ホテルや旅館など一般的な宿泊施設を利用するよりも安価であることや、インターネットの普及、シェアリングエコノミー型サービスの流行などを理由に、世界的で旅行時に「民泊サービス」を活用する観光客が増えています。
2017年2月15日の米フォーチュン誌によると、民泊サービス最大手であるAirbnbは、2020年までに35億ドル(日本円でおよそ3500億円)の年間売上を達成する見込みとのこと。民泊市場が世界規模で見ても大きなマーケットになっていることが把握できます。
このような状況の中、Airbnbクローンサイトとも揶揄されるXiaozhu(小猪)(*)が本家の米Airbnbと東アジアの民泊事業で協業するという話が持ち上がっています。果たして真相はどうなっているのでしょうか?
*Xiaozhu(小猪):北京に拠点を置く民泊プラットフォーム。小猪は、中国語で「子豚」という意味
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
中国版AirbnbであるXiaozhu(小猪)が本家Airbnbと海外事業で提携?
2017年4月5日のCHINA DAILYは、中国で広く普及しているAirbnb型民泊サービス Xiaozhu(小猪)と米Airbnbが、主に日本と韓国を対象とする海外事業において提携する交渉に入っている と報じています。
Xiaozhu(小猪)のCEOであるChen Chi氏は、交渉は去年から始まっており、中国の民泊市場に関するデータベースやリソース提供に関して、提携が可能かどうか話し合っている最中だと述べています。しかし、交渉はまだ初期段階とのこと。
中国国内では、他のシェアリングエコノミーサービスとしてカーシェアリング事業において 中国版Uberである「Didi Chuxing」が、Uber本家と激しく競い合っています 。
しかし、 民泊事業においてXiaozhu(小猪)は、対立するのではなく、本家のAirbnbと提携することで事業を拡大していき、中国の民泊市場で最大のシェアを誇るTujia(途家)(*)に対抗していく構え です。
Airbnbと中国で広く普及している民泊サービスであるXiaozhu(小猪)が提携することで東アジアにおいて海外事業を拡大していけば、日本の民泊市場にもなんらかの影響がありそうです。Airbnbは、この報道に関してどのように反応しているのでしょうか?
*Tujia(途家):中国北京に本拠を置く中国人向けバケーションレンタルサイト。中国の民泊市場のシェアとしてはNO.1
Airbnb側はこの報道を否定?しかし、Aibiyingへの名称変更やスタッフの大幅な増員など中国では事業を拡大していく予定
米フォーチュン誌によると、 Airbnb代表のNick Papasは、この件に関して「話し合いは持たれていないし、この報道は嘘だ。」とロイター通信にメールで回答した とのこと。どうやら、2015年にXiaozhu(小猪)の買収を検討した経緯はありますが、AirbnbとXiaozhu(小猪)の間での提携に関する話し合いは、持たれていない模様です。
Xiaozhu(小猪)と提携することはまだ定かではありませんが、Airbnbは3月に
- Airbnb Chinaにおけるスタッフ数を3倍 にすること
- 中国でのブランド構築を目的に Airbnbから中国名Aibiyingに正式名称を変更
の2つを発表。いずれにしても中国へのビジネスには注力していく模様です。
日本の民泊事業者は中国の民泊市場動向は注目すべき!?最近ではTujia(途家)に物件をリスティングする日本人民泊オーナーも増加
今回ご紹介してきたような中国の民泊事情に関して、日本の民泊事業者も注目しておく必要があります。
観光庁から発表された平成29年1月分の宿泊旅行統計調査によると、2017年1月に日本に宿泊したインバウンド宿泊数は、延べ569万人泊でした。
その28.9%にあたる165万人泊が訪日中国人観光客にあたります。訪日外国人観光客の8人に1人が民泊サービスを活用して宿泊しているというデータも加味すると、最大のインバウンド市場である中国の民泊市場に精通していくことは重要なことです。
例えば、先ほど少し触れた中国において最大のシェアを誇る民泊サイトTujia(途家)は、AirbnbではなくHomeAwayの経営スタイルを取り入れています。
そのため、訪日中国人観光客にとっては、AirbnbよりHomeAwayの方が使い勝手が良いのかもしれません。また、Tujia(途家)に直接民泊物件をリスティングする日本人も増えています。
このように、最大のインバウンド市場である中国の民泊事情に着目することでビジネスチャンスも広がります。
まとめ:Xiaozhu(小猪)とAirbnbは提携しない模様 しかし中国の民泊事情を知ることでビジネスチャンスが広がる!
CHINA DAILYによると、中国版AirbnbであるXiaozhu(小猪)とAirbnbが海外事業において提携に向かっているとのことでしたが、Airbnb側はこの報道を否定。まだ、話は進んでいないようです。
しかし、仮にもしこれが現実となれば、日本の民泊市場にも何らかの影響が出ることが予測されます。インバウンド最主要国である中国の民泊事情に精通しておくことで、民泊ビジネスを通じた収益の最大化にもつながるでしょう。
<参考>
- FORTUNE:Airbnb’s Profits to Top $3 Billion by 2020
- FORTUNE:Airbnb Denies Report of Talks With Chinese Home-Sharing Service Xiaozhu(小猪)
- CHINA DAILY:Xiaozhu(小猪), Airbnb in collaboration talks
- THE BRIDGE:中国における、Airbnbクローンサイトの熾烈な戦い
- Forbes:China’s Home-Sharing Site Surpasses Airbnb
- 観光庁:宿泊旅行統計調査
訪日ラボ 最新版セミナー&インバウンド情報まとめ
訪日ラボおすすめの記事をご紹介します。
Google「飲食店・ホテルサミット」11/14開催!飲食・ホテルに特化した最新機能やここだけの情報を入手しよう
Google は 11 月 14 日、「飲食店・ホテルサミット」を東京・渋谷で開催します。オフライン・オンラインのハイブリッド開催で、参加費は無料です。
今、国内客・インバウンド客向けの集客手法として注目される「Google ビジネス プロフィール」を中心に、飲食・ホテル向けの最新機能やトレンドといった情報を、Google の担当者から直接聞くことができる貴重なセミナーイベントとなっています。
また、イベントの最後には会場参加者限定で交流会も実施します。Google ビジネス プロフィールを運用されている / これから運用したいと考えている飲食店・ホテル担当者の方、この機会にぜひお申し込みください!
※訪日ラボ/口コミアカデミーを運営する株式会社 mov は、Google 主催「飲食店・ホテルサミット」のメディアパートナーです。
※会場の座席には限りがございますのでお早めにお申し込みください。来場希望者が多い場合は抽選となる場合がございます。
詳しくはこちらをご覧ください
→Google「飲食店・ホテルサミット」11/14開催!飲食・ホテルに特化した最新機能やここだけの情報を入手しよう
【インバウンド情報まとめ 2024年9月後編】中国「国慶節」延べ19.4億人移動、海外旅行先の人気1位は日本 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に9月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国「国慶節」延べ19.4億人移動、海外旅行先の人気1位は日本:インバウンド情報まとめ 【2024年9月後編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!