【その経済効果80兆円】インバウンドにおいて手付かずの成長市場である「ナイトタイムエコノミー関連市場」とは

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未開拓の夜間市場の活用 を行うことが、大きな経済的インパクトを発生させるということで、日本でもナイトタイムエコノミーが大きな注目を集めています。 日本政策投資銀行、日本政策投資銀行がアジア8地域、欧米豪4地域の訪日外国人観光客旅行者を対象に行なった調査によると、「日本旅行で不満だった点は何ですか?」という質問に対して、「ナイトライフ(バーやクラブ・ナイトマーケット等)体験」という回答が7番目に多い回答となっています。

『夜の』インバウンド需要:訪日客のナイトライフへの不満を満たすサービスが東京、大阪などで登場 改正風営法も追い風に

訪日外国人観光客が日本で観光を楽しむ場合の観光地として、どのような場所を訪れているのだろうか?と考える時、普段意識するのは、訪日外国人観光客は 日中にどのような場所に訪れるのか? といった内容でしょう。しかし、意外と注目されていないのが訪日外国人観光客は 夜にどのような場所を訪れているのか? という点です。こうした訪日外国人観光客のナイトライフという部分で、ナイトクラブに注目したサービスがいくつか登場しています。インバウンド受け入れ環境整備の資料を無料でダウンロードする「翻訳・多言語化」の...

日本の観光活性化策は昼間にどこを観光してもらうかという視点が中心であり、夕方から夜(ナイトタイム)にかけて訪日外国人観光客が地域でどう楽しむのかという視点が欠落しています。そのため、一通り観光を終えた夕方になってやることがなくなるという訪日外国人観光客が実は多いのです。そうした意味で、未開拓のナイトタイムエコノミー関連市場の開拓が、今後のインバウンドにおいて大きな意味合いを持っています。

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ナイトタイムエコノミーの経済効果は、約80兆円

イギリス国内のバーや劇場、レストランなどのナイトタイムエコノミーに属する産業を中心とした商業者によって構成される「ナイトタイム産業協会」によると、イギリス国内のナイトタイムエコノミーの経済規模は年間で国全体の約6%の収入を生み出しているとされ、およそ9兆5700億円にも達するという試算があります。

また、この6%という数値を日本にもあてはめると、新経済連盟によれば、ナイトタイムエコノミーに注力した場合、日本でも新たに約80兆円の収入を生み出すことが可能 ともなります。

イギリスのナイトタイムエコノミー先進事例である「パープルフラッグ」とは

イギリスではかつて荒廃していたリバプール区域が、ナイトタイムインダストリー(ナイトクラブ、ライブハウス、レストラン 等)の活用等により、毎週末に人々が集う場所へと再生したという事例があります。イギリスの場合、夜歩きが安心手出来る街を認定する制度である「パープルフラッグ」という制度を設けています。

この認定基準には犯罪対策、アルコールの提供ガイドライン、酔っ払い対策、交通網、地域で提供されるサービス、そして訪れる客の多様性などが含まれています。こうした取組みによって、普段その地域を知らない観光客であっても心理的な抵抗なしに楽しめるような工夫 がされており、24時間稼働している地下鉄なども観光客の移動にとっては便利なものとなっています。

その他の海外のナイトタイムエコノミー事例

世界的にも「止まらない地下鉄」ということで有名な ニューヨークの地下鉄は、24時間運行となっており、ブロードウェイの開演時間が20時以降であったり、美術館も21時まで開いている 場合もあります。ロンドンに関しても、ロンドン現代美術館が23時までオープン している、フランスでは ルーブル美術館が曜日によっては21時45分まで開いている などの事例があります。

これに対して日本の美術館の場合、週末に20時まで開いているという例外もありますが、基本的には平日は18時で閉まってしまう場合が多く見受けられ、ブロードウェイに関しても海外よりも早く閉まってしまう場合が多いようです。

ナイトタイムエコノミーの推進には、店舗、サービス、公共交通機関の営業時間の拡大が必要

日本でもナイトタイムエコノミーを推進する上で必要となってくるのは、まずはナイトクラブ、ライブハウス、美術館、ブロードウェイなど訪日外国人観光客が訪れる 「目的地となる業種」の営業時間の拡大 、そしてもう1つが こうした訪日外国人観光客にとっての移動手段となる「公共交通機関」の営業時間の拡大 でしょう。

「目的地となる業種」の営業時間の拡大

「目的地となる業種」の営業時間の拡大については、美術館、ブロードウェイなどの営業時間拡大に加えて、午前0時以降も深夜営業を続け、酒類の提供があり、客に遊興をさせるナイトクラブ、ライブハウスなどが、今後は改正後風営法の元に営業をされていくということが必要です。特に深夜(午前0時から午前6時)に営業を行い、酒類の提供があり、客に遊興をさせる店舗の場合、店内の明るさが10ルクス超であること、都道府県公安委員会の許可を得ること、条例により営業可能地域を定めることなどをクリアし、特定遊興飲食店営業という形態で営業を続ける必要があります。

こうした特定遊興飲食店営業の許可を取得出来ない地域で今まで営業を続けてきた店にとっては、合法化での営業が出来なくなる可能性が出ることでもあり、業態の変更、もしくは移転を迫られることとなります。

警察庁によると、5月末現在で特定遊興飲食店の許可件数は全国で261件となっており、最も多かったのは東京都の89件で、大阪府の42件、福岡県の25件が続いています。なお、全国で特定遊興飲食店の許可を得ることが出来た店があるのは30都道府県となっています。

「公共交通機関」の営業時間の拡大

「公共交通機関」の営業時間の拡大に関しては最も効果が出るのは地下鉄の24時間運行でしょう。しかし24時間地下鉄を運行しているニューヨークなどと、日本の地下鉄はそもそも構造が異なるために簡単な話ではありません。ニューヨークの場合、地下鉄は複々線となっているため、上り下りの運行に使用する線路と整備・工事を行う線路とを使い分けることが出来ますが、日本の場合は複線のため、上り方面、下り方面の両本の線路は常に使用中という状況です。そのため、車両の点検や整備のみならず、線路の点検、保守作業を行うためにも24時間運転が出来ないのです。

それでは複々線にすることが出来るかというと、莫大な建設費(地下鉄のトンネルは1km掘り進むのに数百億と言われます。)がかかることに加えて、深夜帯に地下鉄を利用する人がそもそも少ないことから、コストに見合う収益が得られるかはわかりません。そのため、日本でナイトタイムエコノミーを推進する中で、現時点では深夜バス、深夜のシャトルバスを運行するという案が現実的とされています。

まとめ:問題はあるが、ナイトタイムエコノミーは未開拓の成長市場

日本ではほぼ未開拓のマーケットと言えるナイトタイムエコノミー関連市場。店舗やサービス側の営業時間拡大はそこまで難しい話ではありませんが、公共交通機関の営業時間の拡大には色々と課題がつきまといます。実現出来れば訪日外国人観光客の1人あたり消費金額を増やすためにも有効となるため、今後求められていくマーケットと言えます。政府動向含め、今後も注目が必要と言えるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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