旅マエや旅ナカにSNSを活用して情報収集をする中国人も多く、訪日プロモーションにおけるSNSの重要性は高まっています。しかし中国には政府によるインターネット検閲システムがあり、世界的で一般的に利用されているInstagramやGoogleが使えない点に注意が必要です。
そこで本記事では、中国における最新のインターネットおよびSNS動向を解説します。
中国のインターネット・SNS基本情報
まずは、中国のインターネットやSNSの利用状況を見ていきましょう。
2025年11月にDataReportalで発表されたレポートでは、インターネットやSNSが幅広い層に定着していることがわかりました。
91.6%がインターネットを利用
2025年10月時点で、中国では13億人がインターネットを利用しています。普及率は91.6%に及び、中国人にとってインターネットが重要なインフラになっていることがうかがえます。
週平均使用時間は21時間3分で、中国人がインターネットに多くの時間を費やしていることがわかります。
また、携帯電話でインターネットを利用する人はそのうち96.5%にのぼりました。

SNSの利用人口は12億8,000万人
次に、SNSの利用状況を見てみましょう。2025年10月時点で、中国のSNSのユーザー数は12億8,000万人に達し、総人口の90.3%を占めています。
2024年末〜2025年末の1年間で、SNSのユーザーID数は600万件増加(0.5%増)しました。調査上のユーザーIDの数字が実際の個人を表すとは限りませんが、中国のインターネットユーザーの98.6%が少なくとも1つのSNSプラットフォームを利用していることがわかりました。
なお、動画視聴を含む週あたりのSNS平均利用時間は13時間13分です。

【2025年最新】中国でよく使われるSNS
中国(香港・マカオを除く)では「グレートファイアウォール」と呼ばれる大規模な情報検閲システムが敷かれており、GoogleやYouTube、X(旧Twitter)、Facebook、InstagramといったSNSが規制されています。
中国向けのSNS発信では「日本で使うSNSをそのまま使っても届かない」という前提のもと、中国独自のプラットフォーム戦略が必要になります。
では、中国では具体的にどのプラットフォームが使われているのでしょうか。
レポートの「SELF-DECLARED PLATFORM USE(ユーザーが利用していると自主回答したプラットフォーム)」のデータをもとに、中国で利用されている主要SNSについて解説します。
関連記事:中国人はSNSをどう使っている?SNSの「検索エンジン化」「EC化」など、おさえておきたい6つのポイント

1. WeChat(微信/ウィーチャット)
中国のテンセント社が提供するWeChatは、中国版LINEとも呼ばれるメッセンジャーアプリです。
今回の調査によると、16歳以上の利用者が最も多いSNSはWeChatで、90.3%が月に1回以上使用すると回答しています。
WeChatは、メッセージ機能の他にも決済機能(WeChat Pay)、公式アカウント、ミニプログラムなどのさまざまな機能を備えています。
日本の企業でも、WeChat公式アカウントを開設し、情報発信やクーポン配布といったプロモーションを行う事例も増えています。中国向けのインバウンド対策を行うなら、最初に活用すべきSNSといえるでしょう。
関連記事:2. 抖音(douyin/ドウイン)
WeChat(微信)に次いで利用率が高いのがショート動画アプリの抖音で、81.8%が月に1回以上使用すると回答しました。
抖音はTikTokの中国版で、類似したプラットフォームですが、実際にはまったく別のアプリとして運営されています。
アルゴリズムによるパーソナライズが徹底されており、フォロワーが少なくても質の高い動画であれば再生数が伸びる点が特徴とされています。
日本政府観光局(JNTO)の「訪日旅行データハンドブック(2023年版)」によると、外国旅行の情報収集をする際に使うオンライン媒体として抖音と答えた割合は26.4%にのぼり、主要SNSの中でもっとも高い数値を示しました。
このような背景から、中国市場向けのプロモーションにおいて、抖音は有力なチャネルの一つと言えます。
関連記事:中国版TikTokの抖音(ドウイン)とは?ショートムービーアプリの魅力3. QQ(騰訊QQ/テンセントQQ)
今回の調査では、回答者の56.1%がQQを利用すると答えました。
QQはWeChatと同じテンセント社が運営するメッセンジャーです。チャットやファイル送信などの使い方はWeChatに似ていますが、ユーザー層は大きく異なり、QQは10代を中心とした若年層に支持されています。
きせかえテーマやアバター、音楽、ゲーム、決済機能などを備えた、カスタマイズ性の高さが特徴です。若年層向けのプロモーションやカルチャー分野での情報発信において、重要なプラットフォームとして位置づけられています。
関連記事:QQとは?中国のメジャーなメッセンジャーアプリ・インバウンド需要との連携も4. 小紅書(RED)
REDは、とくに中国の若い女性に人気の高いSNSで、回答者の54.8%が利用していると答えました。
Instagramのような共有機能とAmazonのような購買機能を兼ね備えており、商品のレビュー確認から購入までをアプリ内で完結できる点が特徴です。
旅マエの情報収集において重要であるSNSの中でも、特にREDによる口コミ検索の影響は大きくなっています。
視覚的な訴求が重要な飲食店や観光スポット、宿泊施設などとの親和性が高く、インバウンド戦略における有力な集客チャネルとして定着しています。
5. 百度贴吧(Baidu Tieba:バイドゥティエバ)
百度贴吧は、中国最大級のオンライン掲示板コミュニティです。中国の主要な検索エンジン「百度(Baidu/バイドゥ)」に組み込まれたプラットフォームで、数千万規模のトピック(バー)ごとにユーザーコミュニティが形成されています。
一例として、趣味や旅行、アイドル、特定の商品ジャンルなど、非常に細分化されたユーザーにアプローチできるのが特徴です。
情報は検索経由でユーザーに届きやすく、口コミの蓄積による影響力も大きい傾向にあります。特定のテーマに興味を持つユーザーに向けた情報発信に適したプラットフォームとして活用できます。
関連記事:検索エンジン百度(Baidu/バイドゥ)とは6. 快手(Kuaishou:クアイショウ)
快手は抖音に次ぐ規模を誇るショート動画プラットフォームで、回答者の47.5%が利用すると答えています。
短尺動画を気軽に投稿できる手軽さが魅力で、Like(ハート)やコメント、ハッシュタグ投稿などInstagramやFacebookに似た機能を備えています。
大きな特徴として、地方都市のユーザー層が非常に厚く、ユーザー同士のコミュニティ意識や配信者への信頼度が極めて高いことが挙げられます。
関連記事:快手(Kuaishou)とは?中国で大人気の動画編集・共有アプリを効果的にインバウンド活用する方法・事例7. Weibo(微博:ウェイボー)
Weibo(微博)は中国版X(Twitter)とも呼ばれる、中国のIT企業・新浪公司が運営するSNSです。今回の調査では、回答者の42.2%が利用すると答えました。
テキスト、画像、動画、ライブ配信など多様な形式で発信でき、ハッシュタグ(話題)を通じてトレンドが形成されやすい仕組みを持っています。
話題づくりや認知拡大と非常に相性が良いため、日本の自治体、観光施設、著名人なども公式アカウントを開設し、積極的なプロモーションや情報発信を行っています。
関連記事:中国最大のSNS「Weibo」をインバウンド集客に活用するには?
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〈参照〉
Digital 2026: China
TENCENT:ANNOUNCES 2025 THIRD QUARTER RESULTS
愛知県上海産業情報センター:2025 年中国 SNS 市場レポート:経済を動かすソーシャルメディアの力
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