訪日ラボの記事でもご紹介している通り、外国人観光客が増加傾向にあるのは日本のインバウンド市場のみならず、他の多くの国でも然り。UNWTOの資料によると、2017年の1月から6月の間に海外旅行をした人の数は、全部で 5億9,800万人 となっており、今年初め6カ月でも 3,600万人の増加 を記録しています。
世界中で海外旅行のアクティビティになりつつなる中、外国人観光客が増え過ぎた観光地では観光地の景観整備を目的に新たな取り組みをしています。
[blogcard url=”https://honichi.com/news/2017/10/04/outboundtrendhalfof2017/”]
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アムステルダムで観光客向けの税金の値上げを検討?!200億円の財源を確保へ
オランダ最大の都市であるアムステルダムでは、同地に訪れた観光客に課す観光税を€10(日本円で約920円)以上に値上げすることを計画 しています。
現在、アムステルダムを訪れる観光客は、ホテルなどの宿泊費用のうち5% を納めることになっています(2018年に6%に値上げ予定)。議会ではこれに加え固定の観光税である€10(日本円で約920円)の納税を観光客に求めるように検討中であるとのこと。この取り組みが2019年前に実現化すれば、アムステルダムは約200億円の財源を確保できる計算になります。
人気の観光地で観光客に新たな税金の負担を求めようとすること政策。背景には何があるのでしょうか。
観光客も観光地が選ぶ時代に?住む人・訪れる人、両方にとってバランスの取れた観光モデルを模索
アムステルダムは、オランダ最大の都市とはいえ、人口は85万人とヨーロッパの大都市にしては比較的小さな町です。
一方、2016年にアムステルダムを訪れた観光客は、居住者の20倍にあたる1,700万人 でした。さらに、ここ5年間、毎年平均で100万人ずつ観光客が増えており 、数年後にはアムステルダムを訪れる観光客の数は、2,300万人まで膨れ上がる と予測されています。
こうした背景から、アムステルダムでは、観光地としてのブランド・収益性と居住者の生活の質を守るために、これからは、低予算でやってくる観光客ではなく、数日市内に滞在してくれ、現地のレストランに足を運び、多くのお金を還元してくれる観光客をターゲットにしていくとのこと。 具体的には、新しいホテルの建設の禁止や、アムステルダム郊外の観光を旅行客に推奨するなどの施策をしています。
今回の観光税の増税によって集まったお金は、アムステルダム市が観光地の整備に活用し、住む人・訪れる人、両方にとってバランスの取れた観光モデルを構築していきます。
海外旅行者が世界中で増えている中、各国の観光地ではいわゆる 「(*)観光公害」 がたびたび発生しつつあります。いくつかの事例を確認してみましょう。
*観光公害: 観光客によるマナー違反の総称。観光地を訪れる車両の騒音、排気ガスや渋滞 - 観光地を訪れる観光客が残していくゴミ - 観光客による私有地への無断進入、撮影禁止場所での撮影などによるプライバシー侵害 - 観光客による喫煙禁止場所での喫煙やポイ捨てなどがこれにあたる。近隣住民に迷惑をかけるものが多数。
変わりつつある「まちと観光」の関係:観光客急増で「観光公害」も多発
[観光公害とその対策例①]人口の20倍の観光客が訪れるバルセロナ:新規ホテルを建設&人気観光地周辺の店舗の24時間営業を中止
海外旅行者に人気の観光地となっているスペイン・バルセロナには、同市の人口の20倍にも及ぶ年間約3,200万人の観光客が足を運びます。
しかし、東洋経済ONLINEの記事によると、
市役所が(バルセロナ)市民約6000人を対象に「困っている問題」について尋ねたところ、「観光客の多さ」と答えた人の割合は約8%と、1位の「失業」(24.9%)に次いだ。一方、バルセロナを訪れる観光客の58%も「観光客が多すぎる」と考えているのだから、普通ではない状況だ。- 東洋経済ONLINE:バルセロナが「観光客削減」に踏み切る事情 世界屈指の観光都市が抱える悩み より引用
とされており、観光客の増加は近隣住民の悩みの種になっているようです。
バルセロナ市でも、増えすぎる観光客の数を制限し、クリーンな観光地として整備し直そうと新規ホテルの建設禁止や観光客にも人気が高いバルセロナの大聖堂とその周辺地区で、各種店舗の24時間営業を禁止に しています。
[観光公害とその対策例②]京都では訪日客急増で市民がバスに乗れない状態に:マナー違反で祇園の桜ライトアップも中止に
観光地におけるインバウンド誘致が活発化している日本国内でも「観光公害」が問題になりつつあります。
訪日外国人観光客に人気の観光地である京都では、急増する外国人観光客が市バスの1日乗車券を頻繁に利用することでバスが満席となってしまい、市民からはバスに乗れないという苦情が多数寄せられています。
この1日乗車券は観光地などを結ぶ路線が500円で1日乗り放題となるもので、訪日外国人観光客の急増から 発行枚数は急激に増え、2000年ごろは100万枚程度だった発行枚数は、2015年には6倍となる614万枚まで増えたと言います。
数年前から大型のスーツケースを抱えた訪日外国人観光客の利用などが増えており、停留所で待っていた地元市民がバスに乗れないケース、バス停の混雑の原因となる、バスの定時運行に大きな支障をきたすなどの問題が発生しているようです。
結果的に京都市は、2018年より 市バスの1日乗車券を、現在の500円から600円に値上げ。 また、今まで市バスのみを使用していた観光客に地下鉄も利用してもらい、市バスの混雑を解消出来るよう、京都市バス全線、市営地下鉄全線、京都バスで利用できる1日乗車券を現在の1200円から300円値下げし、同時期に900円にする方針です。
また、訪日外国人観光客のマナー違反などが原因で京都では 京都・祇園の桜ライトアップも中止に なっています。
[blogcard url=”https://honichi.com/news/2017/06/21/kankokogai/”] [blogcard url=”https://honichi.com/news/2017/08/10/kyotobusfaresisraised/”]
このように、日本のみならず、世界中で「観光公害」は問題に なりつつあり、その対策に自治体が奔走している段階です。
以前の訪日ラボの記事でもご紹介したように最近では、出国税の導入 も検討されており、「ただ呼び込む」のではなく「きちんと計画・整備して呼び込む」 といった取り組みが、これからのインバウンド誘致には必要な視点なのではないのでしょうか。
[blogcard url=”https://honichi.com/news/2017/09/13/seeifexittaxhaveinfluenceoninboundmarket/”] [blogcard url=”https://honichi.com/news/2017/09/14/whatsdeparturetax/”]
まとめ:インバウンド観光も「ただ呼び込む」のではなく「きちんと計画・整備して呼び込む」時代に突入?!
アムステルダムでは、同地に訪れた観光客に課す観光税を€10(日本円で約920円)以上に値上げすることを計画。 背景には、増えすぎた観光客の数を制限し、よりお金を観光地に落としてくれる観光客をターゲットとしてフォーカスし直すことで、現地に住む人・訪れる人、両方にとってバランスの取れた観光をかたちづくる点にあります。
世界中で海外旅行者が増えている中、人気観光地は 「観光公害」 に悩まされているケースもあり、これからは外国人観光客を 「ただ呼び込む」のではなく、きちんとターゲットを絞り、観光地としての魅力を整備して呼び込む という視点が必要かもしれません。
日本文化特有の「お客様は神様」精神からは少し距離を置いて、アムステルダムやバルセロナのように、「観光とまち」の関係を考え直してみても良い頃合いでしょう。
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<参照>
- lonely planet:Amsterdam planning to increase tourist tax to encourage visitors who ‘give back more to the city’
- 東洋経済ONLINE:バルセロナが「観光客削減」に踏み切る事情 世界屈指の観光都市が抱える悩み
【2023年インバウンド最新動向を予測】国・地域別デジタルマーケティング戦略
2022年10月からついに入国者数の上限撤廃、短期滞在者のビザ免除等が実施され、訪日観光が本格的に再開されました。
未だ"完全回復"には至っていないものの、観光地によってはすでに多くの訪日外国人観光客が訪れているところもあり、「インバウンド対策」への関心が急速に高まっています。
では、今やるべきインバウンド対策とはなんでしょうか。そしてそれを国・地域別に見ると、どういった違いがあるのでしょうか。
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