先日3月28日、日本の「観光立国」の実現に関する基本的な計画 「観光立国推進基本計画」の改定案が閣議決定 されました。「観光立国推進基本計画」とは、 「観光立国推進基本法」にもとづき、インバウンドを含めた日本の観光に関する基本的な方針・目標を定めたもの で、日本のインバウンドに関わる政策や取り組みの方向性を左右する重要なものとなります。
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観光立国推進基本計画改正案、閣議決定
先日3月28日、政府は「観光立国推進基本計画」の改正案を閣議決定しました。数値目標については、2016年に定められた「明日の日本を支える観光ビジョン」を引き継ぐ格好となっています。
さて、ここまでに登場した「観光立国推進基本法」「観光立国推進基本計画」「明日の日本を支える観光ビジョン」について、おさらいしましょう。
観光立国基本法>観光立国基本計画>明日の日本を支える観光ビジョン
観光立国基本法
現在の日本のインバウンドを含めた、 観光に関わる政策決定における土台となっている法律が「観光立国基本法」 です。1963年制定の「観光基本法」を全部改定する形で、2006年に閣議決定、2007年より施行されました。
同法は、観光立国実現のための基本理念を定めた法律です。この法律により、次の「観光立国推進基本計画」を定めることが決められています。
観光立国推進基本計画
前述の「観光立国推進基本法」にもとづき、 観光立国の実現に関する基本的な計画・目標を定めるものが「観光立国基本計画」 です。2007年に決定し、2012年に改定され、今回改定されました。
明日の日本を支える観光ビジョン
「明日の日本を支える観光ビジョン」は、サブタイトルが「世界が訪れたくなる日本へ」となっているように、昨今のインバウンド市場の急激な成長を踏まえ、観光政策に関する新たな施策・目標を取り決めています。
それぞれの法律・計画、および政府の観光関連団体の関係については、以下の記事で詳細に開設しています。
明日の日本を支える観光ビジョンとは?わかりにくい政府や観光庁の取り組みの構造をまとめました
政府は観光先進国への新たな国づくりに向け、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議を行い「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定しました。しかしその取り組みについてわかりづらくなっています。そこでこの記事では、政府の取り組みの全体像についてわかりやすく解説します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次観光立国に向けた政府の取り組み、団体などの相関図インバウンドに関わ...
観光立国推進基本計画改正案の内容とは
それでは、今回の「観光立国推進基本計画」の改正の内容とはどのようなものなのでしょうか。大きな変更点はインバウンドに関わる目標数値の変更で、「明日の日本を支える観光ビジョン」で定められた、 2020年までに訪日外客数4,000万人 などの数値を引き継ぐ格好となっています。
改正案からインバウンドに関わるものについてピックアップして解説しましょう。
インバウンドに関わる数値目標
インバウンドに関わる数値目標については、旧「観光立国推進基本計画」より目標を上方修正した「明日の日本を支える観光ビジョン」で定められた目標数値を引き継ぐ格好となっています。具体的には、
- 訪日外国人旅行者数
- 旧計画 1,800万人→4,000万人 (2016年時点実績 2,404万人)
- 訪日外国人旅行消費額
- 旧計画 3兆円→8兆円 (同 3.7兆円)
- 訪日外国人リピーター数
- 旧計画 1,000万人程度→2,400万人 (同 1,436万人)
- 訪日外国人旅行者の地方部における延べ宿泊者数
- 旧計画 2,400万人泊→7,000万人泊 (同 2,845万人泊)
- アジア主要国における国際会議の開催件数に占める割合
- 旧計画 5割以上増(1,111件以上)・アジア最大の開催国→3割以上・アジア最大の開催国 (同 26.1%・アジア最大)
といった数値目標が立てられました。なお、数値目標の達成期限は、旧「観光立国推進基本計画」では2016年(平成28年)で、改正「観光立国推進基本計画」では東京オリンピックの開催される2020年(平成32年)とされています。
ここから見えるのは、旧「観光立国基本計画」の 期限が切れた こと、また 旧目標が全て達成できた ということであり、そのため、どの指標においても およそ2.5倍の高い目標に上方修正 した上で、今回の改正「観光立国推進基本計画」が決定されていることがわかります。
最近のインバウンドトレンドを捉えた施策方針
また、数値以外においても、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策として様々な取り組みについて掲載されています。そのなかでも、最近のインバウンドトレンドをたら得た施策について紹介します。
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2020年までに世界水準DMOを100組織形成
国内外での観光先として選ばれるための魅力ある観光地域づくりとして、DMOを100組織形成するとしています。DMOとは、Destination Marketing Organization/Destination Management Organizationの略称で、「 目的地に関するマーケティングやマネジメントを行う組織 」という意味になります。
最近インバウンドで良く耳にするDMOって何?そもそもDMOとは何なのか、なぜ日本のインバウンドにもDMOが必要なのかを解説
インバウンドビジネスに関わる皆さんも、最近DMOという言葉を耳にする機会が多いのではないでしょうか?でも「そもそもDMOが何なのかわからない。」という方もいるかと思います。そんな方に向けてDMOとは何なのか?日本でのDMOについて解説していきます。目次DMOとは何か?DMOの目的インバウンドにおけるDMO:日本版DMOがなぜ必要なのか?インバウンドで日本版DMOが必要な理由その1:関係者の巻き込みが不十分インバウンドで日本版DMOが必要な理由その2:データの収集・分析が不十分インバウンドで...
魅力ある公的施設の公開・開放等
赤坂や京都の迎賓館について、接遇等に支障のない範囲で、通年での一般公開を実施し、観光の呼び水として活用するとしています。その他の公的施設などについても観光資源としての公開・開放を引き続き検討するとのこと。
訪日外国人は夜ヒマ?夜間のインバウンド需要を取り込め!迎賓館、桂離宮などが夜間公開へ
インバウンド需要を取り込むにあたって、「時間軸」を取り入れる動きが出てき始めています。通常の日本人相手のマーケティングと同様に、ターゲットがいつ・どのような動きをするのか、ということを考えるのはインバウンドにおいても重要味を帯びてきています。インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?調査・リサーチについてより詳しい資料のダウンロードはこちらインバウンドデータについてより詳しい資料のダウンロードはこちら目次訪日外国人観光客は夜ヒマ?各社・団体、夜...
古民家などを活用した取り組みを全国200地域で展開
地方の少子高齢化にともなって増加する古民家を、観光資源として活用しようという取り組みです。近年のインバウンドの消費傾向が「コト消費」にシフトしつつあること、そして日本の生活を体験したいというニーズへの対応、さらには地方活性化に結びつくとしてインバウンド業界でも注目を集めています。
古民家を使った旅館やレストランがオープンしやすく! 国交省、市街化調整区域の建造物を観光振興などに運用する方針
国土交通省は平成28年(2016年)12月27日、空き家になった古民家や住宅を地域資源と捉え、観光振興などを目的とした用途変更に柔軟に対応する方針を明らかにしました。類似の取り組みは各地で行なわれており、さらに活性化する可能性があります。 訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的な
農泊を全国500地域で展開
農泊とは、「農家民泊(農林漁業体験民宿)」ないし「農家民宿」の略称で、農業や林業、漁業などの体験や、それらを生業とする方々と一緒に生活をすることで、その普段の生活に触れることを目的とした体験型宿泊です。この農泊の推進により、農山漁村滞在型旅行をビジネスとして実施できる体制を持った地域を平成32年までに500地域創出するとしています。
【地方誘致】コト消費で期待が集まるグリーンツーリズム「農泊」 全国500地域での展開を政府後押しへ
2017〜2020年度が対象期間となる、政府の観光立国推進基本計画の改定素案が2日に判明しました。改定素案では、農業、林業、漁業などの体験型宿泊であるグリーンツーリズム「農泊」を、全国500地域でビジネスとして展開するというものです。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションについてより詳しい資料のダウンロードはこちらコト消費に対応!インバウンド動画プロモーションについてネット上の有名人を活用したインフルエンサープロモーションについてインバウ...
民泊サービスへの対応(民泊新法)
住宅やマンションの空き部屋を、主に訪日外国人観光客に有償で貸し出す「民泊」。宿泊施設不足の緩和、コト消費ニーズへの対応などから、急速に日本で普及してきていますが、治安、衛生、近隣トラブル等の課題がありました。これに対応すべく、必要な法整備、つまり民泊新法の制定に取り組んでいます。
解禁か?規制か?評価が分かれる民泊新法・改正旅館業法、閣議決定:年間180日まで営業可能に規制緩和の一方違法民泊には罰金100万円
政府は3月10日、「住宅宿泊事業法案(通称:民泊新法)」を閣議決定しました。民泊新法は、訪日外国人観光客などに有料で自宅の飽き部屋や、所有するマンションの1室を有料で貸し出す「民泊」サービスに対するルールを定めたものです。目次3月10日「民泊新法」、3月7日「改正旅館業法」閣議決定「民泊新法」では営業日数年間180日に「改正旅館業法」では違法民泊に対し罰金100万まとめ:民泊新法で民泊は「解禁」されたのか、それとも「規制」されたのか?3月10日「民泊新法」、3月7日「改正旅館業法」閣議決定...
解禁に向かう民泊、しかし自治体は独自規制を強化!?…何故自治体は民泊に消極的なのか、民泊のメリット・デメリットを比較しながら考察
先日3月10日、政府は民泊新法(正式名称:住宅宿泊事業法案)を閣議決定しました。同法案は、自役やマンションの空き部屋を旅行者(主に訪日外国人観光客)に有償で貸し出す「民泊」サービスに対し、ある意味で規制、またある意味で緩和をするルールです。主な内容は、緩和今まで民泊を適法に運営するには「旅館業法」の厳しいルールに則らねばならなかったのが、 各種手続き、申請をすることで簡単に民泊を営業できる ようになる規制民泊の 年間営業日数の上限が180日 になるといったもので、政府は早ければ来年2018...
民泊についてより詳しい資料のダウンロードはこちら
最先端技術を活用した革新的な出入国審査(CIQ)体制の実現
訪日外国人観光客などが入国に際し必要とされる手続きの総称をCIQといいます。CIQとは、税関(Customs)、出入国管理(Immigration)検疫(Quarantine)の総称で、インバウンドの最初の受け口であることから、訪日旅行の満足度向上のために、これらの手続きの効率化が課題となっています。
CIQとは
日本政府観光局(JNTO)によると、2019年の訪日外客数は3,188万人を記録し、その数は年々増加しています。訪日外国人観光客が急増する中で、国際空港や港での入国審査手続きのの整備が急務とされています。その出入国手続きの総称を「CIQ」といい、訪日外国人観光客が日本に来た時にはじめて受ける「おもてなし」とされています。この記事では、CIQの略称を詳しく説明するとともに、多省庁が関与するCIQ体制の強化について解説します。インバウンド受け入れ環境整備の資料を無料でダウンロードする「翻訳・多...
まとめ:政府がインバウンドに対してどのような取り組みをしているのかを把握しよう
このたび、日本の「観光立国」の実現に関する基本的な計画「観光立国推進基本計画」の改定案が閣議決定されました。改定案では、「明日の日本を支える観光ビジョン」の目標数値を引き継ぐ格好となっており、そのほか、近年のインバウンドトレンドを捉えた政策・取り組みについて掲載されています。
政府がどのようにインバウンドを成長させようとしているのかを知ることは、よりよいインバウンドビジネススキームの構築に役立つと言えます。そのため、個々のインバウンドビジネス事業者にとっても、これらの政策は他人事ではありません。
インバウンドに関する日本における時流を掴むべく、政府の動き・方針・政策についてもチェックをしていきましょう。
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<参考>
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