「超富裕層をターゲットにせよ」先進的DMO・カリフォルニア州 ナパ・バレーが仕掛ける世界戦略からインバウンド業界が学べること

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カリフォルニア州ナパ・バレーといえば特産品のワインが世界的な成功を収めています。近年は観光地としても躍進し、米国内・国外の富裕層が訪れる観光地となっています。映画『サイドウェイズ』で取り上げられたように、ブドウ棚が丘に連なる美しい風景を打ち出したワイナリー巡りは世界的に有名です。

これらの流れを作ってきたナパ・バレーのDMOは日本の観光庁が主催した勉強会でもDMOのモデルケースとして取り上げられました。その成功手法をおさらいしてみましょう。

地方創生の切り札なるか 日本版DMOの醸成のために観光庁が行う7つの支援とは?

観光庁が日本版DMO(デスティネーション・マネージメント・オーガニゼーション)の醸成のために様々な手助けを行っていることをご存知でしょうか?そもそも日本版DMOとは、観光庁の定義によると 「地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人」 とされており、今後ゴ...

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まずはターゲットを絞り込みマーケティングを展開する

ナパ・バレーのターゲット顧客は、富裕層(luxury)富裕層(super-luxury)です。

世界中の富裕層顧客にアピールするために、ナパ・バレーDMOが行ったのは、地元の小規模な農家・ワイナリーのブランドレベルのマーケティングではなく、「ナパ・バレー」という地をマーケティングすることでした。

ナパ・バレーのDMO(Visit Napa Valley Inc.)は企業と同じく、ボードディレクターの下にCEO、マーケティング/セールス/ファイナンス/オペレーション部門があります。

ナパバレーDMOはマーケティングのプロ集団 観光庁主催「日本版DMOの形成に向けて」基調講演・Clay Greregory氏プレゼンより

ナパバレーDMOはマーケティングのプロ集団 観光庁主催「日本版DMOの形成に向けて」基調講演・Clay Greregory氏プレゼンより

マーケティング担当は職務別に複数名おり、トレード・ショーや展示会でのマーケティング担当マネージャー、ソーシャルメディア専任のマーケティング・マネージャーもいます。

富裕層向けサービスとしては欠かせないウェルカムセンター(ナパ・バレー総合観光案内所)にもゲストサービスのプロが配置されています。このセンターもマーケティング部門の直轄です。

最初の「村おこし」は小規模農家保護税制だった

1880年に初ワイナリーが誕生したナパ・バレー。世界的なワインのブランド産地になるための飛躍は、小規模農家とその農地保護から始まりました。

1968年に『ナパ・バレー・アグリカルチュラル・プリザーブ(ナパバレー農家保護プログラム』)という、中長期で農業に携わりたい農家向けの減税策を導入したのです。

『ナパ・バレー・アグリカルチュラル・プリザーブ(ナパバレー農家保護プログラム』)は農地への課税金額を低くし市場価格から算出されるよりも課税を軽くするカリフォルニア州の法律で、100エーカー以上の農地の地主が申請できます。100エーカーに満たない場合でも土地面積10エーカー以上であれば既存の登録農地に加わることができる規定になっています。

小規模でも良い農作物を育てるたくさんの地元農家保護と同時に、美しいブドウ畑の景観も保護出来たのです。

ワインのブランディングは、ナパDMOマーケティングの始まりに過ぎなかった!

農家の保護の次にナパ・バレーのDMOが手掛けたのは、特産品であるブドウから作られるワインの世界展開でした。有名評論家への売り込み、ヨーロッパの展示会などに積極参加します。

ワインのブランディングに成功すると、次は農産物を目玉にした観光の確立に着手します。

「超富裕層に混雑した旅は向かない。彼らはお金も時間も自由になるのだから、ゆったりと過ごしたいはずだ。」

そう考えたナパDMOオフピークシーズン観光木曜日ツアーを売り込みます。狙いは当たり、平日の昼からゆったりとワイナリーを巡り、食事でもしようという、時間とお金のある富裕層が訪れるようになりました。

ワインの次は食事!ヨーロッパ富裕層を引き込む「美食ツーリズム」

次に着手したのがガストロノミーツーリズム、いわゆる美食ツーリズムです。星付きレストランなど誘致し、地元のワイン片手に美食を堪能してもらおうという目論見はこれまた見事に当たります。

レストランウィークなどを積極展開するナパバレー 観光庁主催「日本版DMOの形成に向けて」基調講演・Clay Greregory氏プレゼンより

レストランウィークなどを積極展開するナパバレー 観光庁主催「日本版DMOの形成に向けて」基調講演・Clay Greregory氏プレゼンより

富裕層インバウンド

訪日外国人観光客の急激な増加を理由に、魅力的な観光地域づくりを推進し地域の「稼ぐ力」を引き出す組織であるDMOの必要性は年々大きなものになってきています。 DMOは、広域連携DMO、地域連携DMO、地域DMOの3種類に分けることができ、日本国内には現在、計123 のDMOが存在しています。 全国のDMOでは地域に訪日外国人観光客を呼び込むためにどのような取り組みを行っているのでしょうか。新潟県・群馬県・長野県の3県にまたがる地域連携DMOである 一般社団法人雪国観光圏 の取り組みに関してご...

ただ美食を追求するだけでなく、ヘルシーな食生活・ライフスタイを提唱しスポーツ・アクティビティを充実させたのも功を奏します。

スポーツ・ヘルスアクティビティもナパバレーの大きな魅力 観光庁主催「日本版DMOの形成に向けて」基調講演・Clay Greregory氏プレゼンより

スポーツ・ヘルスアクティビティもナパバレーの大きな魅力 観光庁主催「日本版DMOの形成に向けて」基調講演・Clay Greregory氏プレゼンより

さらにアート・カルチャーなど、富裕層が好む観光資源を充実させる努力を続けます。

現在、ナパ・バレーDMOMICE誘致にも乗り出しています。美しい環境、美味しい食事、産地直送ワインのおもてなし。広い土地に豪華な施設、そして個性的な宿泊施設の充実。ナパ・バレーは魅力的なMICE開催地にもなりつつあるのです。

観光庁「DMOネット」でDMO(観光地域づくり法人)を支援/観光地域のマネジメント・マーケティングを「誰でも、簡単に、効率的に」

観光庁、内閣官房および内閣府は2017年3月31日より「DMOネット」の提供を開始しました。 DMOネットとは、日本版DMOの形成・確立に向けた地域の取り組みを情報面から支援するもので、「誰でも、簡単に、効率的に」観光地域のマネジメント・マーケティングを実施できるよう支援するシステム・ツールです。 今回の記事では、DMOの意味やDMOネットの機能、登録方法について紹介します。 目次 観光庁の「DMOネット」とは? そもそもDMOとは? DMOネットの機能は3...

まとめ・DMOが繰り出す戦略的ツーリズムマネジメントで地元も潤い、DMOも運転資金調達が可能に

これだけの活動を行うDMOであれば、もちろん運転資金が必要となります。ナパ・バレーDMO観光組合NVTIDを設立し、地元の観光事業者から利益の一部を徴収し、代わりに戦略的ツーリズムマネジメントを展開しています。

これら一連の動きは無駄が少なく、数十年にわたりぶれない目標を掲げています。日本のDMOが学ぶべきことは多いかも知れません。

「目指すはワイナリーにおける米最高峰の観光地」カリフォルニア州ナパ・バレーDMOの取り組みが面白い!体験型コンテンツの提供や宿泊者から室料2

様々な業界・業種の関係者と協業しすることで魅力的な観光地域づくりを推進し、地域の「稼ぐ力」を引き出す組織であるDMO。DMOは、広域連携DMO、地域連携DMO、地域DMOの3種類に分かれており、日本国内には現在、計123のDMOが運営されています。DMOは海外でも同じように存在しており、地域の観光産業において中心的な役割を果たしています。 訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションの資料を無料でダウンロードする 「インバウンド動画プ...

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<参考>

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。

<本セミナーのポイント>

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宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】

【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。

この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。

※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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