シェアリングエコノミー型サービスとして注目を集める民泊。Airbnbがその代表例です。民泊サービスとは、空き部屋や物件の所有者と宿泊場所を探している旅行者をマッチングしてくれるもので、世界中で利用されているものです。訪日外国人観光客の急激な増加に沸く日本のインバウンド業界でも民泊サービスの存在感は増しており、民泊ビジネスを始める人は増えています。
個人のもつ資産(空き部屋・物件)などを最大限に有効活用し、収益につなげることができるといえど、利用者(ゲスト)とのトラブルが発生する場合もあるため、そういったリスクを最小限にとどめた民泊運営が理想的なものでしょう。民泊業界においてどのような問題が発生しているのでしょうか。代表的なものをいくつかまとめてみました。
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- 民泊でよくあるトラブルその①[ごみの処理問題] 昨年にはゴミ処理トラブルで書類送検されるケースも
- 民泊でよくあるトラブルその②[騒音] ゲストの移動音・騒ぎ声もトラブルのもとに
- 民泊でよくあるトラブルその③[喫煙] 訪日客の4人に1人は喫煙者というデータも…
- 民泊でよくあるトラブルその④[セキュリティ問題] 犯罪の温床にもなりうる民泊物件:覚せい剤を製造し逮捕されるケースも
- 民泊でよくあるトラブルその⑤[わいせつ] 民泊ゲストの韓国人女性にホストが性的暴行するといった事件も発生
- 民泊でよくあるトラブルその⑥[盗撮] 民泊ゲストの私生活を盗撮するホストも…
- 民泊トラブルを回避するにはどうすればいい?ポイントは2つ
- まとめ:民泊トラブルに関して理解を深めよう 代行業者の活用も一つの手?
目次
民泊でよくあるトラブルその①[ごみの処理問題] 昨年にはゴミ処理トラブルで書類送検されるケースも
もっとも頻繁に起きるトラブルがごみ問題。民泊物件の周辺のポイ捨てやごみ処理のマナーの悪さによって、近隣住民が迷惑するといったケースは頻繁に起きています。
民泊で出たごみを別のマンションのごみ置き場に不法に捨てたとして、京都府警は31日、民泊を運営する京都市左京区の不動産会社と、いずれも中国籍の同社元社員の男(31)と社員の男(23)を廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで書類送検し発表した。2人は「ごみ置き場がいっぱいになったので捨てた」と容疑を認めているという。― 朝日新聞「民泊ごみ、別のマンションに不法投棄容疑 2人書類送検」より引用
また、上記の記事でもご紹介しているように、昨年5月31日、ごみを不法に投棄した民泊事業者が書類送検されたとの報道もあり、ゲストが出したごみを民泊運営者がいかに処理をするのかをあらかじめ決めておかないと、おもわぬトラブルに発展するでしょう。
民泊でよくあるトラブルその②[騒音] ゲストの移動音・騒ぎ声もトラブルのもとに
ゲストの騒音や移動する際の音が原因となって、民泊施設の近隣住民とのトラブルに発展するケースも多発しています。時間帯にかかわらず、ゲストはスーツケースなど重い荷物を持って民泊物件に到着するため、民泊物件の近くで生活する人はストレスを感じてしまうかもしれません。また、ゲストが深夜まで騒いだりすることで「眠れない」「いらいらする」といった苦情も近隣住民から寄せられることもあるようです。
民泊でよくあるトラブルその③[喫煙] 訪日客の4人に1人は喫煙者というデータも…
ゲストが部屋の中で喫煙したことによって、民泊運営者とトラブルになるといった事例も多発しています。以前の訪日ラボの記事でもご紹介したように、訪日外国人観光客の4人に1人が喫煙者ともいわれる中、インバウンド向けに物件を貸し出したいのであれば、あらかじめ物件内の喫煙の可否に関してゲストと共有しておくべきでしょう。
訪日客の4人に1人が喫煙者!?…インバウンド対策=禁煙は妥当なのか?各国の喫煙率から「インバウンド喫煙率」を調べてみました
1月に国会提出予定であった、東京オリンピックに向け屋内全面禁煙などを定める受動喫煙対策強化改正法案(通称:原則禁煙法案)を巡り、「たばこ議員連盟」を中心に自民党内での調整が続いています。たばこ議員連盟は、飲食店経営者が禁煙、分煙、喫煙を選択できるようにするなどといった対案を出しており、調整は難航。今国会で提出がなされるのか注目が集まっています。オリンピックを主宰する国際オリンピック委員会(IOC)の「たばこの無いオリンピックを」という要望のもと、近年オリンピック開催都市では禁煙法案が整備さ...
民泊でよくあるトラブルその④[セキュリティ問題] 犯罪の温床にもなりうる民泊物件:覚せい剤を製造し逮捕されるケースも
マンションなどの集合住宅の一室を民泊物件として貸し出す民泊ホストは多く存在しています。マンションの場合、オートロック完備の物件も多く、厳重なセキュリティを好む住民は、短期間で違う外国人ゲストがマンション内に立ち入ることに不安感を覚えるケースも少なくありません。また、下記の記事でもご紹介しているように、民泊物件は犯罪の温床になりうることも把握しておくべきでしょう。
民泊として使われていたマンションで覚醒剤を作ったとして、警視庁は、米国籍で住所、職業いずれも不詳のホアン・マシュー容疑者(25)を覚醒剤取締法違反(営利目的製造)の疑いで再逮捕し、27日発表した。黙秘しているという。組織犯罪対策5課によると、逮捕容疑は昨年12月6~13日、東京都大田区と港区の民泊の部屋で、鍋やフライパンなどを使ってフェニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含む結晶を精製して純度を高め、覚醒剤を製造したというもの。この部屋はホアン容疑者以外の人の名義で借りられていた。ー 朝日新聞「民泊マンションで覚醒剤作った疑い 米国人を再逮捕」
民泊でよくあるトラブルその⑤[わいせつ] 民泊ゲストの韓国人女性にホストが性的暴行するといった事件も発生
また、ホスト側がトラブルを起こすケースも存在しています。
「民泊」として提供したアパートの一室で利用者の女性に乱暴したとして、福岡県警中央署は16日、自称自営業、長部聡一容疑者(34)=福岡県古賀市薦野=を強制性交致傷の疑いで逮捕し、発表した。「触ったが、性交はしていない」と容疑を否認しているという。署によると、長部容疑者は16日午前6時30分ごろ、民泊用に借りていた福岡市中央区のアパートの一室で、宿泊客の韓国人女性(31)に性的暴行を加え、軽いけがを負わせた疑いがある。女性は旅行中の宿泊先としてインターネットでこの部屋を予約。宿泊後、韓国領事館を通じて110番通報したという。ー 朝日新聞:「民泊の女性に性的暴行容疑 貸主の男逮捕 福岡」より引用
上記の記事で紹介しているように、民泊ホストがゲストの韓国人女性に対して、性的暴行を加えるといった事件も発生しています。
民泊でよくあるトラブルその⑥[盗撮] 民泊ゲストの私生活を盗撮するホストも…
一般住宅に旅行客を宿泊させる「民泊」を無許可で営業し、隠しカメラで室内を盗撮していたとして、大阪府警守口署は6日、旅館業法違反と軽犯罪法違反の容疑で、会社員の男(42)=三重県津市柳山(やなぎやま)津興(つおき)=を書類送検した。男は「当初から盗撮目的だった」と供述。同署は隠し撮りの対象を呼び込むために無許可で民泊を行っていたとみている。カメラは防犯グッズとして市販されている置き時計型と火災報知機型の商品で、それぞれ居間と脱衣所に設置。ベッドや着替えの様子などを盗撮していたとみられる。ー 産経新聞「趣味の盗撮のため無許可で民泊…三重の男を書類送検 大阪府警守口署」より引用
民泊ゲストにとって、物件は他人の所有物件といえど完全にプライベートな場所です。こうした点に付け込んで、上記の記事でもご紹介しているように、ゲストの私生活をホストが盗撮するといった事件も発生しています。
民泊トラブルを回避するにはどうすればいい?ポイントは2つ
わいせつ行為や盗撮など、ホスト側が一方的に引き起こしたトラブルに関しては、対処のしようがないかもしれませんが、民泊ホストとゲストの間でのトラブルを回避するためにはどのようなことを徹底するべきなのでしょうか。ポイントは下記の2つです。
民泊トラブル対応策その①:ハウスルールをきちんと作成する
ハウスルール例(Airbnbのスーパーホストが運営する物件のリスティングページより抜粋)
英訳 | 和訳 |
---|---|
Take off your shoes when entering. | 中に入るときは靴を脱いでください |
Please be quiet from 9PM to 7AM and be careful of any noise you make while you are in this neighborhood. | 午後9時から朝7時までは静かにしてください。また、近隣住民に配慮して騒音には気を付けましょう |
Turn off the air conditioner/heater when not there. Please be respectful of the environment and our costs. | 外出する際には、エアコンや暖房を消して下さい。エコと節約に協力してください。 |
YOU MUST separate the trash! Trash should be divided into categories and put in different bags. | ごみは分別しなくてはいけません。ごみの種類によってごみ袋を分けてください |
ハウスルールを作成することは、ゲストとの間のトラブルを回避する手段として、もっとも重要なものです。Airbnbなどのリスティングページに、ハウスルールをあらかじめ多言語で明記することが必要です。民泊トラブルの多くは、ホストとゲストのコミュニケーション不足から起こるものがほとんど。あらかじめ民泊物件内で「やっていいこと」「やってはいけないこと」「協力してもらいたいこと」を上記のようなハウスルールをもとに、利用者と共有するべきでしょう。
民泊トラブル対応策その②:ルールに違反した場合の罰則事項を設けること
罰則例(Airbnbのスーパーホストが運営する物件のリスティングページより抜粋)
英訳 | 和訳 |
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If the guest loses the key, he/she is responsible for paying the KEY AND LOCK replacement fee. | もし部屋の鍵をなくしたら、鍵代と新しい鍵の取り付けに関するすべての費用を支払ってもらいます。 |
If neighbours complain during your stay, you will be asked to leave during your stay | 近隣住民から苦情が出た場合、滞在中といえど立ち退いてもらいます。 |
NO SMOKING inside the apartment. There is a $150 or 15,000 yen FINE for SMOKING in the apartment. | 部屋の中ではたばこを吸わないでください。吸った場合、1万5,000円の罰金があります。 |
また、民泊物件の利用者が、万が一ハウスルールに反する行為をしてしまった場合、上記のような厳しい罰則を設けることも重要です。罰則は具体的なものであればるほど効果的でしょう。
まとめ:民泊トラブルに関して理解を深めよう 代行業者の活用も一つの手?
民泊ビジネスが盛り上がりを見せている近年の日本。観光庁の「平成29年7-9月期 訪日外国人旅行者の宿泊施設利用動向」によると、民泊を利用している訪日外国人観光客の割合は14.9%となっており、旅館を利用している訪日外国人観光客の割合(21.9%)に、年々近づいてきています。
観光庁 初の「民泊利用の訪日外国人」の動向調査発表:いまや訪日客の12.4%が民泊を利用
日本を訪れる訪日外国人観光客の民泊の利用が増加していると言われていますが、これについて観光庁は、平成29年7-9月期に訪日外国人旅行者の「有償での住宅宿泊」について調査を行っています。これは、日本滞在中の訪日外国人観光客の利用宿泊施設の回答として、現在の観光庁が選択肢として用意している「旅館」「ホテル」以外に、「その他」という回答が増えている こと、つまり 民泊利用 などが増えていることを受けて実態を把握するために行われたものです。インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳...
こうした背景から、インバウンド市場においても民泊ビジネスの存在はだんだんと大きなものになってきています。しかし、今回ご紹介してきたように、ゲストとホストの間で起きる「民泊トラブル」も多発しており、今後は注意が必要となってくるでしょう。
- ハウスルールの作成:注意事項の共有
- 違反行為があった場合の罰則の制定
この2つの項目は、民泊トラブルを防ぐうえで重要なポイントになってきます。健全な民泊運営をするのであれば、民泊運用代行会社のサービス活用も一つの手でしょう。
【実録】本当にこんなことあるの?民泊ホストに聞いた衝撃的な事例4選
今年の1月〜6月に日本を訪れた訪日外国人は前年比17.4%増の1375万7300人を記録し、その消費額ははじめて2兆円を突破しました。この内、Airbnbをはじめとした民泊仲介サイトを利用し滞在先を決めた旅行客も多いとみられています。また、民泊新法(住宅事業法)の施行も来年に決定しており、民泊への注目度は日々高まっているといえるでしょう。民泊運営で最も懸念されている点のひとつに、ホストとゲストの間でのトラブル が挙げられるかと思います。実際には様々なトラブルを耳にしますが、その中でも著者が...
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<参照>
- 朝日新聞:民泊ごみ、別のマンションに不法投棄容疑 2人書類送検
- 朝日新聞:民泊の女性に性的暴行容疑 貸主の男逮捕 福岡
- 朝日新聞:民泊マンションで覚醒剤作った疑い 米国人を再逮捕
- 産経WEST:趣味の盗撮のため無許可で民泊…三重の男を書類送検 大阪府警守口署
- 観光庁:平成29年7-9月期 訪日外国人旅行者の宿泊施設利用動向
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