年収1,000万円クラス 今話題の欧米圏「マス富裕層」を狙うには?年収が高くなるにつれ、消費行動に対するジャッジが厳しくなる傾向が

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近頃、業界内で何かと話題になっている欧米圏×富裕層というキーワード。一概に富裕層と言っても、年収数十億円というような”超”がつく富裕層の方々から年収1,000万円クラスのいわゆる”マス”富裕層までかなり幅が広く、定義づけが明確になされていないのが現状です。前者の”超”富裕層の方々に関しては自ら情報を探すことが少なく、専門のエージェントにすべてを委託したうえで訪日することが多いとされています。

そこで今回は、知的好奇心が高く、自ら旅行の手配を行う割合が多いとされる”マス”富裕層の方々に焦点を当て、月間約180万人のユーザーが訪れる「ジャパンガイド」上で行ったwebアンケート調査の結果を参照しながら、その実態について言及 したいと思います。

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“旅ナカ”における年収別消費傾向

図1-1「日本滞在中の1人あたりの消費額:宿泊費以外」

図1-1「日本滞在中の1人あたりの消費額:宿泊費以外」

図1-2「日本滞在中の1人あたりの消費額:宿泊費」

図1-2「日本滞在中の1人あたりの消費額:宿泊費」」

図1-1、図1-2は”旅ナカ”(日本滞在中)における1人あたりの消費を、「宿泊費以外(食事、体験、お土産等)」と「宿泊費」とで分け、各年収層別に比較したグラフです。

意外なことに、「宿泊費以外(食事、体験、お土産等)」に関しては、年収に比例した数値となっておらず、$50,000~$79,999の層が最も高い結果となりました。一方、宿泊費に関しては年収に比例して消費額が高くなるという結果となっています。

このことから、一つの仮説として下記のことが言えるかもしれません。

【年収が高くなるにつれて、消費へのジャッジが厳しくなる傾向にある】

とりわけ、”旅ナカ”おける「宿泊費以外」の消費に関しては、高所得者の方々から消費に値するサービスが不足していると認識されている可能性があるということです。

以前、国際会議での通訳や富裕層向けのツアーアテンドを行っている事業者の方から聞いた話によると、富裕層と呼ばれる人ほど、自らの快適な空間を維持したいという意向を持つ方が多い とのことでした。たとえば、自国で西洋式のベッドで休息を取る方であれば(もちろん、時には旅館などで日本文化を体験したいという意向があるとしても)日本滞在中の大半の日数を同じ形式で過ごしたいと考えている、というようなことです。

「宿泊費」が年収と比例する傾向にある背景には、すでにリッツカールトンやハイアットなどをはじめとする5つ星ホテルが主要観光地に存在していることが大きく影響している可能性があります。

実際に宿泊場所についての回答結果を見ても、年収が高くなるのに応じ西洋式のホテルに宿泊している割合が上昇し、逆にゲストハウス民泊を利用する割合が減少している様子が見てとれました(図2参照)

図2「日本滞在中に利用した宿泊施設の種類」(複数回答可)

図2「日本滞在中に利用した宿泊施設の種類」(複数回答可)」

現時点ではここで述べたような傾向となっていましたが、国内の受入体制等が急速に整備される中で、あらゆるシーンで高所得者のニーズ(=”快適な空間”)を提供することができれば、今後、”旅ナカ”での消費額がさらに拡大するポテンシャルは十分にあるのではないでしょうか。

訪日回数と年収の関連性

ここ最近、富裕層にターゲティングして情報を発信したいというお問合せが増えています。実際のところ、個人情報との兼ね合いから詳細にセグメント分けを行い、富裕層の方々にだけ情報を届けることは困難となっており、各事業者の方があらゆる工夫を凝らしプロモーションを行っています。飛行機の座席別に訴求内容を変更する、クルーズ船を利用する方を対象としたプロモーションを展開するなどです。

その中の一つに、訪日回数に基づき情報発信を行うという手法 があります。訪日回数が多い人ほど何度も高額な航空券代を支払っているので、それに応じ所得が高くなる傾向にあるのではないか という仮説による手法です。実際に訪日回数と年収には相関関係があるのでしょうか。

図3は訪日回数を年収別にまとめたグラフです。

図3「年収別の訪日回数」

図3「年収別の訪日回数」

$30,000以降の結果をみると、わずかではありますが、年収に比例して平均回数が増加している 様子が見て取れます。ただし、$30,000~$99,999の訪日回数が1回~6回の間でほぼ同じ割合に分散しているのに対し、$100,000~の結果を見ると、最も多いのが1回(38.68%)、続いて6回(27.36%)と両極端な数値が出ています。

6回以上の訪日経験ありという層のみでターゲティングすることができれば、高所得層に情報が届く可能性が比較的高くなる と言うことができます。しかし5回目までに関しては一般層も多く含まれるため、訪日回数のみでセグメント分けを行うのは現実的ではないとも考えられます。

まとめ

■年収が高くなるにつれ、消費行動に対するジャッジが厳しくなる傾向がある ■訪日回数によるターゲティングを行う際には注意が必要

第二回目となる今回は”マス”富裕層と一般層における”旅ナカ”での消費行動の違いについて言及し、さらに訪日回数と年収の関係性について検証いたしました。次回以降、”マス”富裕層とセグメントされる方々の特徴について、別の角度から検証していきたいと考えています。

※ジャパンガイドでのWebアンケート調査方法

  • japan-guide.com 上にアンケート枠を設置。サイト訪問者に任意で回答してもらう方式を採用
  • 全サンプル数:1178 

[内訳]

サンプル数  セグメント   381      訪日経験あり×所得回答者

38      $9,999未満
41      $10,000〜$19,999
40      $20,000〜$29,999
61      $30,000〜$49,999
57      $50,000〜$79,999
38      $80,000〜$99,999
75      $100,000〜$199,999
31      $200,000以上

[エリア別割合]

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この記事の筆者

エクスポート・ジャパン株式会社

エクスポート・ジャパン株式会社

2002年より訪日観光客向けポータルサイト「ジャパンガイド」のパートナー企業としての業務を開始。「ジャパンガイド」への広告出稿管理、各種お問い合わせや、編集長への取材等の窓口を担当。欧米圏からのアクセスが多くを占める「ジャパンガイド」のデータをもとに、訪日観光客の動向をご紹介していきます。

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