中国では驚異的な速さで電子マネーが普及しています。その中でもAlipay(支付宝)とWeChat Pay(微信支付)という2つの電子決済サービスが市場争いを繰り広げています。
ネット通販から始まった決済サービスが実店舗へも広がり、取引額はおよそ日本の30倍以上。今回は、現在中国で支払いのスタンダードとなりつつある電子決済サービスについてご紹介します。
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中国の電子決済サービスは取引額153兆円、約日本の30倍
調査会社の比達咨詢によると、2015年の中国のモバイル決済の取引額は約9.3兆元(約153兆円)に及ぶとのこと。かたや日本は5兆円程度の規模とされており、およそ30倍の規模があります。
英フィナンシャル・タイムズによれば、98.3%人が過去3ヶ月以内にモバイル決済を利用したことがあると回答したとのこと。電子決済サービスがいかに中国で浸透しているかを伺い知ることができます。
シェアはAlipay(支付宝)とWeChat Pay(微信支付)がほぼ独占状態
また、153兆円のシェアを見てみると、アリババ社が提供するAlipay(支付宝)が7割強、WeChat Pay(微信支付)を提供するテンセント社系列の決済サービスが2割弱を占めており、この2社でほぼ独占状態となっています。
Alipay(支付宝)とWeChat Pay(微信支付)
それでは、Alipay(支付宝)とWeChat Pay(微信支付)について詳しく見ていきましょう。
Alipay(支付宝)とは
Alipay(支付宝/アリペイ)はインターネットショッピングモールの淘宝網(タオバオ)を運営する阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング)が提供している電子決済サービスです。
阿里巴巴自社のインターネット通販サイト以外でも利用可能で、支付宝(アリペイ)はインターネット上の標準的な決済手段のひとつになっており、利用登録者は約8億人にもなります。
WeChat Pay(微信支付)とは
WeChat Pay(微信支付/ウィーチャットペイメント)はWeChat(微信/ウィーチャット)が提供する電子決済サービスです。
WeChatは中国版LINE(ライン)とも言われており、騰訊控股(テンセント)が運営しています。
WeChatはメッセージングサービスにおいて、中国国内で圧倒的な市場シェアをもっており、利用登録者は約6億人。
Alipay(支付宝)とWeChat Pay(微信支付)の利用方法はQRコードを活用
Alipay(支付宝)、WeChat Pay(微信支付)ともに、利用方法はほぼ同一です。実店舗で使う場合は、スマートフォンに専用アプリをインストール、銀行口座情報を登録して、支払い時にQRコードを読み込んで決済します。すると、登録しておいた銀行口座からリアルタイムで引き落としがなされるという、いわばデビットカードと同じような仕組みになっています。
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電子決済サービスの競争激化の原因はクレジットカードの低普及率?
中国で電子決済サービスの競争が激しくなる理由は、中国ではクレジットカード利用が限られていることにあります。クレジット(信用)を担保する情報が少なく、また信用情報を共有するインフラが整っていないことが普及阻害の原因とも言われています。
かたやモバイル決済は、数億もの個人や企業がスマートフォン経由での決済を利用しています。そのため、先述の153兆円の決済額を賭けてシェア競争が激化する、という図式ができています。
中国での電子決済利用率は現金を凌ぐ
英フィナンシャル・タイムズが1000人の中国人消費者に決済方法についてアンケートを実施しました。その結果によれば、98.3%の人が過去3ヶ月以内にモバイル決済を利用したことがあり、その比率は住まいや年齢、所得にほとんど関係が無かったとのこと。
また、最もよく使う決済システムを複数回答で調査したところ、Alipay(支付宝)が79.5%で、クレジットカード(49%)やデビットカード(30%)、さらに現金(79%)をも上回りました。また、同質問では26%の人がWeChat Pay(微信支付)を最も利用すると答えました。
まとめ:中国人の決済方法のスタンダードとなっている電子決済サービス。
このように中国では電子決済サービスの普及率が非常に高い傾向にあります。この傾向は今後も続く見通しで、もちろん訪日中国人観光客も電子決済サービス利用率は高いとみられます。
またAlipay(支付宝)やWeChat Pay(微信支付)は、すでに日本にも代理店が出てきており、特に小売業などでは、訪日中国人観光客向けに対応は必要になってくるのではないでしょうか。また銀聯カードも電子決済サービス市場に殴りこみをしてきたので、今後注視していく必要がありそうです。
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