アパホテル「南京事件」否定本で中国SNSで炎上→中国サイトでネット予約不可に

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

アパホテルが客室に設置した「南京事件(南京大虐殺事件)」を否定する書籍をめぐり、中国国内で批判が相次いでいます。中国版Twitter微博(weibo/ウェイボー)」ユーザーが、先日15日に、アパホテル客室内に置いてあった同書籍を発見、批判的な投稿をしたところ、中国国内で「炎上」状態となっています。

<関連>

訪日中国人をターゲットにするなら必須知識!日中関係史からみる訪日中国人観光客の激増背景と最近の中国人の日本のイメージ

「日本に来てみたら印象がガラリと変わった。日本は素晴らしい。」といった中国人のコメントをメディアなどで見かける機会が多くなりました。もちろん、インバウンドが盛り上がるなか、その勢いに加勢する形での報道であることもあるでしょうが、やはり訪日中国人観光客数の激増によって「中国国内でイメージされる日本ではなく、自分が見た本当の日本の姿」を目の当たりにしたことが大きいのでしょう。今回は、何故中国人の日本への印象が変わりつつあるのかを、訪日中国人観光客数の推移、そしてその背景にある近年の日中関係から...

 

インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

アパホテル「南京事件(南京大虐殺事件)」「慰安婦問題」否定本で炎上

先日1月15日、アメリカ人・中国人と名乗る大学生男女2人が、中国のSNS「微博(weibo/ウェイボー)」に投稿した動画が、現在中国国内で急速に拡散されています。

アパホテルで問題となっている書籍「誇れる祖国 日本復活への提言Ⅳ 本当の日本の歴史『理論近現代史学Ⅱ』」:apa.co.jpより引用

アパホテルで問題となっている書籍「誇れる祖国 日本復活への提言Ⅳ 本当の日本の歴史『理論近現代史学Ⅱ』」:apa.co.jpより引用

動画は、大学生の2人が1月に、東京で宿泊したアパホテルの客室内にあった本「誇れる祖国 日本復活への提言Ⅳ 本当の日本の歴史『理論近現代史学Ⅱ』」を読んでショックを受けたというもの。

この書籍は、アパグループの元谷外志雄代表が「藤誠志」というペンネームで執筆したもので、日本語のほか英語で表記されたものも出版されています。書籍は、当時の現地の人口から鑑み、「南京事件(南京大虐殺)はあり得ないことだ」「被害者名簿は1人分も存在していない」として、南京事件(南京大虐殺)を否定する内容が記されています。

動画の投稿者は「自分のホテルに自分の本を置いてもよいし、何を信じてもよい」としつつ、「ここに泊まれば、彼の懐にお金が入る。事実を知って泊まるかどうか決めてほしい」と動画内でコメントしました。

 

動画の中国での反応は?

動画は18日までの3日間で再生回数9500万回を突破しており、中国国内で波紋が広がっています。

ネット上での反応

切り刻まれたアパカード:日テレ NEWS24より引用

切り刻まれたアパカード:日テレ NEWS24より引用

微博(weibo/ウェイボー)などのネット上では「アパホテルに宿泊すべきではない」「会員カードを切り刻み、友人に泊まるなと伝えた」との書き込みや、実際にアパホテルのカード(アパカード)を切った写真の投稿などが続いており、宿泊ボイコットが呼びかけられています。

メディアでの反応

APAホテルで実地調査をする新华网(新華網)記者:v.ifeng.com

APAホテルで実地調査をする新华网(新華網)記者:v.ifeng.com

これをうけて中国メディア新华网(新華網)では、アパホテルでの実地調査をし、中国の動画投稿サイト凤凰视频でその模様を投稿しています。動画は1月18日にアップロードされ1月20日現在で15万回再生されています。

政府の反応

中国外務省報道官の会見:日テレ NEWS24より引用

中国外務省報道官の会見:日テレ NEWS24より引用

また、中国外務省報道官も17日の会見で「一部の日本の勢力が歴史を正視せず 歴史を否定し 歪曲しようとしている」「日本政府は正しい歴史観を国民に教育し アジア隣国と国際社会の信頼を取り戻すことを促す」と批判のコメントを述べています。

ホテル予約サイトの反応

携程旅行網(シートリップ)ではアパホテルが予約できなくなっている:hotels.ctrip.comより引用

携程旅行網(シートリップ)ではアパホテルが予約できなくなっている:hotels.ctrip.comより引用

この騒動に対して、中国最大手の携程旅行網(シートリップ)などの複数のホテル予約サイトで予約ができなくなっています。実際に携程旅行網(シートリップ)で、目的地を「东京(東京)」、キーワードを「阿帕(アパホテル)」と検索しても「条件に一致するホテルを表示できない」とのエラーが表示されます。

日経新聞の取材によると、携程旅行網(シートリップ)の問い合わせ担当者は同日、「アパグループは反中国的な問題にかかわっており、(予約停止の)対応をとった」と説明しています。

 

まとめ:歴史的問題が残る国へのインバウンド対策では、センシティブな内容は触れないほうがベター

アパグループは今回の騒動に対し、「真実だと信じることを書いた」「客室からの撤去は考えていない」との姿勢を見せており、まだ波紋は広がりそうです。

元来、アパホテルは訪日中国人観光客からの人気の高いホテルでした。しかしながら、中国での旅行シーズン春節旧正月)間近での騒動であるだけに、アパグループの業績を心配する声が上がっています。

ネット発祥のインバウンド関連炎上案件で思い出されるのが「わさびテロ」事件です。

「わさびテロ」騒動はなぜ1ヶ月足らずで収束? 市場ずしに今なお来客が絶えない理由

訪日外国人観光客に対し、わさびを大量に入れた寿司を提供していたことから炎上した大阪府の市場ずし難波店。国内外のメディアで「人種差別ではないか」と報道され、物議を醸しました。一時は公式サイトに謝罪文が公開されるほどの騒ぎになりましたが、1ヶ月も経たないうちに事態が収束。現在は日本人客で賑わっているといいます。なぜ、このような急展開が起こったのでしょうか。背景を調べてみると、市場ずしに責任を押し付けることのできないインバウンドビジネスの難しさがあることが分かります。「わさびテロ」と呼ばれた騒動...

こちらの事件は、一瞬の盛り上がりに終わったように見えますが、今回のアパホテル問題については予約サイトが絡むだけあって、「旅マエ」からの集客ルートが遮断されているだけあって、かなりの痛手になりそうです。

最新インバウンドマーケティング!旅マエ・旅ナカ・旅アトとは?

先月末10月31日、インバウンド業界を盛り上げるニュースが発表されました。国土交通省は、今年1月からの累計訪日外国人観光客数が、10月30日に2000万人を超えたことを発表しました。このペースで行けば2016年は2500万人弱の訪日外国人観光客数を望め、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年に4000万人という目標に向けて着々と増加しつつあります。しかしながら、訪日中国人観光客の伸びが鈍化していたり、為替相場に影響され日本円ベースでの訪日外国人消費額の減少などが騒がれており、...

どのような決着に落ち着くかは注目が必要ですが、インバウンドビジネスにおいては、歴史問題に関わる話題については、触れないようにすることがベターだと言えるでしょう。

<参照>

【インバウンド情報まとめ 2024年11月後編】中国、タイの2025年祝日発表 ほか

訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、主に11月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。

中国、タイの2025年祝日発表 ほか:インバウンド情報まとめ【2024年11月後編】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに