台湾の当たり前「レシート宝くじ」から始まるビッグデータストーリーとは?オンラインにオフラインの情報が流入、より詳細なターゲティングが可能に

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台湾のレシートは、日本のレシートと少し異なる点があります。それは台湾のレシートが宝くじになっているということです。台湾ではごく日常的な一風景になっていますが、もちろんそれだけのことではありません。

見た目で言うとさほど違いのないレシートですが、レシート宝くじの成り立ち、財政的背景が偶然にもビッグデータビジネスへと繋がってきます。今回はそんな台湾の宝くじレシートとそこから発展する台湾の購買ビッグデータについてご紹介します。

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脱税防止のレシート宝くじ!?

レシート宝くじが生まれた背景は1951年まで遡ります。当時の台湾では会社登録をせずに運営する店舗も多く、レシートを発行する習慣がありませんでした。そのため台湾政府は正確な売上把握が出来ないだけでなく、税金が正しく収められない課題を解決する術を模索しました。

財務省が考え出した答えは、レシートに記載された番号を宝くじにすることで、消費者から店舗・事業社にレシート発行を要求させ、正しくレシート発行(売上管理)を実現させることでした。その結果、脱税を防ぐことが可能となり1952年には営業税(消費税)収入は倍になったようです。

台湾のレシート。様々な種類のものがあります

台湾のレシート。様々な種類のものがあります

QRコード付きの電子レシートが市場を揺るがす!?

この話はそれだけでは終わりません。

2012年、このレシート宝くじは、まるでダーウィンの進化論のように偶発的でありながらもちょっとした変化がありました。それは、セブンイレブンやSOGOデパートなどからQRコード付きのレシート発行が始まったことです。

左写真が従来からのレシート、右写真がQRコード付きのレシート。

左写真が従来からのレシート、右写真がQRコード付きのレシート。

それまで、目視でレシートの番号と当選番号を照らし合わせていました。数十枚(人によってはそれどころではないかもしれません)を目視で見ていくのは相当な手間がかかります。

このQRコード付きのレシートでは、スマートフォンのアプリで読み込むだけで当選が分かります。このことは意図せずとも時代が次のステップに進むきっかけとなったでしょう。

当選を確認するまでの流れ

当選を確認するまでの流れ

レシートの8桁の番号が宝くじになっていますが、アプリを使えばQRコードを読み取るだけで当選が分かる仕組みになっています。

宝くじの当選発表は2ヶ月ごとに政府のホームページで掲載され、最も上位の特別賞で約3600万円(1000万元)の賞金が当たります。一番下位の六等では約720円(200元)が貰えます。ICカードのような電子決済でも購入情報が保存されており、当選した場合はコンビニなどにある端末からレシートが発行できるようになっています。

レシート宝くじから購買ビッグデータへ

以下は台湾のアプリランキングの例になります。もちろん日々ランキング自体は変化するもののAndroid、iOSともにカテゴリ上位(無料アプリ)に宝くじチェックアプリが、複数ランクインしています。

台湾のアプリ無料ダウンロードランキング(左がiOS、右がAndroid)

台湾のアプリ無料ダウンロードランキング(左がiOS、右がAndroid)

※オレンジの囲みがレシート宝くじの当選確認アプリ ※App Annie 2018年6月1日 Androidアプリケーションカテゴリ、iOSニュースカテゴリ

QRコードで読み取ったデータからは、「どのお店」で「何時」に「どの商品」を「いくら」で買ったかが分かります。よく考えればレシートなので、そのぐらいの情報は記載されていても不思議ではありません。日本のレシートも当然のように記載されている情報でしょう。

こうして1951年に脱税対策で始まったレシート宝くじは2012年を皮切りにビッグデータの世界へと突入していきました。

購買データならではのアプローチ

この購買ビッグデータは何を物語っているのでしょうか。

それはオンラインに閉じこめられていたデジタルマーケティングに、オフラインの大量のデータが舞い込んできたことになります。この一連の宝くじ目的があるため、セグメント化するために必要なデータ量は一定数確保できます。またこのリアル購買データはターゲット層の輪郭を明確にするために新たな切り口を与えてくれます。

台湾の大手デパートである新光三越で、100万円以上購入している富裕層にアプローチすることも可能でしょうし、セブンイレブンでコカ・コーラを購入しているユーザー層にペプシコーラを勧めることもできるでしょう。毎朝、台北駅のスターバックスでコーヒーを飲んでいる人は夜には空港近くのレストランに通っている、なんていうことも浮き彫りになるかもしれません。

購買ビッグデータから可能になるアプローチ

購買ビッグデータから可能になるアプローチ

台湾に本社を置き、香港、上海、シンガポール、日本では東京、大阪にオフィスを構えるVpon JAPAN / Vpon Big Data Groupでは実際、レシートデータターゲティングを開発・提供しています。

このレシートデータターゲティングに限った話ではありませんが、もちろん実施する段階ではデータの取り扱いに十分な注意が必要でしょう。それは改めて言うまでもないかもしれません。

さいごに

台湾には台湾の独自文化があります。台湾人と話していると一日に一つや二つぐらいは日本との違いを発見することがあります。今回のレシート宝くじもそのうちの一つです。

この台湾での「レシート」×「宝くじ」×「スマートフォンアプリ」の三つの円は、この時代になってようやく重なりました。相乗効果はまだまだ私たちの計り知れないところです。

著者:Vpon JAPAN 株式会社 マーケティングコミュニケーション室 有田 元則

<参照URL>

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この記事の筆者

Vpon JAPAN株式会社

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Vpon JAPAN 株式会社マーケティングコミュニケーション室シニアマネージャー有田 元則。「ビッグデータがインバウンドに革新をもたらす」をテーマに台湾、中国などからの訪日旅行客(インバウンド)にフォーカスして情報発信しています。

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