世界人口の「4人に1人がイスラム教徒」となった今、訪日ムスリム旅行者を無視するわけにはいかない…そのための具体的なインバウンド対策とは?

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近年、日本を訪れるムスリムの訪日外国人が増えていますが、観光庁をはじめとする各省庁では訪日ムスリム旅行者向けの具体的な施策を取りまとめ、「訪日ムスリム旅行者対応のためのアクション・プラン」を策定しています。

これは今後日本におけるムスリム対応を推進するための具体策を取りまとめたもので、今後政府はこのプランに基づいた取り組みを進めていくとしています。

訪日ムスリム旅行者が2年で4倍以上に増加した2つの理由とは?

以前の訪日ラボの記事でもご紹介したようにムスリムの海外旅行市場は、2026年には 3,000億米ドル(日本円で33兆6,000億円)にまで成長するとされており、世界中で注目されている市場 です。日本のインバウンド市場に関しても近年、ムスリム誘致へさまざまな取り組みが行われていますが、そもそも 日本のムスリム旅行者市場はどの程度のものなのでしょうか。 CRESCENT RATING・mastercard・HMJの三社が作成したMastercard-CrescenRating Global M...

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日本でのムスリム受け入れの背景

近年日本では、マレーシアインドネシアをはじめとしてムスリムの多い東南アジアからの訪日旅行者が増加しています。これらの国々は今後さらなる経済発展が見込まれており、訪日旅行を初めとした消費の拡大が見込まれています。

なお、2010年時点でのムスリム人口は世界人口の23%を占める16億人となっており、今後はこの割合、人数が更に伸びると予想されています。

観光庁の調べによると、ムスリムによる旅行市場の規模は2015年で1,510億ドルとなり、世界市場の11.2%を占めると推測され、2021年には2,430億ドルまでに拡大することが予想されています。

こうした背景から、日本においても訪日ムスリム旅行者を受け入れるための具体的な環境整備、日本誘致のためのプロモーションが求められています。

「何故、今ムスリムなのか」を知るための7つのキーポイント

日本のインバウンド業界にとって訪日中国人観光客は長年主役といっても過言ではないポジションに位置していました。しかし近年では、一人当たりのインバウンド消費額が比較的大きく、訪日旅行時にディープな体験を求める欧米圏出身の訪日外国人観光客も大きなターゲットとされています。インバウンド業界のターゲットは近年になって多様化してきており、その中でも特に注目しされているのがムスリム(イスラム教徒)のインバウンド市場 です。インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知る...

現時点で訪日ムスリム旅行者が不便に感じていること

観光庁が発表している平成29年度の訪日外国人消費動向調査によると、マレーシアインドネシアから日本を訪れた旅行者が訪日前に期待していたこととして、「日本食を食べること」が最多となっています。こと、食事をすることに関しては「食べ物やその成分の表示が不十分であることに困っている」「食事ができるお店が少ないことに困っている」といった回答が寄せられています。

これはムスリムにとっては宗教の戒律上、食べて良いもの「ハラル」と食べてはいけないもの「ハラム」とが明確に別れており、日本の飲食店においては、そもそもムスリムが食べても問題ない「ハラルフード」を使用していない、調理方法や提供方法における「ハラル」を店側が理解していないことなどから発生している不満です。

また食事以外で不満の声が上がっているのが、訪日ムスリム旅行者には欠かせない礼拝が出来る場所がないということ。これに関しては「礼拝できる場所が少ないことに困っている」、「ムスリム対応を行っている施設の情報が不十分であることに困っている」といった声が上がっており、日本において空港、駅でこうした礼拝所が整備されたのは比較的最近のことで、成田国際空港における礼拝所の設置は2005年頃となっています。

今さら聞けないインバウンド基礎知識『ハラルフード』とは?対策や事例から学ぶムスリム対応

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訪日ムスリム旅行者受け入れのために進める必要がある環境整備とは?

基本的な考えかたとしては、入国から出国までの訪日ムスリム旅行者の行動パターンを考えた上で、何が必要かを考えて、受け入れ環境を整備していくことが必要になります。

入国してから出国するまでの全ての行動が対象となってくるため、訪日ムスリム旅行者が訪れることが想定される多様な場所における面的な整備が必要となります。

注意すべき点としては訪日ムスリム旅行者によっても、どの程度戒律が厳しいのかといった内容は、宗派、地域、文化、国や個人によって異なるため、柔軟な対応が必要であるということです。

【食事環境の整備】

食事環境の整備として進められていることは、

  • 地域関係者が具体的な対応方法を学習する取組、
  • 訪日外国人に人気の高い和食や郷土食のムスリム対応促進のための調理方法の研究支援、
  • 食品産業事業者のハラール対応支援のため、国内の状況や海外の貿易状況等の調査、分析、情報の提供、
  • 「インバウンド対応ガイドブック」等を用いた、飲食事業者等の対応のための情報の普及・促進、
  • 調理師を対象としたハラールの知識や技術の研修の支援

などです。

【礼拝環境の整備】

礼拝環境の整備としては、空港や主要な駅において礼拝室を設置するほか、礼拝スペースを提供する、礼拝が可能な近隣の施設をわかりやすく案内していくということです。まだまだ少ない商業施設飲食店における礼拝スペースの提供などが求められています。

【情報提供】

情報提供に関しては、文字通りその地域や近隣において、ムスリム向けにハラルフードを提供しているレストランの情報提供、礼拝所などの場所の情報、礼拝スペースを提供している商業施設などの情報を提供することになります。

これに関しては店頭などでのわかりやすい説明のほかに、ウェブサイト、スマートフォンアプリなどでのわかりやすい案内も求められています。

訪日ムスリム旅行者誘致のためのプロモーション

今後訪日ムスリム旅行者を国内にさらに呼び込むためには、どのような施策が有効なのかというと、観光庁では、ムスリムが多い地域であるマレーシアインドネシアから訪日客への注力が有効としており、それに加えて中東諸国も今後は大きな可能性があるとしています。

こうした国々へのプロモーションとして有効だと考えられているのが、積極的な旅行博への出店、もしくはターゲットとする国の旅行業者インフルエンサーなどを招致するファムトリップです。

この中で、日本は訪日ムスリム旅行者が安心して旅行できる国だということをしっかりと理解し、自国で広めてもらう事が必要です。特にムスリムはサイトからの情報よりも、自分の友人、知人、同じくムスリムの人からの情報を信用するという傾向が強いため、こうしたプロモーションが有効だと考えられています。

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<参考>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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