キャッシュレス決済先進国中国、二大アプリ「Alipay」「WeChat Pay」のシェアは?最新2019年Q2レポートを紹介

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こんにちは、クロスシー編集部です。

キャッシュレス決済」先進国といわれる中国では、AlipayWeChat Payの二大サービスが普及しています。日本の店舗でもインバウンドの需要取り込みを狙い、こうした決済に対応する動きが出ています。PayPayのQRコードはAlipayで、LINE PayのQRコードはWeChat Payで利用できるようになり、店舗側の対応のハードルも下がったと言えるでしょう。

また今月上旬には、これまで中国の銀行口座やクレジットカードがなければ原則チャージや利用ができなかったAlipayWeChat Payが外国人にも利用しやすくなることが相次いで発表されました。ミニアプリの提供や、中国国外のクレジットカードとの連携により利用が可能となります。

今回は、それぞれの特徴や2019年第2四半期における市場シェアについて解説します。

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AlipayとWeChat Payの違いは?

Alipayは中国語名称を「支付宝」(ジーフーバオ)といいます。ECモール「Taobao」や「Tmall」で知られるアリババグループのアントフィナンシャルが運営しています。青い「支」のアイコンが目印です。2004年の12月にサービス提供を開始し、今年の1月にユーザー数が10億を突破したことを発表しています。

WeChatは中国版LINEと呼ばれるメッセージングアプリで、昨年ユーザー数が10億を超えました。WeChatの支払い機能「WeChat Pay」(微信支付)支払い機能はAlipayよりも早い2013年の夏に開始しています。

Alipayの支払以外の機能

実際の支払いにおいては、Alipayにチャージされている金額内での決済ができるだけでなく、Alipayに紐づけた銀行口座やクレジットカードでの決済も可能です。

もともとAlipayは「タオバオ傘下の決済サービス」という形でユーザーに決済機能を提供していました。スマホの普及や経済成長に伴い、Alipayアプリも広く使われるようになっています。またその利用シーンはアリババの提供するサービスだけにとどまりません。

またAlipayには現在、信用スコアの「芝麻クレジット」や、剰余金で小口の投資ができる「余額宝」(Yuebao)、飲食店やレジャー施設の口コミの検索ができる「口碑」(Koubei)といった機能もあります。

この他、アプリの起動後のページには様々なメニューが並んでいます。配車アプリや水道光熱費の支払い、公共交通機関や海外での配車、さらには保険、映画情報とチケット、宿泊施設の検索と予約、シェアサイクル等、生活に必要な多岐にわたるサービスが、このアプリ一つで提供されていることがわかります。

▲[アプリの起動ページ、英語版]:筆者スクリーンショット
▲[アプリの起動ページ、英語版]

またアプリ内で起動するミニプログラムや、WeChatの「公式アカウント」のような「生活号」が存在し、WeChatのようにアプリの中で多様な機能が利用できるようになっています。

▲[Alipayユーザーに情報を届ける生活号]:筆者スクリーンショット
▲[Alipayユーザーに情報を届ける生活号]


WeChat Payにも、ほとんど同様の機能が備わっています。どちら一方を使うだけでも、中国での生活に不便はないでしょう。中国のお祝いごとでよく見られる恋人や親戚への「送金」機能も、どちらも同様に利用することができます。実際には両方のアプリを使うユーザーが大多数となっています。

ただし、一日の利用限度額には多少の差があるようです。Q&Aサイトのあるやり取りでは、Alipayは年20万元が上限で、5,000元以上の支払いは銀行口座から直接引き落としの形でしか利用できないとされています。

WeChat Payのユーザー数は8億、Alipayとの共通点は「ユーザーの囲い込み」

WeChat Payのユーザー数は、WeChatと一致するわけではありませんが、2017年末の時点で8億ユーザーを超えたとの情報もあります。

WeChat PayがAlipayと大きく異なる点は、もともとチャット機能やSNS機能でユーザーに支持されていたサービスWeChatに付帯した機能だという点でしょう。ユーザーのアプリ立ち上げの動機が異なるため、WeChatの方が公式アカウントで情報を届けやすいという可能性もあります。また、コミュニケーションの過程で送金に利用されることもあると考えられるでしょう。

AlipayWeChat Payの両方とも、幅広い領域のサービスと提携しており、アプリの中で直接利用できるのが特徴です。それぞれが提供するアプリを起点としたユーザーの囲い込みを実現しています。どちらも傘下のECサービスがメニューにあることも特徴です。

AlipayWeChat Pay、どちらがよく使われているのか?

中国のリサーチ機関iResearchが10月15日に発表した「2019年第2四半期中国第三者決済データ」によれば、2019年4月~6月のモバイルペイメント(スマホ決済)の市場規模は55兆元(約858兆円)、前年同期比22%増となりました。その増加スピードは徐々に減速しています。

※1元=15.6円で計算、以下全て同じ

▲[四半期ごとの取引額と成長率]:iResearchレポートより
▲[四半期ごとの取引額と成長率]:iResearchレポートより

このレポートによれば、モバイルペイメントの各ブランドごとの取引額シェアは以下の通りです。

▲[2019年第二四半期におけるモバイルペイメントのブランド別シェア]:iResearchレポートより
▲[2019年第2四半期におけるモバイルペイメントのブランド別シェア]:iResearchレポートより

Alipayが54.2%で市場1位、続くWeChat Payを含む财付通(財付通)が39.5%で市場2位となっており、この2者で市場のほとんどを占めていることがわかります。财付通(財付通)はWeChatを運営するテンセントが展開する、第三者決済プラットフォームの名称です。

この他にも複数のブランドが存在しこれらによる支払いを受け付ける小売店なども少なくありませんが、シェアを見ればわかる通り、中国での生活にはAlipayWeChat Payがあれば事足りるというのが現状となっているようです。支払いを軸とした多領域へのサービス展開で、ユーザーの囲い込みに成功していることから、AlipayWeChat Payの二強時代は少なくともしばらくは続くと見られます。

中国でのその他のモバイルペイメント(スマホ決済)にはどんな特徴があるか

中国平安が提供する「壹钱包」、ECサイトの京東が提供する「京东支付」が3、4位に続きますが、モバイルペイメント全体の取引額に占める割合はそれぞれ1.5%、0.8%とかなり限定的です。それ以下のブランドのシェアも、全て1%未満です。

ただし、それぞれのサービスには強みとする領域があり、こうした部分から将来的にAlipayWeChat Payの踏み込めない市場を形成し、モバイル決済を利用した事業を成長させる可能性もあるでしょう。

壹钱包は保険会社の中国平安グループのサービスとあり、理財商品や保険商品、旅行商品の充実が特徴です。また京东支付はオフラインでの市場拡大スピードが速いことがレポートでは述べられています。

今回市場5位となった「联动优势」は企業間取引でのシェアを拡大しており、サプライチェーンファイナンスの総合的サービスを提供しています。結果としてじわじわとシェアを伸ばしているようです。

まとめ:利便性だけでなく「データ活用」が肝のスマホ決済

最新の2019年第2四半期のデータでは、中国のモバイルペイメント(スマホ決済)におけるAlipayWeChat Payの圧倒的シェアが確認できました。

都市部の無人レジでは現金を受け付けずに、機器のQRコードからAlipayあるいはWeChatのミニプログラムを起動させて、アプリ内からの支払いを求める店舗もあります。中国では、スマホ決済を利用していない人はいない前提で設計される店舗すらあるということでしょう。また、WeChatと連携することによる顔認証決済もスタートしています。

モバイルペイメントは、ユーザーの利便性や人員の削減といったコストカットができるだけでなく、ユーザーのデータが収集できる点も注目に値します。CRM(顧客関係管理システム)を構築したうえで、ユーザーの趣味嗜好に合わせより関心とマッチする商品のレコメンドすること等が可能となります。

インバウンドの領域においても、こうしたデータの活用が重要です。まずは、WeChatの公式アカウントや広告によるユーザーの興味喚起、来店の動機づけなどからスタートするのも一手と言えるでしょう。

<参照>

https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2019/2859

http://www.199it.com/archives/950945.html

https://zhidao.baidu.com/question/1372741469108807539.html


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この記事の筆者

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株式会社クロスシー

株式会社クロスシー編集部。中国語圏向けに日本情報の提供をするインターネットメディア運営・レップ事業を展開すると共に、訪日観光客向けのマーケティング・ソリューションを提供しています。日本の観光立国を実現すべく、メインターゲットとなる中華圏への観光情報、サービス、商品について、日中間の情報格差を埋め、観光客にとって最高の日本体験の提供を目指しています。

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