2024年度に政府が行ったインバウンド施策・後編【令和7年版観光白書 徹底解説(4)】

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政府は5月27日、令和7年(2025年)版の観光白書を閣議決定し、公表しました。

訪日ラボでは全5回にわたり、インバウンド担当者が読んでおきたい箇所をピックアップして解説します。

第4回目の今回は、前回に引き続き、政府が2024年度に行った施策について見ていきます。

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▼この連載の記事

  1. 最新の世界の観光動向は?【令和7年版観光白書 徹底解説(1)】
  2. 最新の日本の観光動向は?【令和7年版観光白書 徹底解説(2)】
  3. 2024年度に政府が行ったインバウンド施策・前編【令和7年版観光白書 徹底解説(3)】

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「消費額拡大」や「地方誘客」がインバウンド施策の重点テーマ

政府は、観光立国推進基本計画に掲げる3つの戦略に基づき、施策を推進しています。

  1. 持続可能な観光地域づくり
  2. 地方を中心としたインバウンド誘客
  3. 国内交流拡大

このうち「地方を中心としたインバウンド誘客」では、消費額拡大や地方誘客促進を重視し、コンテンツの整備や高付加価値旅行者の誘致、MICEの推進、アウトバウンドの促進などが重点テーマとして挙げられています。

▲令和6年度に講じた施策・令和7年度に講じようとする施策:令和7年版観光白書より
▲令和6年度に講じた施策・令和7年度に講じようとする施策:令和7年版観光白書より

2024年(令和6年)度に政府が行ったインバウンド施策

ここからは、前回に引き続き、2024年度に政府が行ったインバウンドに関連する施策を紹介します。

MICEの推進

コロナによる変化を踏まえたMICE誘致・開催の意義の発信

コロナ禍を経た環境変化を受け、MICE開催による経済的意義を再確認するため、「MICE簡易測定モデル」の改訂に向けた調査を実施しました。

具体的には、企業ミーティングや展示会などの参加者一人当たりの消費額やMICE全体の経済波及効果を算出。また、国際MICE参加者数の算出精度を高めるため、調査対象や費目の見直しに取り組みました。

政府一体となったMICE誘致・開催

「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」や大阪・関西万博の開催を踏まえて、国際会議を積極的に誘致・開催するため、文部科学省や外務省など関係省庁と連携し、国際会議の誘致に向けた招請レターを発出しました。

MICE開催地としての地域の魅力向上・発信

国際会議インセンティブ旅行の受け入れに積極的な施設の情報を、日本政府観光局JNTO)などのWebサイトを通じて発信し、公的施設のユニークベニュー*としての活用を促進しました。

また、全国のコンベンションビューローと会議主催者の連携により、ユニークベニューの活用支援や新規施設の発掘を行い、30件を支援。これにより、各地域のMICE開催地としての魅力向上を図りました。

*お城や寺院などの歴史的建造物や美術館、博物館などの文化施設、歩道などの公的スペースを使って、会議やレセプションを開催し、参加者に特別感や地域の特性を体験してもらう会場のこと

関連記事:MICEとは?観光産業に与える効果と、コロナ禍を経ての変化とは

IR(統合型リゾート)整備の推進

IRについては、「特定複合観光施設区域整備法」に基づき、2023年4月に認定された大阪の区域整備計画に対して、2024年9月にその実施状況の評価が行われました。

関連記事:カジノ含むIR(統合型リゾート)大阪に誕生へ、29年開業目指す 長崎は見送り

インバウンド受け入れ環境の整備

交通機関の整備・外国人対応

新幹線や高規格道路、国内航空などの高速交通ネットワークを活用し、大都市圏と地方、また地方間の移動環境を整備することで、快適な旅行を実現し、地方への国内外観光客の流れを創出しました。

さらに、航空ネットワークの維持・活性化に向けて、空港使用料や航空機燃料税の減免、空港会社への無利子貸付を支援。併せて、航空ネットワークの維持・発展やサステナブルツーリズムへの関心の高まりに対応するため、持続可能な航空燃料(SAF)導入や、空港の再エネ拠点化など、航空の脱炭素化にも取り組みました。

また、訪日外国人の受け入れ拡大や国際競争力の強化の観点から、首都圏空港の発着容量の年間約100万回への拡大を目指し、必要な取り組みを進めました。具体的には、羽田空港においては、2020年3月に運用を開始した新飛行経路について、騒音・落下物対策や地域への情報提供など、着実な運用を推進しました。成田空港においては、C滑走路新設など、年間発着容量50万回に向けた取り組みを進めるとともに、旅客ターミナルの再構築や航空物流機能の高度化などの検討を進めました。

関連記事:成田空港、2027年度までの経営計画を発表 総旅客数4,700万人目指す

出入国に関する措置などの受け入れ体制の確保

訪日外国人旅行者の利便性向上を目的に、在外公館のビザ審査体制強化や領事業務の合理化を進めました。2024年度には、インドインドネシアで次世代査証発給システムを導入し、19か国・地域でオンライン申請と電子査証の交付が可能になりました。

また、2024年4月にはパナマ、フィリピン、ウクライナ、ブルネイに対しビザ要件の緩和を実施。2025年3月末時点で、日本が一般旅券所持者に対してビザ免除を実施している国・地域は71になりました。

また、今後も訪日外国人の増加が見込まれることから、成田空港などにおける出入国の待ち時間公開に加え、各空港において、最先端技術を活用した出入国審査の円滑化を図りました。

観光地などの訪日外国人旅行者対応の推進

訪日外国人の周遊促進と消費拡大を目的に、屋外広場の整備、多様な移動手段の導入、多言語対応、無料Wi-Fi設置など66件の観光地整備を支援しました。

大阪・関西万博の開催に向けては、CIQ(税関・出入国管理・検疫)体制の強化、自動翻訳システムやピクトグラムなどわかりやすい表示の整備、無料公衆無線LANなど、社会全体のICT化を推進しました。

さらには、万博に関心を持つ外国人に対して、オンライン上で万博にバーチャル参加・共創できるような仕組みや、日本の魅力的なコンテンツにアクセスできるような環境も整備しました。

アウトバウンドの促進

重点デスティネーションに選定した24の国・地域と連携し、現地の観光情報や海外旅行の魅力発信を実施。特に日米間では、官民協力で観光交流拡大に向けたイベントやメッセージ発信を強化しました。

また2025年3月には、観光庁・外務省・日本旅行業協会の3者連名で「もっと!海外へ宣言」を発出し、海外旅行への機運醸成を図りました。

関連記事:「もっと!海外へ宣言」観光庁・外務省・JATAが共同で発出 新パスポート開始に合わせ、アウトバウンド促進キャンペーン展開

国際観光旅客税(出国税)の活用

2024年度の国際観光旅客税出国税)は、出入国手続きの高度化、受け入れ環境の整備、地域資源を活用した観光コンテンツの拡充などに活用されました。2025年度は、観光先進国実現に向け、新規性・緊急性の高い施策・事業に活用される見込みです。

関連記事:石破首相、出国税の引き上げ検討「日本より安いのは韓国ぐらい」

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▼この連載の記事

  1. 最新の世界の観光動向は?【令和7年版観光白書 徹底解説(1)】
  2. 最新の日本の観光動向は?【令和7年版観光白書 徹底解説(2)】
  3. 2024年度に政府が行ったインバウンド施策・前編【令和7年版観光白書 徹底解説(3)】

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<参照>
観光庁:「令和6年度観光の状況」及び「令和7年度観光施策」(観光白書)について

【7/9開催】消費額1.7兆円超!最新中国インバウンド市場の攻略ポイント

2024年、訪日外国人による旅行消費額は過去最高の約8兆1,257億円を記録。 そのうち中国は1.7兆円超(全体の約21%)と圧倒的な1位を占めており、宿泊日数や訪問者数でもトップクラスの存在感を示しています。

これだけ市場が大きく、経済インパクトのある中国インバウンド。 いま多くの企業が「中国向けに本格的な戦略を立てるべきではないか?」と検討を始めています。

しかし中国では、Googleをはじめとする多くのサービスに規制があり、中国現地のSNSや地図サービスを活用するなど、独自のカスタマイズされた対策が必要です。

本セミナーでは、インバウンド戦略の基本を押さえた上で、「中国市場の最新動向」と「具体的な対策」について、わかりやすく解説します。

<本セミナーのポイント>

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
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  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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