釜石市、民泊サービスAirbnbと提携しインバウンド誘致:震災復興にAirbnb活用は起爆剤となるか

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格安航空会社LCC)の普及や、中国東南アジア諸国などを対象にしたビザの条件緩和、また円安が進んだことなどを理由に、訪日外国人観光客の数が増え続けています。

また、2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックなど、世界的なスポーツ大会が日本で開催されることも加味すると、これからも訪日外国人観光客数は増えていくことが予測され、インバウンド受け入れ環境の整備は急務であるといえます。

このような流れから、3年後のラグビーワールドカップの試合会場地である岩手県釜石市では、宿泊施設民宿を貸し出す人向けのウェブサイトである「Airbnb」(エアビーアンドビー)と提携。インバウンド受け入れに向けて、新たな試みを開始します。

 


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ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。

Airbnbとは全世界191か国に200万物件を誇る「民泊サービス」

airbnbロゴ:airbnbより引用

airbnbロゴ:airbnbより引用

Airbnb(エアビーアンドビー)は2008年にアメリカのカリフォルニアで生まれた企業。Airbnbでは、2015年11月時点で全世界191カ国、3万4000都市に200万物件を誇る民泊サービスを提供しています。

Airbnbを通じて、宿泊場所を探している個人が、空き部屋を所有するオーナーと連絡を取り、金額や期間などの交渉が完了することにより、その空き部屋を宿泊施設として利用することができます。

ホテルなど一般の宿泊施設を借りるよりもAirbnbを使えば、比較的安く金額を抑えることができます。また、「民泊」であるためホテル宿泊時などと違った体験ができます。

岩手県釜石市では、上記でご紹介した民泊サービスAirbnbと提携して、訪日外国人観光客の同市への観光を促進します。

10分で理解する民泊サービス その実態とは?背景や法的要件、課題などを解説

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釜石市とAirbnbが提携:インバウンド誘致に本腰

釜石市長 野田武則さんとAirbnb共同創設者兼CPOジョー・ゲビアさん:Airbnb Japanプレスリリースより引用

釜石市長 野田武則さんとAirbnb共同創設者兼CPOジョー・ゲビアさん:Airbnb Japanプレスリリースより引用

2016年10月20日、Airbnb Japan(以下、Airbnb)は岩手県釜石市との提携を発表しました。

岩手県釜石市は、2019年ラグビーワールドカップの試合会場地として、日本国内の12都市の1つに選ばれています。多くの訪日外国人観光客の訪問が期待できることから、Airbnbと提携。訪日外国人観光客誘致による地域活性化が目的です。

釜石市の「観光振興」「Airbnb普及」で提携:地域防災計画の支援も実施

提携内容として、

  1. 民泊(ホームシェアリング)の推進に加え、釜石市の観光振興を促進
  2. 釜石市の観光資材を活かしたマーケティング・キャンペーンの実施
  3. 2019年のラグビーワールドカップなど大きなイベント開催時の来訪客に対応するために、釜石市内の人々にAirbnbなど新サービスへの適応を促進
  4. 災害時などに利用する非常用宿泊施設として、Airbnbを活用する地域災害対応プログラムを策定。釜石市の地域防災計画を支援
  5. ソーシャルメディアなどを通じて、Airbnbと岩手県釜石市の取り組みの認知度を向上

が実施されます。

岩手県釜石市と世界的民泊サービスであるAirbnbの提携。この背景には何があるのでしょうか?

 

提携メリットは「震災復興」と「インバウンド市場としての魅力」:前年比5倍の訪日外国人観光客の利用するAirbnb

岩手県沿岸部における観光客入込数の推移:国土交通省より引用

岩手県沿岸部における観光客入込数の推移:国土交通省より引用

2011年3月11日に起こった東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県釜石市。震災後、観光客数の減少が続いています。

国土交通省による「東日本大震災に係る沿岸地域等の観光客入込数の推移(岩手県)」によると、岩手県釜石市の観光客数は、震災の起こった平成23年度の観光客数254,286人から、翌年は盛り返すも平成25年度は325,795人と再び減少しています。

ここから東日本大震災以降、岩手県釜石市では観光客の取り込みに苦戦していることがわかります。今回の提携は、こうした背景を踏まえ、世界的に利用者が多いAirbnbを市内に普及させていくことで、訪日外国人観光客の誘致を進めるという点にあることが予測できます。

また、Airbnbにとって日本は魅力的なマーケットになっていることも背景の一つとして挙げることができます。

日本では現在41,000の空き部屋がAirbnb上に登録されています。これは対前年比200%増の数です。また、2015年には前年と比較した場合、約5倍もの訪日外国人観光客が日本国内でAirbnbを利用しています。空き部屋と利用者の大幅な増加から、Airbnbにとって日本は現在、魅力的なインバウンド市場になっています。

岩手県釜石市としてはAirbnb震災復興のための解決策の1つとなり、Airbnbにとっても日本でのマーケットをさらに広げるために岩手県釜石市との提供は良い宣伝になります。両者の提携にはこうした背景があると予測できます。

 

まとめ:震災復興を目指したAirbnbとの提携:釜石市でインバウンド誘致促進の動き

東日本大震災で落ち込んだ観光客を取り戻すために、インバウンド誘致に目を付けた岩手県釜石市は、世界的に利用されているAirbnbとの提携を発表しています。

地域復興にAirbnbなど外国人の利用頻度の高いサービスを活用することでインバウンド誘致に繋げることが可能になります。

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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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