格安航空会社(LCC)の普及や、中国や東南アジア諸国などを対象にしたビザの条件緩和、また円安が進んだことなどを理由に、訪日外国人観光客の数が増え続けています。国内では、この流れに乗じて訪日外国人観光客を顧客ターゲットとするさまざまなインバウンド事業が始まっています。
なかでも訪日外国人観光客の出身国のなかでもっとも大きな比重を占めるのは訪日中国人観光客。観光庁によりリリースされた「訪日外国人消費動向調査」でも、訪日中国人観光客による消費額がもっとも大きいという結果になっています。
訪日中国人観光客は、国内のインバウンド誘致を検討している事業者、店舗にとって魅力的なターゲットになっています。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
40万人以上が利用する訪日中国人観光客向けアプリ「GoJapan(去日本)」:ショッピング、グルメ、観光、宿泊施設情報などを提供
「GoJapan(去日本)」(以下、GoJapan)は、2015年10月に正式リリースした、訪日中国人観光客向けにグルメ、ショッピング、観光、宿泊施設などの情報を提供するアプリです。
日本国内にある店舗やインバウンド誘致を検討している事業者が、アプリに情報を登録することで、効率的な訪日中国人観光客の集客が可能になります。
訪日中国人観光客は、旅行前にインターネットを通じ情報収集を行う傾向があるにもかかわらず、日本国内には訪日中国人観光客のニーズにマッチする旅行メディアが存在していないことが、開発の背景になったとのこと。
旅行前、旅行中、旅行後それぞれに特化したサービスを提供:国内の店舗にとって訪日中国人観光客にあらゆる角度からアプローチが可能に
GoJapanのアプリ内では、訪日中国人観光客のニーズに合った情報をわかりやすく提供し、訪日旅行を楽しんでもらうため、「旅行前」「旅行中」「旅行後」にわけて情報を掲載しています。
旅行前は、目的地の情報検索、過去の旅行記や特集コンテンツの閲覧が可能になっています。旅行中は主に周辺検索、乗換案内、翻訳機能、グルメやショッピングなどの検索、クーポン、レビュー、画像投稿など訪日中国人観光客に向けた現地サポートを実施。訪日後は、店舗のレビュー、SNSの情報シェアを通じて情報の共有を行います。
また、越境EC機能を搭載することにより、中国人に消費喚起を図ります。
中国版App Store日本関連アプリ第1位、これまでに40万のダウンロードを達成
これまでにGoJapanは、40万のダウンロードを達成。中国版App Storeで「日本」と検索をかけた場合にトップで表示され、月間65,000人のアクティブユーザー記録しています。
また、中国人の愛用するスマホSNSアプリ「WeChat」上のGoJapanオフィシャルページを活用し、国内店舗の商品・サービスのプロモーションも行うことができます。
これにより、訪日中国人観光客だけではなく、中国現地の潜在的消費者である約5,000万人もターゲットにすることができるとのこと。
このように、訪日中国人観光客に新たな形からアプローチをしているGoJapan。最近では、先ほど紹介した越境EC機能を強化するため、他社との提携を発表しています。
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中国越境ECプラットフォーム「豌豆公主(ワンドウ)」と提携
GoJapanを運営する「株式会社ゴージャパン」は、越境EC(*)プラットフォーム「豌豆公主」(以下、ワンドウ)を運営するInagora株式会社と提携を発表しています。
ワンドウは、花畑牧場や源 吉兆庵、HACCI等と中国における独占代理権を有している越境ECプラットフォーム。2015年8月のリリース以来、ユーザー数は約100万、取扱商品数は3000を超えています。
ファッションや美容化粧品から日用品、食品など多岐にわたったジャンルの商品を取りそろえています。
*越境EC:ECとは”Electronic Commerce”の略で、インターネット通販サイトを通じた国際的な電子商取引を指す。
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「GoJapan」を通じてユーザーはワンドウで取り扱うすべての商品を購入することが可能に
今回の「GoJapan」と「ワンドウ」の業務提携により、GoJapan利用ユーザーはワンドウで扱われている商品すべての購入が可能になります。また、訪日旅行後の訪日中国人観光客にもワンドウを通じたショッピングが実現します。
GoJapanを活用することにより、訪日時にとどまらず、訪日前後にも各店舗、インバウンド事業者は訪日中国人観光客にアプローチすることができます。
まとめ:訪日中国人観光客集客には「GoJapan」導入の検討を:訪日前後のインバウンド収益の確保も実現
訪日中国人観光客の増加から、日本国内には多くの訪日中国人観光客集客を検討している店舗、事業者がいることが予測されます。
近年では、「爆買い」と呼ばれる大量消費行動は落ち着きを見せ、訪日中国人観光客の中では、日本でしかできない体験や、さほど知名度はなくともクオリティーの高い商品が人気を集めはじめています。
中国人はインターネットリテラシーが比較的高いため、規模の小さい店舗でも、「GoJapan」のような訪日中国人観光客向けインバウンドアプリを積極的に活用することにより、訪日中国人観光客の集客の実現が可能になります。
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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