2024年に入り、ようやく海外旅行需要が回復してきた中国。2024年4月の中国人訪日客数は53万3,600人を記録し、台湾を抜いて全体2位となりました(1位は韓国の66万1,200人)。
そこで訪日ラボでは、中国市場向けのプロモーション強化を目指す企業や自治体の担当者向けに、オンラインセミナーを開催。夏の旅行シーズンに向けて、「プロ」の目線から中国の市場動向や最新の中国SNSのトレンドをお伝えしました。
本記事では、セミナー内で訪日ラボ中国人スタッフが紹介した中国旅行トレンドのなかからホットな内容をピックアップしてお届けします。
今回のテーマは「中国人のSNSの使い方 6つのポイント」。中国SNSユーザーの利用スタイルや、それをもとにした効果的な運用方法などを解説していきます。
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中国SNS活用のメリットと6つのトレンド
セミナーでは、訪日ラボの中国人スタッフであり、中国SNSでインフルエンサーとしても活躍する熊 孟華(ユウ モウカ)が登壇。複数の中国SNSアカウントを運用して感じたトレンドについて、実際の投稿をもとに紹介しました。
中国SNSに注力すべき理由とは?
SNSトレンドを紹介する前に、そもそもなぜ中国市場を狙うなら「SNSを無視できない」のか。その理由を中国の人口から読み解いていきます。
2021年の中国の人口調査によると、総人口の約80%が4つの世代で構成されているのがわかります。
- ベビーブーム:59〜73歳(人口割合:18%、収入割合:22%)
- X世代:44〜58歳(人口割合:23%、収入割合:34%)
- Y世代:29〜43歳(人口割合:22%、収入割合:28%)
- Z世代:14〜28際(人口割合:17%、収入割合:16%)
また、2022年12月の時点で、中国のインターネットユーザーは10.67億人を超え、そのうちSNSユーザーは95.13%を占めます。
インターネットユーザーのボリュームゾーンは、人口や収入割合の高いX・Y世代や、今後成長が期待されるZ世代です。経済活動や社会活動で“主力”となる人たちのほとんどがSNSを利用してていて、その様子は「全民SNS」と言われるほど。こうした背景もあり、中国市場向けプロモーションにおいて、SNSは「無視できない存在」になっているのです。
では続いて、中国SNSにおいて特に注目すべきトレンドを、それぞれ詳しく解説していきます。
中国SNSトレンド1. SNSの検索エンジン化
中国の検索エンジンといえばBaidu(百度)やSogou(搜狗搜索)が有名ですが、近年はSNSを検索エンジンがわりに使うユーザーが増えています。
その理由は、検索エンジンで調べた検索結果に、SNSの投稿が出てくることが多くなったため。普段から使い慣れているSNSプラットフォームを使って、欲しい情報を探す方が使い勝手がいいと感じるユーザーが多いようです。
実際、熊も複数のSNSプラットフォームを検索エンジンのように利用しているとのこと。
例えば、芸能ニュースなどは中国版Twitter(X)と言われる「Weibo(微博)」でチェックし、お気に入りのお店や施設の最新動向が知りたいときは「WeChat(微信)」の公式アカウントを確認。お店を探す際は「RED(小紅書)」で情報を検索して、そこに行きたくなったら「大衆点評」で口コミやクーポンの有無を確認します。クーポンは中国版TikTokの「Douyin(抖音)」にも多数あるので、他に利用できるクーポンがないかも確認するそうです。
また、熊が運用するREDアカウントの閲覧情報を分析すると、検索流入の割合が全体の72%を占めているといいます。直近で新規の投稿をしていないにも関わらず、過去の投稿へのいいねやブックマーク数が増加している傾向もみられるそうで、一度投稿した内容が「資産」として蓄積されることもわかります。
中国SNSトレンド2. ショート動画は引き続き主流コンテンツ
変化の激しいSNSトレンドのなかで、数年前から主流コンテンツとされてきたショート動画。中国SNSでは引き続き注目度の高いコンテンツとされ、ショート動画をメインに活動する日本在住インフルエンサーも多くいるそうです。
熊のアカウントでも夕日の絶景動画など、一本の動画で数万のいいねを獲得しているものも多いそうで、短期間で素早く拡散できる点がショート動画の特徴です。
一方、「ショート動画であればなんでもいい」というわけではもちろんなく、“バズるかどうか”については、コンテンツの内容次第。熊いわく、中国で比較的バズりやすいテーマとしては、グルメ系のコンテンツがおすすめとのことです。
中国SNSトレンド3. 「SNSのEC化」とライブ配信の流行
SNSの機能の進化により、ECと紐づけて、ユーザーが欲しい商品をすぐにSNSで購入できる発信スタイルが増加。また、従来のスタジオや屋内で収録するライブ配信だけでなく、「現地からのライブ配信」が大きなトレンドとなっています。
例えば、花を売るために花畑から配信をしたり、果物を売るために農園から配信をしたりと、実際の現地でのライブ配信が流行。他にも、個人が趣味で作った小物やアクセサリー、アートなどを販売する「趣味EC」の需要も高まっています。
中国SNSトレンド4. 「銀髪族(中高年齢層)」もSNSを使っている
北京や上海のような大都市で暮らし、経済力を持っている中高年齢層にも、訪日旅行経験者が一定数います。こうした層には何を用いてアプローチすればいいのでしょうか。
インターネットの普及により、SNSユーザーが拡大している中国。若者以外の人々も例外ではなく、2022年8月時点の50歳以上のインターネットユーザー月間アクティブ数は2.97億人にのぼるといいます。
「SNSは若者・現役世代のメディア」というイメージがありますが、中国の中高年齢層(=銀髪族)へのアプローチ策としても、SNSは有効なツールなのです。
中国SNSトレンド5. コンテンツ管理は厳しくなっている
中国はインターネットを含め、情報発信において政府の管理が非常に厳しい国です。GoogleやさまざまなSNSプラットフォームが中国国内で使えないのはこのためです。
国民の多くがSNSを使うようになり、「全民SNS時代」を迎えた中国では、当局の管理もさらに厳格化。政府が定めた“禁止ワード”を使ってしまうと、投稿が拡散されなかったり、写真や投稿そのものが表示されなかったりする場合があります。
そのためRED(小紅書)では禁止語句一覧が公表されており、ユーザーに禁止ワードを使わないように呼びかけています。また、禁止ワードやセンシティブワードを検索できる検索ツールも多数登場しているようです。
さらに中国SNSを運用する際には、禁止ワードに加え、社会的な事件や炎上などに対する素早い対応も必要です。コンテンツの内容が事件等と関わりがないかどうか、常にチェックすることも非常に重要だといえるでしょう。
中国SNSトレンド6. KOCプロモーションの力が増大
最後は中国SNSのプロモーションにおけるトレンドです。
従来のSNSプロモーションといえば、KOL(key opinion leader)と呼ばれるインフルエンサーを活用した施策が主流でした。しかし近年は、インフルエンサーよりも消費者の感覚に近いKOC(key opinion consumer)を活用したプロモーション施策の需要が大きくなっています。
KOLはその認知度の高さや影響力で、ユーザーの購買行動に直接影響を与えることができます。一方、KOCはフォロワー数や影響力はインフルエンサーほど大きくはありません。しかし、友人や近しいファンからの信頼は厚く、商品への安心感を与えやすいというメリットがあります。
また、インフルエンサーが紹介した商品などを購入する際にも、ユーザーは実際の使用感など「一般消費者に近い感覚の情報(口コミ)」を検索する傾向にあります。KOC発信の情報をSNS上に蓄積することで、より購買に繋げやすくするという効果も生まれます。
中国プロモーションのヒントが詰まったアーカイブ動画公開中
インターネットユーザーが増加し、国民の大半がSNSを利用するようになった中国。拡大する旅行需要を取り込むためにも、中国SNSの特徴を知り、トレンドに合わせた施策検討が必要です。
セミナー本編では、本記事で紹介した中国SNSの最新トレンド以外にも、中国の旅行需要に関する最近の動向や、SNSを活用したプロモーションのヒントなどを詳細に解説しています。
ここでしか聞けない情報ばかりですので、ぜひご視聴いただき、インバウンド対策のヒントをつかんでいただけたらと思います。
→ アーカイブ動画はこちら:中国SNS&訪日プロモーションのプロに聞く!日本のインバウンド事業者が知らない「中国現地の最新旅行トレンド」
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