直しの検討を行います。

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観光・短期滞在者への対応の強化

インバウンド観光客の受け入れと住民の生活の質の確保を両立させるため、観光目的で日本を訪れる観光客や短期滞在者の犯罪・迷惑行為への対応を強化します。

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<参照>

内閣府:経済財政運営と改革の基本方針2025

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

  • 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
  • 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
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  • 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける

詳しくはこちらをご覧ください。

宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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