「コト消費」によって多様化するインバウンドのニーズに対応するかのように、各地で”動物”を活用したインバウンドプロモーションが各地で繰り広げられています。トリップアドバイザーを見ても、動物と触れ合える観光地は、訪日外国人観光客からの人気・評価も高い傾向にあります。
コト消費とは? 訪日外国人の消費行動がサービスや体験に移行
目次コト消費とは「コト消費」はいつから使われ始めた?インバウンドでの「コト消費」の使われ方は?なぜ「コト消費」という言葉が注目され始めたのかコト消費とはインバウンドにおける「コト消費」とは、訪日外国人観光客が旅館やホテルなどでの宿泊、観光地やアクティビティーでの体験など、経験・体験に対して価値を見出す消費行動のことをいいます。インバウンド業界のみならず、一般のニュースにおいても、訪日中国人観光客の「爆買い」というキーワードが騒がせていましたが、為替相場が元安円高傾向にふれるにつれ、訪日中国...
都心部にはない体験をできるということもあって、インバウンドの地方誘致とも相性のよい、この「動物インバウンドプロモーション」の事例を見てみましょう。
【訪日ラボは、インバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を8月5日に開催します】
事例1:瀬戸内の小さな島 大久野島が「ウサギ島」として世界中で話題に
広島県の瀬戸内にある大久野島。ここにはおよそ700羽の野生のウサギが生息しており、そのウサギ達と触れ合う様子の動画がインターネット上で海外でも話題となり、訪日外国人観光客の訪問が急増しています。
また、ウサギと触れ合えるだけではなく、第2次世界対戦中には毒ガス工場が設置されたということで、歴史を学べる観光地としても大久野島は人気の観光地となっています。その悲惨な歴史とウサギの可愛さのギャップからか、英国のテレビ局BBCでも取り上げられています。
事例2:鹿せんべいで売上が3倍に!? 奈良県 奈良公園の鹿
日本人にはおなじみの奈良県の奈良公園の鹿。修学旅行などで鹿せんべいをあげた経験がある方も多いのではないでしょうか。この鹿せんべいをあげるという体験が、訪日外国人観光客に大受けで、トリップアドバイザーの口コミにおいても、英語の口コミ数が日本語の約2倍付いているほどの人気を博しています。
また、鹿せんべいを与えるだけでなく「お辞儀をするとお辞儀し返してくれる」という鹿の習性が、いかにも日本らしいとして、Youtubeなどで多数投稿され、海外で話題となっていることの人気の理由のようです。
こちらも、トリップアドバイザーやSNS、動画サイトなどでの写真や動画による口コミ拡散がきっかけの模様。この影響によるものか、近鉄の京都・大阪・奈良3都を結ぶインバウンド向け周遊券の売上が2015年度は、前年度比200%近くアップしました。
事例3:ユーザーインを大事にした和歌山県の「たま駅長」
以前訪日ラボでも取り上げたとおり、和歌山県は訪日香港人観光客から絶大な支持を集めています。その秘訣は「ユーザーイン」視点のプロモーション。「ユーザーイン」とは、『ユーザー(この場合では訪日外国人観光客)が、何を求めているのか?』を中心に考えるマーケティング手法です。
香港で「癒やしキャラ」が流行していたことを察知した和歌山県は、猫の駅長「たま駅長」を猛プッシュし香港人に人気のキャラとなり、訪日香港人観光客が「たま駅長」を一目見ようと殺到します。残念ながら「たま駅長」は2015年6月に永眠し、現在では「名誉永久駅長」の称号が与えられています。
事例4:雪をかぶって温泉に浸かる猿の姿が海外で話題に「地獄谷野猿公苑」
長野県の北部、上信越高原国立公園の志賀高原を源とする横湯川の渓谷に位置する「地獄谷野猿公苑」では噴泉、噴煙が湧き出ており、例年最低気温が-10℃を下回ることから、例年12月から3月の間に野生の猿が温泉に入る事で知られています。
英語ではSnow Monkey Mountain(スノーモンキーマウンテン)と呼ばれており、海外ではテレビで取り上げられたり、YouTube上で人気になっていたりと、訪日外国人観光客にも人気のスポットです。
<関連>
ただ翻訳するだけじゃダメ!?長野県公式観光サイト【さわやか信州旅.net】に見るホームページの外国語対応のやり方
全国の観光協会、観光地や旅館などの宿泊施設など、情報発信をしたいインバウンドビジネスにとってインバウンド対応の大きな課題の1つであるホームページの外国語対応(多言語対応)です。しかしながら、いきなり始めるにしても何をすれば良いのか、実際にはわからないという担当者の方が多いのが実情ではないでしょうか。今回は訪日外国人観光客に人気の高い観光地である長野県の公式観光サイト「さわやか信州旅.net」の外国語対応を例に見てみましょう。 目次長野県に訪れる訪日外国人観光客数長野で人気の観光名所長野県公...
事例5:”Let’s MOFUMOFU AKITA”秋田県の「秋田犬ツーリズム」
秋田県では、DMO「秋田犬ツーリズム」が2016年に誕生。「Akitainu」はGoogleでの検索件数も多い海外でも通用するキーワードとなっており、そのためDMOの名前に使われました。秋田犬は名前の通り秋田原産の日本犬であり、これを地域資源としてインバウンド集客のフックに活用する取り組みです。
秋田を始めとした東北地方は、外国人に刺さるキラーコンテンツに乏しいという現状があり、DMOとして地域連携すること、そしてオンラインを通じて「秋田犬」を売り出すことでインバウンド誘致を狙っています。
事例6:外国人フォロワー220万人を誇る世界一有名な犬「柴犬まる」
現在インバウンドマーケティングにおいて注目を集めるInstagram。そのメインコンテンツが写真であることから、言語の壁を乗り越えて海外にリーチすることが出来るとして、注目を集めています。そのInstagramの日本のアカウントでTOP5入りし、外国人フォロワーが8割以上のインバウンド向けインフルエンサーとして有力手と考えられるのが「柴犬まる」です。
これまで、米国TIME紙にTime誌の「最も影響力のある動物100」として選出された他、MICEによるインバウンド経済効果で話題を呼んだ伊勢志摩サミットに先駆け、国内外へのPRとして三重県の観光大使にも任命されました。
Instagramでのフォロワー数は約259万人、その内約85%が外国人、つまり約220万人の外国人に対してリーチできるインバウンドに最適なインフルエンサー”犬”です。
なお、訪日ラボでは現在、この「柴犬まる」のキャラクタールームをつくろうキャンペーンを独占で公募しています。ホテル・旅館などの宿泊施設に「柴犬まる」のキャラクタールームを作ることで、インバウンド集客をしようという取り組みです。
<詳細>
【ホテル・旅館様向けインバウンド対策】外国人フォロワー220万人 世界一影響力のある「柴犬まる」のキャラクタールームをつくろうキャンペーン
2016年は、訪日宿泊人数が7,088万人(推計値)となり、過去最高を記録しました。インバウンドにおける「宿泊」は、直近では「住宅宿泊事業法(民泊新法)」で注目を集めており、2020年の東京オリンピックに向けて、今後もインバウンド市場は更なる盛り上がりが期待されます。宿泊施設にとって、インバウンドを取り込むことは、 空室が出やすい平日を訪日外国人観光客の宿泊が埋めてくれる など、繁忙期と閑散期の穴埋めをする効果も期待できます。しかしながら、インバウンド対策として、接客や、言葉の問題、食事に...
まとめ:今後のインバウンドでは動物をキラーコンテンツとして活用する動きに注目
現在のインバウンド市場の「コト消費」化、そして日本の観光が抱える「地方誘致」という課題。この双方にマッチするコンテンツとして、「動物」を活用したプロモーションが続出しています。
今回紹介したいくつかは訪日外国人観光客の間で勝手に広まった、いわば”自然発生的プロモーション”のものもありますが、言い換えれば、動物は確実にインバウンドにも刺さるキラーコンテンツであるともいえます。
<参考>
- しまひと:うさぎと毒ガスの島 大久野島特集
- D2Cスマイル:グローバルインバウンドのその先―海外における有効なプロモーション設計
- 地獄谷野猿公苑
- 大館市:一般社団法人 秋田犬ツーリズム
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
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- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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