国土交通省が、国際空港の「入国エリア」(航空機が到着し、入国審査に入るまでに利用する場所のこと)に免税店を設置する方針だと各種メディアが報じています。2017年度の税制改正要望に盛り込まれるとされており、そう遠くないうちに実現するのではないでしょうか。
ところで、国際空港の免税店が入国エリアに設置すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。また、このようなことをする狙いはいったい何なのでしょうか? 新たな取り組みの未来を探ってみましょう。
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国際空港の「出国エリア」にしか設置されていなかった免税店
そもそも免税店にはタックスフリー(tax free)、デューティーフリー(duty free)の2種類があります。日本語では「免税」という大きな概念でまとめられることが多いのですが、、それぞれ「タックス(tax)=税金」「デューティー(duty)=関税」がかからないという意味の違いがあります。明確に区分したい場合、前者は消費税免税店、後者は保税免税店と表現されます。なお、詳しい内容はこちらの記事で取り上げているので、ご確認ください。
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国際空港に出店している免税店は、後者に該当するデューティーフリー(duty free)の保税免税店。「空港型免税店」「空港免税店」と呼ばれることがありますが、実際には外航クルーズ船が寄港する海港にも存在します。
なぜ、保税免税店では税金がかからないのでしょうか。それは出国手続きをしてから入国手続きをするまでのあいだ、人はどこの国も所属していない状態になるためです。税金は国家が課すものですから、このような特殊な状況下では消費税だけでなく、酒税やたばこ税もかけることができないというわけですね。
日本では、これまでにも国際空港の「出国エリア」に免税店が設けられていましたが、「入国エリア」には設置されていませんでした。これから日本から他の国に行こうとしている人は免税店が利用できる一方、日本に入国しようとしている人は利用できなかったのです。
「入国エリア」に免税店を設ける狙いとは:手ぶら観光サービスと組み合わせると、訪日外国人観光客にも使いやすい……?
このような改正を行う目的はいったい何なのでしょうか。
最も大きいと思われるのは、日本人旅行者の利便性の向上。「入国エリア」に免税店があれば、海外旅行から帰ってきて日本の空港に着いたとき、税金のかからない価格でお酒やたばこなどの商品が購入できるようになります。「海外旅行のおみやげ」とは言いがたいところですが、以前から欲しかった商品が安価に購入できるとなれば、財布のヒモが緩んでしまう人も多いと思われます。
反対に訪日外国人観光客の場合はどうでしょうか。「入国エリア」を利用するのは日本旅行を始める最初のステップにあたり、観光を楽しむ前から荷物を増やしてしまうことになります。初めから買物を目的にしている訪日外国人観光客ならともかく、「出国エリア」ですることを選ぶ人のほうが多いのではないでしょうか。
実際、海外にも「入国エリア」に免税店を設置している国際空港は存在するのですが、「出国エリア」にくらべて商品が充実してない、自国民向けの商品が多いというのが実情だと言われています。国を問わず、旅行早々におみやげを買おうと思う人は少ないものでしょう。
訪日外国人観光客に積極的に利用してもらいたいということであれば、近年、推進されている手ぶら観光サービスなどが組み合わせて導入されるのではないでしょうか。手ぶら観光とは、荷物を一時的に預けたり、ホテルなどの目的地に配送してもらったりすることで、旅行者の荷物を減らす取り組みのことです。詳細はこちらの記事で、ご確認ください。
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たとえば、「入国エリア」で購入した商品を帰国時に立ち寄る国際空港の「出国エリア」で受け取れる、飛行機から荷物を受け取る際に渡されるなどの仕組みがあれば、利用しやすくなるはずです。
「入国エリア」の免税店設置についてはマスコミが報じたばかりで、詳細についてはまだ明らかになっていませんが、民間との協力なども含め、今後の取り組みが注目されます。
まとめ:「入国エリア」でもインバウンド需要が獲得できるか
国交省が、国際空港の「入国エリア」に免税店を設ける方針を固めた、と各種メディアが報じています。実現すれば出国時のみならず、入国時にも免税店が利用できるようになります。海外には「入国エリア」に免税店を設置している国際空港が存在しますが、「出国エリア」と比べると品揃えが悪く、海外から帰ってきた自国民を対象とする傾向があります。
しかし、日本では現在、インバウンドビジネスが活況であり対応が進んでいることを考えると、訪日外国人観光客が利用しやすい仕組みづくりが行われると考えてもおかしくはないでしょう。手ぶら観光サービスなどとの組み合わせがあれば、効果をあげる可能性があると思われます。
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