JNTO(日本政府観光局)によると、2017年の訪日外国人観光客数は約2,870万人と史上最高を記録しました。国籍別に見てみると、もっとも多かったのは訪日中国人観光客(約736万人) であり、全体の 25.6%を占めるかたちに なりました。単純な訪日客数という観点からすると、訪日中国人観光客は日本のインバウンド市場においてもっとも注視していくべき存在であり、日本国内の小売店や飲食店などでは訪日中国人観光客を集客するためにさまざまな取り組みを行っています。
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「モバイル決済」が当たり前の中国:市場規模は5.5兆ドル規模にまで成長
日本人の間では料金を支払う際、一般的に現金やクレジットカードなどが利用されています。一方、お隣中国では 「モバイル決済」がもっとも主要な決済方法に なっており、中国のモバイル決済市場は 5.5兆ドル(619兆円)規模 にまで膨らんでいます。また、日本銀行が2017年6月に発表した「モバイル決済の現状と課題」によると、都市部に住む中国人のうち、98.3%が過去3か月にモバイル決済を利用 しています。中国人の間でいかにモバイル決済が普及しているのかが把握できるでしょう。「決済方法」という点に関しては、日本と中国では大きな違いが存在しているため、訪日中国人観光客の集客を目的に店舗の支払いシステムを拡充するといった取り組みは、近年の日本のインバウンド業界で幅広く行われているものです。
日本国内でも10倍に膨らむ訪日中国人向けモバイル決済市場
こうした背景から、日本でも中国人向けモバイル決済市場は、大きな成長を見せています。読売新聞の記事によると、
ウィーチャットペイの導入を仲介する代理店の一つ「ネットスターズ」(東京都)によると、昨年11月時点の加盟店は約1万、決済額は月数十億円で、前年同月比でともに約10倍。アリペイの複数の代理店も「大幅に増えている」という。ー YOMIURI ONLINE「増加する中国人観光客、モバイル決済は10倍に」より引用
とのことで、WeChat Payment(ウィーチャットペイメント)やAlipay(アリペイ)など中国で広く普及しているモバイル決済手段を日本国内の小売店などでも導入したいといった声は、ここ最近で急激に増えている ことがわかります。WeChat Payment(ウィーチャットペイメント)やAlipay(アリペイ)などの決済システムを導入することで、訪日中国人観光客が日本円いらずでより快適にショッピングをすることができるようになるため、訪日中国人観光客の消費意欲を促進し、結果的に自店舗の収益につなげることができるでしょう。では、訪日中国人観光客の集客を目的にモバイル決済導入を検討する店舗は、具体的にどのようなサービスを導入するべきなのでしょうか。中国で広く普及している代表的なモバイル決済サービスをいくつかご紹介します。
もう一度おさらい 中国の3大決済システム
[WeChat Payment(ウィーチャットペイメント)]中国版LINEのWeChatが提供する決済サービス
WeChat Payment(ウィーチャット ペイメント)とは、中国版LINEとも言われるチャットアプリWeChat(ウィーチャット)の機能の一部のモバイル決済サービス です。メッセンジャーツールとして最大の人気を誇り、約6億人が利用するWeChatが提供するモバイル決済機能とだけあって、アクティブユーザー数は 8億越え、取引数は 1日5億回以上 にものぼります。
中国でもっとも人気のモバイル決済手段の1つであるWeChat Paymentは、スマートフォンに専用アプリをインストール、銀行口座情報を登録して、実店舗で使う場合には支払い時に QRコードを読み込んで決済 します。WeChat Paymentは、登録しておいた銀行口座から瞬時に利用額が引き落としされるため、世界的に普及しているオンライン決済サービスPaypal(ペイパル)とよく似たシステムとなっています。WeChat Paymentは、高額の買い物やオンラインショッピング時ではなく、実際の小売店でのショッピングに頻繁に使われる傾向 があります。日本国内では、日本交通、高島屋、イオンなどで利用可能です。
訪日中国人を中心に8億人超が利用!「WeChat」を活用したインバウンド対策事例
FacebookやTwitter、Instagramなどが人気を博している世界とは異なり、独自の発展を遂げている中国のIT業界。8億超のアクティブユーザー数を誇り、「中国版LINE」と評されているメッセンジャーアプリ「WeChat(微信)(ウィーチャット/微信/ウェイシン)」をご存知でしょうか。日本人ユーザーが利用しているという話を耳にする機会はあまりありませんが、インバウンド業界では積極的に活用していこうとする動きが見られ、徐々に存在感が強まっています。たとえば、大手免税店のラオックスは...
[Alipay(アリペイ)]中国モバイル決済額の7割に使われている中国最大級の決済サービス
Alipay(アリペイ)とは、「アリババグループ」が提供する 中国最大級のオンライン決済サービス です。WeChat Paymentのように、登録した銀行口座を経由して支払いを行い、実店舗でのショッピング時にはQRコードを読み込んで決済をします。
Alipayの利用登録者数は 8億人 に及びます。2015年の中国のモバイル決済の取引額は約9.3兆元(約153兆円)でしたが、そのうち 7割強がAlipay(アリペイ)を経由したもの でした。中国最大規模のオンライン決済サービスとなっているAlipayは、オンラインショッピングによく利用される傾向に あります。日本国内であればセブンイレブンやビックカメラ、ユニクロ、ドン・キホーテなど多くのお店で利用することができます。
Alipay(アリペイ)の導入は訪日中国人集客に不可欠?旭川空港でもAlipay(アリペイ)導入を開始!
2003年から2016年の訪日中国人観光客数推移訪日外国人観光客を集客、もしくは誘致する際に、やはり大きなターゲットになってくるのは訪日中国人観光客。訪日外国人観光客数の中で、もっとも大きな割合を占めるのが訪日中国人観光客であり、右の表を見てみると、訪日中国人観光客数は東日本大震災のあった2011年を除いて、年々大きな伸び率を記録していることが確認できます。こうした背景から、訪日中国人観光客をインバウンド誘致するために、中国で広く普及している電子決済サービス「Alipay(アリペイ)」の導...
[銀聯カード(Union Pay)]Visaよりも決済額が多い中国の元祖決済サービス:発行枚数は60億枚
銀聯カード(ぎんれんカード)は、中国銀聯が発行する決済カード です。Union Pay(ユニオンペイ)とも呼ばれます。モバイル決済ではありませんが、中国の元祖決済サービス であり、WeChat PaymentやAlipayと同じように中国で多くの利用者をもつ決済サービスです。
クレジットカードとしての銀聯カードも存在はするものの、中国でメジャーなのは、決済後すぐに銀行の口座から代金が引き落とされる デビット方式 のものであり、発行枚数は 60億枚 を超えることから、世界一発行枚数が多いデビットカード とも言われます。中国銀聯の発表によると、2015年第1四半期の銀聯カードによる決済額は、Visaカードの同期決済額を抜いて世界トップ となっており、中国人の高い消費意欲を長年にわたって支えているものといえるでしょう。
銀聯カードは、単なるデビットカードであることから、QRコード読み取り機などを必要とするWeChat PaymentやAlipayと比較して導入が楽 なことで知られています。低コストで訪日中国人観光客の決済方法を拡充したいといった店舗にとって、銀聯カードでの決済機能導入はベストな選択肢かもしれません。
飲食店の8割ができていないインバウンド対策
訪日外客数の多さ、インバウンド消費規模の大きさから訪日中国人観光客は日本のインバウンド業界にとって最大のターゲットとなっています。2016年の訪日中国人観光客は、1人あたりあたり 283,842円 を支出しており、そのうち 42,307円 を飲食費に使っています。この金額はアジア圏出身の訪日外国人観光客のなかでもっとも高い額です。日本国内の飲食店にとって訪日中国人観光客は特に注視していくべき ターゲットといえるでしょう。飲食店が実施可能な訪日中国人観光客向けのインバウンド対策として考えられ...
まとめ:中国のモバイル決済導入が加速 小売店や飲食店などは導入を検討すべきかも
中国人の間では、モバイル決済による買い物が一般的なものになっています。こうした背景から、日本国内では訪日中国人観光客の集客・誘致を検討する小売店や飲食店の間でWeChat PaymentやAlipayなどのモバイル決済を導入したいという要望が増えています。インバウンド市場のメインターゲットとなっている訪日中国人観光客の消費を喚起するためにも、小売店や飲食店は、今後、WeChat PaymentやAlipayなど中国で普及しているモバイル決済サービスの導入を検討するべきかもしれません。
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<参照>
- Forbes:中国政府、モバイル決済に「利用限度額」導入 詐欺事件も多発
- 日本銀行:モバイル決済の現状と課題
- 中国と日本ではたらき自由を目指すビジネスマン:アリペイとWechatペイ、どっちが使われているのか?その市場シェアは?
- 千葉銀行上海駐在員事務所:中国レポート
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短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
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訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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