観光庁の「平成29年訪日外国人消費動向調査 トピックス分析」によると、2017年(平成29年)に訪日した外国人観光客のうち、初めての訪日であった人の割合は38.6%、2回目の訪日であった人の割合は61.4%でした。
2回以上、日本を訪問した訪日外国人観光客は「訪日リピーター」と呼ばれ、インバウンド市場で注目されています。では、訪日リピーターが注目されている理由はいったい何なのでしょうか。3つのポイントをもとに紐解いていきます。
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インバウンドでリピーター化が重要な理由1. 訪日リピーターは旅行支出が高い
観光庁の「平成29年訪日外国人消費動向調査 トピックス分析」によると、訪日リピーターは訪日旅行時の旅行支出が増える傾向にあります。
同分析の調査対象である、韓国、台湾、香港、中国からの訪日旅行客では、訪日回数が増えれば増えるほど、旅行中に使うお金の額は増加します。
![▲[訪日回数別1人あたり旅行支出(平成29年)観光・レジャー目的]:観光庁「平成29年訪日外国人消費動向調査 トピックス分析」 韓国、台湾、香港、中国の国籍それぞれの旅行者について、旅行消費額を訪問回数別に棒グラフで示したもの](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7959/main_FireShot_Capture_1712_-__-_www.mlit.go.jp.png?auto=format)
特に、10回以上日本を訪れている外国人観光客の場合、初めて日本を訪れた外国人観光客よりも旅行支出が20%~40%増加します。
訪日リピーターを集客・誘致するメリットとして、消費単価が高いため、より多くのお金を観光地に落としてくれるという点が挙げられます。
インバウンドでリピーター化が重要な理由2. 訪日リピーターは地方訪問が好き
![▲[訪日回数別地方訪問率(観光・レジャー目的)]:観光庁「平成29年訪日外国人消費動向調査 トピックス分析」 韓国、台湾、香港、中国からの訪日外国人を対象に、訪問回数別に地方への訪問率を示した棒グラフ](https://honichi.com/images/2018-05/17-repeatermatomerecently/pic2-3ef50a63.jpg)
訪日回数を1回目、2~9回目、10回以上と区分した場合、中国を除いて、訪日回数が増えると地方に訪問する人の割合が高いということがわかります。
たとえば訪日韓国人観光客の場合、初回の訪日旅行時に地方を訪れる人の割合は、全体の62%にとどまります。しかし、訪日リピーターの場合、2回~9回の訪日リピーターでは82%が、10回以上の訪日リピーターでは99%が地方を訪れるようになります。
初回の訪日旅行時には、東京や大阪、京都などを含むゴールデンルートを中心に旅行する傾向にありますが、訪日回数を重ねるにつれて、今まで体験したことがない日本文化の体験や穴場スポットを求めて、地方にも足を運ぶようになるようです。
日本観光の王道?ゴールデンルートとは
みなさんは日本横断ゴールデンルートという言葉を聞いた事がありますか?今回は訪日旅行客向け日本観光の王道、ゴールデンルートについて解説します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次インバウンドの王道観光ルート「ゴールデンルート」とは?その他インバウンドで人気の観光地まとめ:インバウンドの王道観光ルート「ゴールデンルート」とは?ゴールデンルートとは東京、箱根、富士山、...
初訪日の外国人観光客を地方に呼びこむのはハードルが高いかもしれませんが、今までに訪日旅行をしたことがある外国人観光客の場合、前回に訪れたことがない地域・場所を訪問したがる傾向にあるので、比較的ハードルは下がるでしょう。
訪日リピーターは、訪日旅行のファンともいえるため、旅マエ・旅ナカに効果的な情報を配信することで地方においても訪日リピーターを集客することができると考えられます。
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[blogcard url=https://honichi.com/news/2016/10/31/tabinakahenimbaundode/”]
インバウンドでリピーター化が重要な理由3. 訪日リピーターは「コト消費」との相性抜群
訪日リピーターは「コト消費」との相性の良さでも知られています。
観光庁の「平成29年訪日外国人消費動向調査 トピックス分析」によると、訪日リピーターは「コト消費」に関することの実施率が高い傾向にあります。
![▲[訪日回数別今回したこと(観光・レジャー目的)]:観光庁「平成29年訪日外国人消費動向調査 トピックス分析」 韓国、台湾、香港、中国の国籍の旅行者に今回したことを質問し、訪日回数別に棒グラフで示したもの](https://static.honichi.com/uploads/editor_upload_image/image/7958/main_FireShot_Capture_1709_-__-_www.mlit.go.jp.png?auto=format)
たとえば、「日本の酒を飲むこと」に関しては、訪日回数が増えれば増えるほど実施率が上がります。「温泉入浴」に関しても、訪日回数が増えるにつれて実施率が上がります。
訪日リピーターは、買い物のみならず温泉や日本酒を飲むことなど「日本の文化・歴史」にかかわるものを好む傾向にあります。
こういったコンテンツは地方でも用意できるものであり、近年では地方部で開放された酒蔵の見学や地酒の飲酒などを行う「酒蔵ツーリズム」がインバウンド向けに整備されています。
地方活性化の火付け役! 官民連携した取り組みが行なわれている「酒蔵ツーリズム」の魅力とは
近年、盛り上がりを見せている日本酒ブーム。国内では日本酒特集を組んだ女性向け雑誌、ムックなども見られるほか、海外でも「SAKE」として人気を博しています。酒蔵に足を運び、地酒を楽しむ「酒蔵ツーリズム」という観光スタイルも日本酒好きのあいだでは定着しています。平成28年(2016年)11月1日、平成25年(2013年)から観光庁が実施している「酒蔵ツーリズム推進協議会」が、新たに発足。観光庁のみならず、国税庁、経済産業省、内閣府、農林水産省、地方自治体、日本酒造組合中央会、日本観光振興協会、...
モノ消費からコト消費へ|定義と最新傾向「トキ消費」「エモ消費」「イミ消費」
コト消費とは、経験・体験をその価値とする商品やサービスを購入する消費行動です。商品の機能や品質を重視し、購入する消費行動は、コト消費に対し「モノ消費」と呼ばれます。 体験サービスはコト消費の代表的な商品ですが、商品やサービスが提供されるまでの過程に購買意欲をかき立てるような魅力のある商品の購入も、コト消費として定義されます。 日本国内で、また世界的に消費トレンドは「モノ消費」から「コト消費」へとシフトしつつあります。観光体験においても同様です。インバウンド市場を見据えた施策では「体験」...
訪日リピーターは特に地方インバウンド戦略の重要ターゲットとなる
インバウンド業界で注目されている訪日リピーター層には、以下の3つの特徴がありました。
- 訪日旅行中にお金をたくさん使う
- 地方を訪問する人が多い
- 「温泉の入浴」「日本酒を飲むこと」などコト消費と相性がいい
よりディープな日本を求める訪日リピーター層は、東京や大阪・京都、ゴールデンルートに位置する観光地とは違った魅力をもつ地方部において、狙うべきターゲットになるかもしれません。
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<参照>
観光庁:平成29年訪日外国人消費動向調査【トピックス分析】訪日外国人旅行者の訪日回数と消費動向の関係について~ 韓・台・香・中の訪日回数の多いリピーターは1人当たり旅行支出が高い~
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
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詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
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この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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