インバウンド利用者数 15万人を目指す:阿寒国立公園満喫プロジェクトステップアッププログラム2020とは

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2016年3月に政府が「明日の日本を支える観光ビジョン」を取りまとめました。これにより、訪日外国人旅行者数を2020年までに4,000万人とすることが新たな目標として掲げられました。

明日の日本を支える観光ビジョンとは?わかりにくい政府や観光庁の取り組みの構造をまとめました

政府は観光先進国への新たな国づくりに向け、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議を行い「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定しました。しかしその取り組みについてわかりづらくなっています。そこでこの記事では、政府の取り組みの全体像についてわかりやすく解説します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次観光立国に向けた政府の取り組み、団体などの相関図インバウンドに関わ...

この目標を達成するためには、今までの観光資源に加え、公園などの自然資源も観光資源と捉えて訪日外国人を誘致する工夫が必要です。環境省では「明日の日本を支える観光ビジョン」に基づき国立公園満喫プロジェクトを推進しています。

環境省、「国立公園満喫プロジェクト」で国立公園8つを選定:ブランド化により訪日外国人観光客を誘致

環境省は7月25日、「国立公園満喫プロジェクト」の対象として、日本国内の8つの国立公園を発表しました。これは政府がとりまとめた「明日の日本を支える観光ビジョン」に基づくもので、選定された国立公園では訪日外国人観光客の誘致に向けた取り組みが行われます。このプロジェクトは後に全国の国立公園にまで拡大される予定です。今回は「国立公園満喫プロジェクト」の展望、実施される取り組みについてご紹介します。 目次国立公園満喫プロジェクトの背景:「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」で提唱日本各地から予...

これは「日本の国立公園を世界水準の“ナショナルパーク”としてブランド化を図る」ことを目標としたもので、訪日外国人国立公園利用者数を、2015年の年間430万人から2020年には2倍以上の1,000万人に増やす ことを目指すとされています。そうした流れを受けて、

  • 阿寒国立公園
  • 十和田八幡平国立公園
  • 日光国立公園
  • 伊勢志摩国立公園
  • 大山隠岐国立公園
  • 阿蘇くじゅう国立公園
  • 霧島錦江湾国立公園
  • 慶良間諸島国立公園

の8か所の国立公園で「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定、2020年を目標にインバウンド対応の取組を計画的・集中的に実施し、日本の国立公園を世界の旅行者が長期滞在したいと憧れる旅行目的地にするとしています。

国立公園の充実化までもうすぐ? 訪日外国人観光客の誘致に向け、プロジェクト素案を策定中

平成28年(2016年)3月30日に政府が策定した「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」により、国立公園の観光資源としての水準を引き上げる「国立公園満喫プロジェクト」が実施されることになりました。2020年までに国立公園を訪れる外国人利用者数を年間430万人から約2.5倍の1000万人にまで引き上げることが目標とされています。それから約8ヶ月が経っています(執筆現在)が、どのような取り組みが進められているのでしょうか。<関連>目次重点的にテコ入れされるのは8つの国立公園「阿寒国立公園ス...

その中から北海道の阿寒国立公園における「阿寒国立公園満喫プロジェクトステップアッププログラム2020」 の内容を見ていきましょう。

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阿寒国立公園の特色

阿寒国立公園は「火山と森と湖」が織りなす雄大な景観を有する国立公園です。現在も噴気活動を続ける火山性の山々、それらを包むように広がる天然林、山麓には阿寒湖、摩周湖、屈斜路湖に代表される湖が点在します。その豊かな自然の中で希少種を含む多くの野生動植物が育まれ、公園内の各地で、それぞれ特徴的な温泉が湧出しています。公園内にはアイヌコタンがあり、アイヌの伝統文化が伝承継承されています。このような「原生的な自然」を舞台に、季節ごとに利用者のニーズなどに応じて、登山やトレッキング、森林散策、ドライブ、カヌー、釣り、スキー、キャンプ、温泉浴など様々な利用が進められています。

阿寒国立公園の利用の現状

阿寒国立公園の利用者数

阿寒国立公園の利用者数推移

阿寒国立公園の利用者数推移:阿寒国立公園満喫プロジェクト ステップアッププログラム 2020より

阿寒国立公園の利用者数は、調査が開始された1971(昭和46)年から増加し、1999(平成11)年の786万人をピークに、以降は減少傾向 にあります。2014(平成26)年の利用者数は、360万人 となっています。

インバウンド(訪日外国人観光客)利用者数

阿寒国立公園のインバウンド(訪日外国人観光客)利用者数

阿寒国立公園のインバウンド(訪日外国人観光客)利用者数:阿寒国立公園満喫プロジェクト ステップアッププログラム 2020より

2015(平成27)年の阿寒国立公園インバウンド訪日外国人観光客)利用者数は、6.3万人 で、国・地域別に見ると、

  • アジア:6.2万人(全体の98%)
  • 欧米豪:0.1万人(同2%)

となっており、アジアのなかでは

  • 台湾(同57%)
  • 中国(同30%)
  • 香港(同9%)

の割合が高くなっています。

阿寒国立公園のインバウンド利用の推進に係る課題

国立公園満喫プロジェクトの全体目標(2020年の訪日外国人利用者数:1,000万人)を踏まえ、阿寒国立公園の利用の推進に係る課題は下記のようにまとめられています。

阿寒国立公園のインバウンド利用の推進課題その1:インバウンド受入れ態勢の充実

訪日外国人を含め今後より多くの利用者を迎え、幅広いニーズに応えるためには、観光関連施設や公園利用施設等の再整備やリニューアルを通じて、利便性や快適性を向上させることが必要 。廃屋のような利用者に負の印象を与える施設を含め、まちなみ景観の改善を図ることも必要。また、利用者の満足度や再来訪意向、他者への紹介意向を高めるため、各所における案内や接客等のサービスの向上といった対応も必要。さらに、特にインバウンド利用者の視点からは、二次交通の充実をはじめとするアクセスの利便性の向上が大きな課題

阿寒国立公園のインバウンド利用の推進課題その2:利用メニュー・滞在プログラムの提供

阿寒国立公園を訪れる利用者のニーズは、団体旅行から個人旅行へ、マスツーリズムからエコツーリズム といったように時代の経過とともに変化しています。国内、海外を問わず利用者ごとのニーズを的確に捉え、受入れ態勢の充実とあわせて、訪れる利用者がより楽しみ、より心地よく滞在してもらえるような利用メニュー・滞在プログラムを提供する必要としています。

阿寒国立公園のインバウンド利用の推進課題その3:インバウンドプロモーションの促進

阿寒国立公園におけるインバウンド利用者数の増加を目指す上では、特に海外に向けて、阿寒国立公園の魅力や、楽しむことのできるアクティビティー等の情報発信を含め、積極的なプロモーションを促進する必要がある。

阿寒国立公園のインバウンド利用の推進課題その4:ブランドの確立と地域の活性化

阿寒国立公園の自然環境の質の高さと利用環境をブランドとして確立するとともに、国内外における認知度を高めることを通じて、旅行消費額の向上など地域の活性化につなげていく必要がある。

阿寒国立公園のインバウンド利用の推進に係る目標

ステップアッププログラムの実施により、阿寒国立公園では2020(平成32)年に達成すべき目標をインバウンド利用者数:15万人 と設定しています。

北海道では2020(平成32)年度を目途として、外国人観光客を2015(平成27)年度の208万人から500万人に増加させることを目標としており、その増加率(約2.4倍)を目安に目標を設定しています。また、訪日外国人利用者数の増加とともに、国内利用者を含め、阿寒国立公園及び周辺地域における旅行消費額の向上を目指すとしています。

阿寒国立公園満喫プロジェクトのコンセプト及び取組の方針

阿寒国立公園満喫プロジェクトのコンセプト:火山と森と湖が織りなす原生的な自然を堪能する

  • 世界最大の球状マリモの群生地である阿寒湖、世界レベルの透明度を誇る摩周湖、それらを包むように広がる深い森、今なお活発な火山の山々、そこに息づく動物たち、それらが織りなす原生的な自然の世界を存分に堪能する。
  • 「カヌーの聖地」釧路川や湖でのカヌー、世界最大規模の屈斜路カルデラで体感する雲海ツアー、火山現象を間近に見ながら楽しめるトレッキング、湖畔や川辺でのバードウォッチングなど、ローインパクトなアクティビティーを通じ、原生的な自然の雄大さや偉大さ、パワー、生きもののたくましさに直接ふれて体験する。
  • 眺望や居心地のよい宿泊施設、展望施設、カフェでの滞在、それぞれ特色の異なる温泉での保養、静寂な森の中でのグランピングなど、優れた景観や大自然の魅力を実感しながら上質な時間を過ごす。
  • 古くから伝わるアイヌの祭事や伝統文化など、我が国の先住民族であるアイヌの文化を体感する。

阿寒国立公園満喫プロジェクトの取り組みの方針

  • 豊かな自然環境及び自然資源の保護を大前提とした上で、安心・安全という観点も含め適正かつ持続可能な利用を推進する。
  • 質の高い居心地のよい滞在空間を創出・演出する。
  • 滞在時間の延長とリピーターの増加を目指す。
  • ターゲットを意識し、ターゲットごとにプロモーションや利用メニューの検討など各種の取組を進める。
  • 阿寒国立公園のブランド力の向上とバリューアップを図り、旅行消費額の向上など地域活性化につなげることを意識して取り組む。
  • それぞれの関係者が主体性を持って取り組む。
  • 阿寒摩周国立公園(仮称)への名称変更を契機として地域全体で満喫プロジェクトに係る認識を共有し、それぞれの地域の特色や魅力を生かしつつ、関係者相互に有機的な連携を図りながら取組を進める。
  • ステップアッププログラムの進捗状況等を定期的に把握し、必要に応じて見直しを行うなど柔軟に取り組む。

阿寒国立公園満喫プロジェクトのターゲット像

インバウンド(訪日外国人観光客)利用者のターゲット像

  • アジア
    • 2015(平成27)年のインバウンド利用者数のうち、98%がアジアからの利用者 が占めており、引き続きアジアからの利用者の一層の誘致を進める。また、近年個人旅行の形態が増加しつつあるため、そのような旅行形態の変化も意識する必要がある。
  • 欧米豪
    • 長期滞在型等の利用を目指すといった観点 からは、現在2%に留まっている欧米豪からの利用者を重要なターゲットと位置づけ 、着実にその増加を図ることが必要である。

国内利用者のターゲット像

  • 利用者のうちの圧倒的多数を占める国内利用者については、近年減少傾向が続いているものの、地域全体への効果という観点からは重要なターゲットであり、再び増加を図ることが必要である。

インバウンド・国内共通のターゲット像

旅行消費額の向上を目指すといった観点や旅行を巡る社会状況等を踏まえ、国内外共通のターゲットとして、「富裕者層」及び「高齢者層」 を位置づける。

<参考> - 「阿寒国立公園満喫プロジェクト ステップアッププログラム 2020」

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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