消費税免税制度が拡充されたことで、新たに食品類、飲料類、薬品類、化粧品類などを含む消耗品も免税の対象になっています。加えて以前であれば免税対象になる金額も引き下がりました。こうした背景から訪日外国人観光客の飲料類の購入額も伸びています。
日本政策投資銀行のデータによると、訪日外国人観光客の飲料類に対する支出が増えています。飲料類メーカーの間で訪日外国人観光客はこれから格好のターゲットとなってくるかもしれません。こうした状況の中、大手飲料メーカーこれまでにどのようなインバウンド対策に取り組んできたのでしょうか。
以前ご紹介した記事「飲料メーカーのインバウンド対策とは?大手企業の訪日外国人観光客集客術を紹介」から、大手飲料メーカー「サントリーホールディングス株式会社」のインバウンド対策に関してご紹介します。
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【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
小売店・飲食店と提携:訪日外国人観光客送客が目的
サントリーの関連企業である「サントリー酒類株式会社」は、2016年9月19日から飲食店や小売店と提携して、訪日外国人観光客を相互に送客するための仕組みの構築を開始しています。
具体的な仕組みとしては、
- サントリーの酒類を扱う飲食店情報が掲載されたパンフレットを小売店で配布。
- 訪日外国人観光客が小売店での買い物後にその飲食店に訪れる。
というもの。
始めに大阪市と福岡市内の「ドン・キホーテ」2店舗と、その周辺の飲食店で、この取り組みを開始します。専用パンフレットは、ドン・キホーテの店舗やホテルなどに6万部用意され、買い物後や宿泊後に訪日外国人観光客にサントリー酒類を扱う飲食店への訪問を促します。
また、飲食店でサントリーのビールなどを飲んだ後に、ドン・キホーテの店舗を訪れて3,000円以上の買い物をした訪日外国人観光客に賞品もプレゼントするとのこと。
このように、サントリーでは「飲食」と「購買」を結び付けることで、訪日外国人観光客にサントリー酒類の消費喚起を行います。
タクシー大手「日本交通」と提携し「茶屋タクシー」を導入:「日本らしさ」を武器に訪日外国人観光客におもてなし

サントリーの関連企業である「サントリー食品インターナショナル」は、大手タクシー会社「日本交通株式会社」と提携し、「伊右衛門 おもてなしタクシー」を導入しました。2016年7月5日から同年8月4日まで、都内23区・武蔵野市・三鷹市で運行が行われました。
このタクシーは、サントリーの茶飲料「伊右衛門」と京都の茶屋をマッチングさせたようなイメージが売りです。車内は、のれんや風鈴、特注の座席シートカバーが設置してあり、「涼」を体感することのできる仕様になっています。
また、「夏の伊右衛門500ml」や限定グッズがプレゼントとして訪日外国人観光客に無料配布されます。
増加傾向にある訪日外国人観光客に、「おもてなしの心」を満喫してもらい、サントリーの知名度向上を促すことが「伊右衛門 おもてなしタクシー」導入の理由です。
Facebook上で800件のいいね&TripAdvisorでも高評価を獲得:山崎蒸溜所が訪日外国人観光客に人気
サントリースピリッツ株式会社が運営する「サントリー山崎蒸溜所」。日本、訪日外国人観光客の来場者ともに、主に山崎ブランドや、サントリーのウイスキーづくりに強く興味、関心を持っていることが多く、それらの来場者向けに日本最高クラスのウイスキーテイスティングを含めた工場ツアー、各種イベントを行っています。
下記の記事でも取り上げたようにサントリー山崎蒸溜所は訪日外国人観光客の人気スポットとなっています。
観光口コミサイト「TripAdvisor」でも多くの訪日外国人観光客のレビューとともに高い評価を受けています。さらに同サイト発表の「行ってよかった!工場見学&社会科見学ランキング2016」でも上位にランクインしています。
また、Facebook上では、約6,000人の訪問とともに874件のいいねを獲得しています。世界各国出身の訪日外国人観光客から100件以上のコメントが見られ、平均で4.8/5の評価を受けています。
これらの訪日外国人観光客による人気をうけ、より快適に見学できるよう、パンフレットの多言語化(英語・中国語)や、製造工程見学のオーディオガイド整備(英語・フランス語・中国語)などを行っています。
蒸溜所を訪れる全ての来場者に、山崎ブランドやサントリーウイスキーのファンになってもらえるよう、「Yamazaki」のブランド力を駆使しサントリーの訪日外国人観光客への知名度向上を狙っています。
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まとめ:サントリーでは「訪日外国人観光客送客システムの構築」と「ブランド力向上」に分けたインバウンド対策を実施
サントリーでは、インバウンド対策の一部として
- 小売店・飲食店と提携することによる訪日外国人観光客送客システムの構築
- 「おもてなしタクシー」の導入や「サントリー山崎蒸溜所」運営による「ブランド力向上」
の2つに取り組んでいます。
多くの訪日外国人観光客が、日本に来る前に期待していたこととして「ショッピング」と回答する傾向にあります。そのため、飲料・飲食業界に限らずさまざまな業界において、各社の提供するサービスや商品を「購買行動」と結び付けることでインバウンド収益につながる可能性があります。
また、中長期的に見た場合、「ブランド力向上」による海外での知名度の上昇は多くを意味します。一見、すぐに訪日外国人観光客の消費行動につながるように見えづらいこうしたプロモーションも、将来的なインバウンド収益の増大につながります。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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