以前の記事でもご紹介したように、JTBの資料によると、2018年の訪日外国人観光客数は 3,200万人 に達することが予測されています。2020年の東京オリンピック。パラリンピック開催時に 4,000万人 の訪日外国人観光客誘致を目指す日本では、ここ数年訪日外国人観光客数は順調に伸び続けています。こうした状況の中、大きな問題となっているのが 観光客のマナー違反などを指す「観光公害」。 世界遺産に登録される広島県廿日市市に位置する世界遺産・厳島神社でも近年「観光公害」が深刻化しているようです。
2018年
2017年の訪日外国人観光客数は過去最高値を記録することが見込まれています。2020年の訪日外国人観光客4,000万人誘致に向けて、2018年も引き続きインバウンド受け入れ環境の整備が求められてくるでしょう。大手旅行代理店JTBでは、インバウンドを含めた2018年の旅行市場についての見通しをまとめており、この資料から2018年の 日本のインバウンド市場の展望 を2回に分けてご紹介します。インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?訪日ラボがまとめ...
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大鳥居に硬貨を差し込む観光客が後を絶たず… 厳島神社の大鳥居が倒壊寸前?

Twitter:溝にコインが差し込まれた厳島神社の大鳥居の画像(https://twitter.com/riyusuisuiriyu/status/959751783676395520)
神之氣道師 黄龍 龍水 (熊野小僧)(@riyusuisuiriyu)さんのツイートによると、広島県廿日市市に位置する世界遺産・厳島神社の大鳥居が 倒壊の危機 にあるとのこと。理由は大鳥居に賽銭感覚でコインを差し込む観光客が後を絶たないこと。 上記のツイートの写真で把握できるように、大量のコインが大鳥居に差し込まれていることで木にひびが入り、腐食していることがわかります。訪日外国人観光客に大きな人気を集めている厳島神社ですが、身勝手な行動をとる観光客が増え過ぎたことで倒壊する恐れもあるようです。
大手メディアでも取り上げられる厳島神社の現状…
今回の件は日本経済新聞でも取り上げられています。
観光客が年々増加している世界遺産・厳島神社(広島県廿日市市)の大鳥居の主柱に、さい銭感覚で硬貨をはめ込む観光客が後を絶たず、神社側が対応に苦慮している。(中略)現在の大鳥居は8代目で、1875年に再建された。劣化が進んでいる上、9月の調査では主柱内部に空洞があることが確認され、補修工事の検討も進む。文書で注意を促す案も出たが、立て札にしても海水で腐食するといった問題があり、有効な対策を打ち出せない。ー 日本経済新聞「大鳥居に硬貨、対応苦慮 世界遺産の厳島神社」より引用
世界遺産に登録されている厳島神社の大鳥居は、観光客がコインを差し込むことによって劣化が著しいことが把握できます。コインを差し込んでいる観光客は何も訪日外国人観光客に限った話ではないでしょうが、中には悪気なしでこうした行為に及んでしまっている訪日外国人観光客も一定数存在していると予測できます。
習慣の違いからこうした行為に及ぶ訪日客も?「厳島神社の鳥居にコインを差し込むのは一般的」と報じる海外メディアも
海外の観光地ではトレビの泉のように歴史的建造物にコインを投げる習慣があります。また、イギリスでは地域によっては病人が木の切り株にコインを差し込むことで、病気が治るといった風習も存在しており、文化・慣習の違いから訪日外国人観光客が今回のような行為に及んでいる可能性は否定することができない でしょう。加えて、Twisted Sifterなど海外のウェブメディアでは、厳島神社に関して、
- It is common practice for visitors to place coins in the cracks of the legs of the gate and make a wish.(観光客にとって厳島神社で鳥居の柱にコインを差し込んで願い事をするのは一般的なことです。) ー Twisted Sifter「MIYAJIMA TORII – JAPAN’S FLOATING GATE」より英文を引用・和訳
などと紹介している場合もあり、こうしたインターネット上の情報は訪日外国人観光客に簡単に鵜呑みにされてしまうかもしれません。いずれにしろ、日本人と外国人の間では観光地でのマナーに関してある程度の認識の違いが存在している ことは明白です。冒頭でご紹介したように、こうした外国人観光客の観光先でのマナー違反によって引き起こされる問題は「観光公害」と呼ばれ、日本のみならず世界中で問題になっています。
外国人観光客のマナー違反が引き起こす「観光公害」 世界中で大きな問題に
人口の約2倍の外国人観光客が訪れるスペインでは観光客の排斥運動も
2017年、スペインには人口4,700万人の 1.74倍 にあたる約8,200万人の外国人観光客が訪れました。また、2016年と比較すると700万人近く外国人観光客は増加しています。GDPの11%にあたる約11兆7,700億円を観光産業から稼ぎ出しているスペインですが、国民からは増加しすぎる外国人観光客に対して排斥運動が起こっているようです。 Forbes Japanではスペインで外国人観光客が増えすぎている現状に関して、
観光客の増加はイビサ島やマヨルカ島のほか、バルセロナがあるカタルーニャ自治州などの住民の暮らしに多大な影響を及ぼしている。急激な外国人観光客の増加は、住民らの排斥感情を高める結果となっているのだ。スペインからの独立を目指すカタルーニャでは、エアビーアンドビーをはじめとする「民泊」の利用者が増加したことを受け、家賃が上昇するなどしている。- Forbes JAPANの記事より引用
と報じており、現地在住のスペイン人は増加する外国人観光客によって生活に支障が出る現状に嫌気が指しているようです。
「観光客は帰れ!」人口の倍近い外国人観光客が訪れるスペインで強まる観光客排斥の動き:近年の海外旅行ブームから多発する「観光公害」
2017年の世界全体の海外旅行者数は 13億2,200万人 となっており、伸び率は前年比+7%とでした。この伸び率は過去7年間で最高のものとなっており、世界では「海外旅行ブーム」が訪れているという見方ができるでしょう。 こうした状況の中、人気観光地で 「増えすぎた観光客にどう対処していくのか」 といった問題が表面化してきています。バルセロナなど世界屈指の観光都市が位置するスペインでは、観光客の排斥運動まで起こっている模様です。インバウンド対策なにから始めたら良いかわからない?訪日ラボがまと...
まとめ:4,000万人誘致の前に改めて考えるべき「観光公害」 自治体・観光協会は対策の実施を
今回の厳島神社の件に関しても、外国人観光客が増加することによって、マナーや慣習の違いから日本が誇る世界遺産の劣化が進んでしまった という見方もできます。自治体や観光協会によっては、以前の訪日ラボの記事でもご紹介したオランダ・アムステルダムの取り組みのように、宿泊税を導入するなどして外国人観光客数を調整 していったり、観光地でのマナーに関してあらかじめ訪日外国人観光客に知らせたり といった取り組みも求められてくるでしょう。2020年には4,000万人のインバウンド誘致を目指す日本にとって「観光公害」との付き合い方は改めて考え直していくべき課題です。
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観光地も観光客を選ぶ時代に!?外国人観光客向けに「観光税」を課すアムステルダムの取り組みが面白い!世界中で海外旅行ブームの中
訪日ラボの記事でもご紹介している通り、外国人観光客が増加傾向にあるのは日本のインバウンド市場のみならず、他の多くの国でも然り。UNWTOの資料によると、2017年の1月から6月の間に海外旅行をした人の数は、全部で 5億9,800万人 となっており、今年初め6カ月でも 3,600万人の増加 を記録しています。世界中で海外旅行のアクティビティになりつつなる中、外国人観光客が増え過ぎた観光地では観光地の景観整備を目的に新たな取り組みをしています。インバウンド受け入れ環境整備についてより詳しい資料...
<参照>
- togetter:「なんてバチ当たりなことを…」世界遺産でもある厳島神社の鳥居への酷すぎる行為に批判が殺到
- 日本経済新聞:大鳥居に硬貨、対応苦慮 世界遺産の厳島神社
- Mail Online:Who says money doesn’t grow on trees? Coins mysteriously appear in trunks up and down the country
- Twisted Sifter:MIYAJIMA TORII – JAPAN’S FLOATING GATE
- Forbes JAPAN:観光客排斥の動き強まるスペイン、外国人旅行者数で世界2位に
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
- 旅ナカの接客品質を高め、顧客満足度向上に繋がる実践的な対応を学べる
- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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詳しくはこちらをご覧ください。
→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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